這い上がるもの
ライセは23歳で、独房に入れられたのは三ヶ月前。
固有スキルが強力なことで知人間で話題になり、さまざまな犯罪に加担してしまったそうだ。
そんな彼の固有スキルは、【状態変化】。
§§§
「オル、タレイト?」
「物質のあらゆる状態変化を操れるんだ。」
独房を出て、一旦地上に降りた。
「じゃああの独房の壁も溶かしたりなんだり出来ただろ?」
「いや、あそこで目覚めた時は既にボロボロで。」
あらかじめ弱らせてから入れたってことか?
なんて人道を外れた組織だ。
「物質の融点とかが関係するとか?」
「そうそう、多分あれ鉄っぽいけど改良された合金とかだと思う。だから全然溶けなかった。亜鉛とかスズなら溶かせるんだけどね。」
この施設から脱出するにあたってのミッションは二つある。
一つはライセの回復。
そしてもう一つは龍鳴の奪還。
「久遠の塔のこと、なんか知ってる?」
「まあ、三ヶ月もいたらな。さっきのミッションプランについてだが、食料に関しては職員のいる管理棟にはあるかもしれない。」
「後者は?」
「押収物として保管されてたら別だが、十中八九研究室棟にあるだろうな。」
このパークは軍事研究が主体となっていて、そうなるとメインは研究室棟だ。
管理棟の警備システムは突破できるらしい。
あくまで、油断さえしなければだが。
が、問題は最高峰のセキュリティを誇る研究室棟らしい。
そして何よりこのパークで一番広い施設だ。
龍鳴を見つけるのは至難を極めるという。
「でも、やるんだろ?」
「それ以外の選択肢を選んでも、この先いいことなんてない。」
パーク内の施設配置についてだが、久遠の塔のすぐ隣に警備棟、そして管理棟がある。
まずはそこの制圧を優先する。
そこからが本題だ。
研究室棟に行くためには久遠の塔含めた三施設を囲った高さ50メートルの壁を突破し、すぐ下にある警備棟本部に侵入。
その地下から生体認証を装備した「パスロード」を通る。
という気の遠くなる道のりを行かなければならない。
研究室棟はハリボテの地上部分こそあるが、中枢は地下。
故に正面突破以外に方法がない。
「いやいや、その前にこっから出ないと。」
「アイン、俺にいい案がある。」
そういってライセが指さしたのは、夥しく張り巡らされた配管だった。
「配管を辿っていくと高い確率で制御室がある。そこから職員用の玄関を探せばーーーー」
ライセの指は果てない鉄管を伝って。
「ゴールってわけだ。」
休み休みで申し訳ないです。ブックマークよろです。




