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会話  作者: 梅野飴
3/3

入部見学

「入学から三日目の授業が終わりました。帰ります」

「ねえ霧島さん。ちょっといいかな?」

「あなたはたしか……D組の西川さん」

「ううん。あなたと同じ3組の倉田まりなだよ」

「ああ、後ろの席の」

「霧島さん、すごいテキトーなこと言うんだね」

「何のご用でしょうか?今、幸せですよ」

「入信の誘いじゃないよ。霧島さんはもう部活決めたかなって」

「いえ、まだです」

「わたしもだよー。でもこの学校、部活強制だもんね」

「はい。なので、もうとりあえず野球部でいいかと」

「野球部そんなノリで入る人いないと思うよ」

「帽子を被った人があんなにいるのにですか」

「そこは入部の決め手にならないよ」

「それは弱りましたね」

「ねえねえ、よかったら私と一緒に卓球部に入らない?」

「卓球部ですか?卓球ってクラブで女をナンパした数を競うあの?」

「いや全然違うよ何を想像してるの」

「あ、スポーツの方ですか」

「そうそう。なんか卓球部って緩そうじゃない?私もあんまり部活とかガッツリやりたくないからさ」

「たしかに、部室でタバコ吸ったり、集団飲酒がバレたりと緩いイメージがありますね」

「むしろそういうところから一番遠いイメージだよ卓球部」

「意外です」

「むしろ野球部の方がそんな感じだよ」

「野球部の方でしたか」

「野球部の方って言い方もあれだけどさ」

「それで、前園さんは卓球部に入るんですか?」

「うん。私、倉田まりなは卓球部に入ろうかなって思ってて……それでよかったらなんだけど一緒に見学に行ってくれないかな?」

「いいですけど……一つだけ条件があります」

「なに?」

「マリリンって呼んでもいいですか?」

「急にすごい距離縮めてくるね」

「だめですか」

「ううん。あだ名で呼んでもらった方が私も嬉しいし全然いいよ。でもマリリンってなんか可愛らし過ぎてちょっと恥ずかしいかも。えへへ」

「では、脱税者でどうでしょう」

「マリリンでお願い」

「わかりました。マリリン。私のことは」

「うん」

「霧島さんとお呼びください」

「距離を詰めてもガードは崩さないんだね」

「そうと決まれば早速卓球部を探しましょう。マリリンはうさぎ小屋の方をお願いします。私は校長室を探ってみます」

「多分どっちにもいないと思うよ」

「卓球部の生態にお詳しいんですね。さすがは魚屋の娘」

「うん。多分部室にいると思うよ」

「えっ、魚屋の娘なんですか」

「ツッコむのがめんどくさかっただけだよ」

「着きましたね。ここが卓球部の部室ですか」

「うー……ドア開けるのなんか緊張するなあ。中、先輩ばっかりだろうし」

「案外後輩ばかりかもしれませんよ。まあ卓球部ですし」

「どういう類いの偏見なのそれ」

「もし、不安でしたら、私が先に入って様子を見てきましょうか」

「えっ、霧島さんいいの?」

「状況はこちらのエニグマで逐一お伝えしますね」

「解読に時間かかりそうだからそれはいいかな」

「では、行って参ります。もし私が死んだらその時はマリリンだけでも後を追ってください」

「やだよ」

「ただいま戻りました」

「ど、どうだった?」

「三人目までは難なく捌けたのですが、四人目でやられました。天井からとは盲点でした」

「一体何をやってきたの」

「しかし、とりあえずなんとか話はつけてきましたので、マリリン様もどうぞ中に入ってください、さあ」

「う、うん。じゃあ……」

「信者の皆さんがお待ちですよ」

「えっ、ちょっ、だから入信じゃなくてっっ!」

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