金色と進化
禁罪者は、俺らが逃げるとすぐさま追ってきた。
「はっや。」
「アイン、これに乗れ!」
キョウは太く練り上げたの銀線に乗るように指示する。
二人で銀線に乗ると、キョウの操作で銀線は伸びていく。
「なるほど、これなら逃げ切れるか」
「おいおいオイオイ!それはないだろッ!!」
禁罪者は銀柱を両手で掴み、ブチブチと音を立ててそれを千切り始めた。
フワッと浮き上がる。
「キョウ!やられた!」
「クッソ!馬鹿力野郎め!!」
そのまま振り回される。
二人して必死に銀柱にしがみつくが、地面に叩きつけられそうになる。
地面にぶつかる寸前ーーーー
「【空歪】!」
地面に砂嵐が発生し、そのまま吸い込まれる。
気付くと先ほどの逃げる前にいた場所に戻っていた。
「間一髪だったな。サンキュ」
「リスポーン的な使い方も出来るのか。」
息つく束の間、嫌なものを見た。
禁罪者が再びこちらに向かってきている。
「終わったー。」
そう誰もが思った時、金色の爆発と共に、禁罪者が吹き飛ばされた。
「あれは、【金ノ龍焔】。」
「え?(何で分かるの?)」
「俺の父さんだ。」
§§§
急に現れた救世主は、まさかのキョウのお父さんだった。
「【金ノ星閃】。」
金の星は分裂し、禁罪者を取り囲んだ。
それは高速回転を始め、やがて眩い光を放ち始めーーーーー
爆発した。
後には何も残っていない。
「すっげ。お前の父さんヤバ。」
「それな。」
土埃の中から、人影が一つ。
「や、無事かい?」
これまたイケオジだな!遺伝子が恨めしいぜ。
カッコよくて強い父親……これはテンプレだな。
「まあね。久々だね、父さん。」
「始めまして…」
崩れた美しい金髪をかきあげ、金色の瞳はアインに焦点が合った。
「君が、アイン君だね?僕はここの研究所長のツヴァイクだ。よろしくね。ま、今はこんな感じのおじさんだけど、昔は討伐者団に所属していたよ。」
「よ、よろしくお願いします。」
研究所長!?ってか、討伐者団ってなんだ?
「先程から少し様子見をさせてもらっていたよ。キョウ、まだ固有スキルは扱いきれないか?」
「今模索中なの。」
「アイン君、君の固有スキルは非常に特殊だ。後で見せてくれないか?」
何というか、超饒舌だな。この人。
「あのー、先程“討伐者団”という言葉を聞いたのですが、それは何ですか?」
「君、討伐者団を知らないのか?」
話によると、討伐者団とは、贖罪者狩りに特化した人材を集めた育成機関兼兵士集団であるらしく、入団には厳正な審査と試験があるそうだ。
ちょっと興味が湧いてきたな。
「ともかくここは危険だ。立ち話もなんだし、エントランスルームに戻ろうか。」
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