ワールォの森
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ところで、クラスで一番強力な固有スキルを獲得したのはカースト上位のイケメンでも美女でも、闇を抱えた革命気質のいじめられっ子でも、優等生の委員長でもなかった。
普段あまり目立たない、とても優しいツレという女子生徒の手に渡った。
固有スキルの名は、【鏖殺塵屠羅刹帝】。
発動と同時に半径15メートル以内の生物を無差別に文字通り粉砕するという完璧なまでの攻撃性を持っていた。
§§§
チャイムが鳴った。
「おはよう。今日は特別時間割となる。このクラスは全員が固有スキルの獲得に成功しているので、きょうは贖罪者を相手にしてそれぞれの固有スキルを使って見てほしい。」
ということで各班に分かれ、贖罪者の討伐をすることになった。
班編成は自由で、キョウと組むことにした。変なスキル同士ということもあるし。
ツレは女子の友達と危険なスキルの安全管理として先生が同伴することになっていた。
「まずはキョウの【銀ノセン】を少しづつ操って使用に慣れていこう。だから強そうなヤツがいたら逃げような。」
「そうだな、で、アインは?」
「一応【空歪】を出してはみるけど、どう働くかはわかんないからあんまり気にしないでほしい。」
ということで作戦を完了した。
行く先は、「ワールォの森」。贖罪者が多く見られる場所だ。
§§§
あれか。贖罪せし者ーーーーそれは真っ白でなんの器官(例えば目、鼻、生殖器)も持たない人型をしていた。
「さて、お試しの時間だな。」
キョウが【銀ノセン】を唱えると、足元から数本の銀線が生えてきた。
あれから少し練習したらしく、それら銀線を一本に束ね上げた。螺旋を描いた一筋の銀。
「アイン、これを引き抜いてくれ。」
掴んで引き抜こうとすると予想よりもあっさりと地面を手放した。
「ぶっさせ!」
「オッケー」
ザクッ
銀の尖塔が白い物体を貫いた。
同時にそれは奇声を上げて消滅した。
「悪くないな、キョウ。」
「もっと褒めてくれたっていいんだぞ。」
何も、聞こえない。
§§§
ツレ班
「いやあああああああああ"あ"っ!なにあれえええええ"え"」
「聞いてないよぉ、せんせえ"っ!」
逃げ惑う少女たち、その先には無形の化け物がいた。
同伴した先生は血沼に浮かんでいた。
「………ツ…レ……。【鏖殺塵屠羅刹帝】を……使って…………逃げ…なさい…………。」
「で、でも……先生が………」
「いいんだ、俺は………もう…………助からな…い……。」
「そんな………」
「…………さあ。」
ツレの周りには白と黒の粒子が飛び回った。
それが一点に集結し、球体を成した。
「【鏖殺塵屠羅刹帝】」
その日、女子生徒二名、男性教員一名の死亡が確認された。近隣では一時的に聴覚に障害をきたすほどの爆発音が観測されたという。
補足ですが、ツレ班の構成はツレ、先生、ツレの友人二名です。