銀色の決意
本日ラスト!
もうストックがない…ので頑張ります!
固有スキルが判明して、はや数週間が経った。
父親はとても強力なスキルを持ち、各方面から期待されてここまで育った。
手に入れたスキルは【銀ノセン】。
当初は性質の理解に苦しみ、ゴミスキルを持った、と自らを蔑むこともあった。
父親の影響もあり、最初は攻撃の用途でしかスキルの運用法を思いつかなかった。
そう。
このスキルは今のところ、超防御特化型。
上手く使えば、ある程度強い攻撃も防ぐことが出来る。
銀線の生成に際限はない。
故に。
無限の手数を有する。
§§§
アインは無数の銀線で包んだ【銀ノ方舟】によって一緒に移動している。
地中から生やした銀線を代わる代わる前方に移すことで方舟を動かしている。
【銀ノ感覚】は周囲10メートルの生体反応を感知できるが、その間動くことはできない。
だから移動する時は地面との接触を断つ必要があり、反応を探ることはできない。
ここは、急がば回れか。
はたまた、急ぐが吉か。
やはりここは危険だ。
急ごう。
§§§
100メートルは歩いた。
危険に瀕することはなかった。
中層域は半径おおよそ200メートルぐらいなので、もう半分耐えれば危険地域は抜ける。
浅層域に潜む連中は【銀ノセン】による攻撃でも何とか切り抜けられる。
(何とか………無事にこの森を抜けられれば……)
すると、案の定。
「ヴルルルルルル……」
背後には禁罪者が。
否。
「おまえ…」
図鑑でしか見たことがない。
それも、父親が管理していた専門資料にしか載らないような。
名を、禁罪獣。
目を持たない(瞼すらもない)、ライオンを思わせる風貌だ。
銀線を細分化。
腕に這わせる。
皮膚から銀線を腕の中に入れる。
骨を包むように。
次は筋肉と皮膚の間を覆うように。
そして皮膚の表面を隠すように。
「【銀ノ殻鎧】」
【銀ノセン】の真骨頂とも言える技だ。
展開に時間を有するので今は左腕前腕のみにこの処理を施したが、時間さえあれば全身を覆うことが出来る。
盲目の白獣は突進を始めた。
左腕を前に、右足を後ろに引き、猛突に耐える用意。
歯を食いしばる。
ガツッ!
想像通り、銀色に覆い尽くした左前腕に齧り付いた。
が。
感じるは圧倒的とも言えるその剛性感。
更に銀線で作った即席のナイフをそのこめかみに深く突き刺した。
禁罪獣は暴れるが、深く刺さったナイフを伝って更に中に銀線を伸ばしていく。
やがて、動きは止まった。
「………勝った。」
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