ハウ・トゥー・ユーズ
「キョーーーウ!いるかー!」
「気に入ってんな、それ。」
「まあな。」
まるで、ロミオとジュリエットみたいに(違うかもしれない。記憶が曖昧。)、道路から、もう一方は家の窓から話していた。
そう、これは瞬間移動では無い。しっかりと時間を消費する。
「このスキルの運用法を思いついたんだ。ワールォじゃなくてさ、ちょっと遠出しようぜ。」
隣市にある、贖罪者研究所附属施設、通称”アトラクション”に来た。遠めで初めてくる場所に【空歪】は使えない。今回の移動はバスだ。
§§§
入場許可証を受付でもらい、フィールドに入る。
フィールド内ではエントランスから遠ざかるほど危険度が上がるシステムになっている。
避難所は各所に設置してあるので受付でもらった案内図をみて、場所を確認した。
と。
「来たな。」
前方に贖罪者を確認。
「キョウ、銀剣を頼む。」
砂嵐を発生させる。
キョウが生成した銀線剣を引き抜くと、その砂嵐に突っ込んだ。
そして。
贖罪者は真っ二つになって死んでいる。
「こういうことよ。」
「すまん、ぜんっぜんわからん。」
§§§
【空歪】は動作をトばす能力だ、というのは前も言ったとおりで、それを通して俺は「攻撃に於ける動作もトばせるのではないか」という仮説を立てた。
案の定だ。
「分かった?」
「お前、それ、最強じゃない?」
「それな。」
もう一体現れた。
キョウは俺を手で制した。
「次は俺の番な。」
腕をまくる。
「【銀ノセン・手刀】」
キョウの左腕に亀裂が入る。
「【分解】」
亀裂が細分化し、銀色に変色し、まるで開花するように繊維が広がった。
「【再構築】」
花開いた繊維は再び結集し、刀を模した。
宛ら義腕の剣士のように。
そのまま銀腕を振りかぶり、贖罪者は豆腐のように分かたれ、倒れた。
「【解除】」
自慢げにこちらを振り返る。
「どうよ。」
「ちょっと時間がかかるな。」
「ま、追々改善するさ。」
完全に我らのスキルが有用であると言う油断から、更に深層に進んでみることにした。
仮に、冷静であれば、これがどれほど危険な選択だったことには気づいていただろうか。
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