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現実世界コント  作者: 梅野飴


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いい話

B「ヘマしちまったぜ……」


A「お前は敵のスパイとしてうちのアジトに潜り込んだ。捕まったスパイがどうなるか、覚悟はできているな」


B「あぁ。好きにしろ」


A「フ……いい覚悟だ。そうだ、お前に一ついい話を聞かせてやろう」


B「いい話だと?」


A「昔、ある兵士が戦場で銃弾を受けた」


B「……」


A「兵士は死を覚悟したが、胸ポケットに入れていたある物が銃弾を防いでくれたおかげで彼は助かった」


B「……」


A「そのある物とは、その兵士のおばあさんが戦地へ行く孫のために作ったお守りだった……とさ」


B「……いい話だなぁ」


A「フッ……じゃあさよならだ」


B「ちょっと待ってくれ」


A「……なんだ」


B「お礼に俺も一ついい情報を教えてやるよ」


A「いい情報?」


B「港の倉庫。あそこはお前達の拠点の一つだろ?」


A「お前、なぜそれを!」


B「クックック………あの斜向かいに空き地があったはずだ」


A「あぁ、確かにある」


B「あそこ、コンビニできるらしいよ」


A「……マジで」


B「来月オープンらしい」


A「……うわめっちゃテンションあがるわそれ」


B「いい情報だったろ」


A「うん。ありがとう。じゃあこれで本当にさよならだ……」


B「……なあ、死ぬ前にお前の名前を教えてくれないか」


A「……山下だ。山下隼人」


B「山下……隼人だと?まさかお前……」


A「俺を知っているのか?」


B「鹿児島出身?」


A「……うん」


B「あーやっぱり!俺の叔父さんも鹿児島なんだけどさ、同じ隼人なんだよ」


A「えっ、そうなの」


B「そうそう!ていうか俺は東京生まれだけど親戚とかみんな鹿児島」


A「……うわめっちゃ親近感湧くわそれ」


B「鹿児島って隼人って人多いよねー」


A「叔父さん会ってみたいな」


B「あー、もう亡くなってて」


A「あっ、ごめんなんか」


B「気にしないで」


A「……よし、これで思い残すことないな。撃つぞ」


B「あぁ、久しぶりに叔父さんに会えそうだよ」


A「……叔父さんによろしくな」


B「あっ、叔父さんになんか伝えとくことある?」


A「あー……機会があったら呑み行きましょうって言っといて」


B「オッケー伝えとく」


A「助かる」


A「……」


B「……どうした。なぜ撃たない?」


A「ダメだ……俺にはお前を殺せない」


B「なぜだ?」


A「……これ弾入ってなかった」


B「えーじゃあどうする?」


A「仕方がない……今回は見逃してやる」


B「え!?いいの?」


A「あぁ、お前の叔父さんに免じてな」


B「あっ、でも出口わかんない」


A「……いいか、今から言うことは俺の独り言だと思って聞き流してくれ」


B「独り言?」


A「そこの扉から廊下に出て右の壁の手前から三番目のタイルを押せば隠し扉が開く。その先は隠し通路になっていてそこを進めば誰にも見つからずに外に出ることができる。最近その通路にネズミが出るから駆除したいんだけどこれ業者に頼むかすごく悩む。高いかな。見積もりお願いしようかな……」


B「終わった?」


A「あぁごめんつい独り言喋っちゃうの癖で」


B「大丈夫。聞き流してたから」


A「ありがとう」


B「出口どこだろ」


A「あっ、それならそこの扉から廊下に出て右の壁の手前から三番目のタイルを押せば隠し扉が開くんだけど、その先は隠し通路になっていてそこを進めば誰にも見つからずに外に出ることができるぞ」


B「おーありがとう!じゃあ逃げるわ俺!」


A「待て!」


B「ん?なに?」


A「見逃がしてやるのは今回だけだ……次会ったときは敵同士。容赦はしないからな」


B「あぁ……わかってるよ。じゃあな!」タタタッ


A「あれ……よく見たら弾まだ一発残ってたわ」


B「ごめんごめんあのさ!壁のタイルって手前から何番目だったっk」タタタッ


A「あ、敵だ」バン


B「ぐへえ!えっ、ちょっ、なんでこれ撃ったの……」


A「あっ、ごめん。次会ったら敵だって言ってたしついその……」


B「あーそっかそっか!これ迂闊に次会った俺が悪いわごめんごめん!」


A「おい大丈夫か?」


B「……なあ、俺が死んだらこいつに連絡してくれないか?お前しか頼める奴はいないんだ……」パサッ


A「……この番号は?」


B「葬儀屋さん」


A「……わかった。必ず連絡する」


B「ありがとう……俺は……もう……」


A「おい!しっかりしろ!おい!!」


B「……ん?あれ?」


A「ん?」


B「……あれ、俺大丈夫そう。血も出てないし」


A「えっ、どうして」


B「ハッ!もしかしてコレが俺を銃弾から守ってくれたのか!」ぬぎぬぎ


A「それは……!?」


B「これ、おばあちゃんが編んでくれた防弾チョッキ」


A「……いい話だなぁ」

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