轍の無い物語
初連載になります。
第一部はイッキ載せしてしまおうと思います。
一話につき1,000文字程度を目標にしていこうと考えています。
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では、よろしくお願いします。
ザワザワ
教室内はいつにも増して騒がしい。
月曜日なのに、だ。
それはなぜか。
昨日、日曜日は固有スキルの発表があったのだ。そのためみんな互いに固有スキルを確認しあっている。
「なんだった〜?」
キャピキャピと集る女子数名。
「【銀ノセン】。」
クラスのイケメン、キョウが言った。
テンプレ的にはイケメンでクラスの上位カーストの人間は当たりスキルを獲得するのだが、まだ使い方がよくわからないらしい。
かく言う俺はというと、
「【空歪】。」
そう唱えると、目の前に小さな砂嵐のようなものが出現した。
それは数秒後に消えた。
キョウと同様、よくわからない。
異世界テンプレではご親切に使い方やらが書いてあるマニュアルが「ステータス」として半透明の板のような形で出てくるのだが、そんなことは当然なく、自分で模索していくのがこの世界のセオリーである。
クラスの高揚感は冷めないままに、チャイムが鳴った。
§§§
そのまま時は過ぎ、放課だ。
「アイン、帰るか?」
キョウだ。
「そうだな、今日は部休日だし。」
彼とは帰り道が同じで、すぐに仲良くなった。テンプレとは違って、気さくでいいやつだ。
固有スキルについて、聞いてみるか。
§§§
「【銀ノセン】、だっけか。」
「ん?……ああ。」
「どういう機能なんだ?」
それがな、とため息混じりに話し始めた。
キョウが【銀ノセン】と唱えると地面から数本の銀色をした繊維らしきものが生えてきた。
ふわふわと浮遊し、蠢いている。
「これだけだ。」
少しなら自分の意志で動かしたりはできるらしいが、本人もどう使えばよいのかはまだ模索中らしい。
どうすればいいんだか、と、またため息を付いた。
【空歪】を見せると、お前のはもっとわかんねぇと笑った。
そうしてそれぞれの家路についた。
§§§
家に着くなり徐にベッドに向かい、そのまま倒れ込んだ。
「つくづく想像を逸してくるよなぁ。」
そう、俺は所謂、転生者というやつだ。いちいちテンプレがどうの言っていたのはこれが故だった。
転生して15年が経ちこの世界での生活もなれてきた。昨日はワクワクの固有スキル授与があったのだが、いまいち運用法もわからず、今日の気分は芳しくなかった。
少し話を変えて、なぜ固有スキルというものがあるか。それはこの世界の少し変わった点にある。
この世界には有史以来、贖罪者と呼ばれるものが確認されてきた。
簡単に言えばモンスターやクリーチャーといった類のものだ。
これもまた、テンプレにあるダンジョンの外には出ない親切設計では毛頭なく、普通にそこらに蔓延っている。被害報告も、もちろん少なくない。
それに対抗するべく、人類に備わったのが固有スキルということである。
………というのが15年で手に入れた情報の概要だ。この世界の義務教育レベルの知識だが。
何回か空中に砂嵐を発生させては揺蕩っていた。
前世で寝れなかった分、若い体を使って存分に休もうと思う。
自然な感じにしたかったので分かりにくくなってしまいましたが、主人公の名前は「アイン」です。