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移動魔法持ちは連れて行きたい


 塔から魔術師が到着した、という連絡が入った。


 依頼していた調査がやっと入ったぜー!

 ではなく、魔王討伐の旅への同行依頼のためのはず。

 ゲームでは話しかけただけで仲間になってくれる、と思ってたけど、根回しあったんだね。


 ここでちょっと、ステータス魔法と魔術の違いについて。


 ステータスは、対魔物限定で力を発揮する幻影のようなもの。

 魔物の攻撃で、HPが減っても実際にはケガなどしないように、ステータス魔法の回復を使っても、実際のケガが治ったりしない。


 全ての人類が、ステータス魔法やステータススキルを使える。

 ステータスには、魔物を倒した分しか経験値が入らない。


 国や地域、立場などによって、魔物との戦闘経験が無い人もいる。

 そういう人は、対人戦や、魔物ではない野生動物との戦闘経験が豊富でも、ステータスはLv1。


 最初に知った時、なるほどと思ったね。

 RPGで、強いと評判の騎士団長や傭兵が仲間になった時、何故かLv1の謎が解けたと思った。

 肝心のこのゲームでは、加入時にLv1ではなかったりするけど……


 じゃあ、ステータス魔法以外の魔法は?

 一応ある。使える人はすごく希少。この人達の事を魔術師と呼ぶ。

 生まれつき何か適した属性を一つ持っていて、その属性の範囲内で、リアルに作用する魔法を使える。

 この属性も、女神の恩寵と言われている。

 属性は魔法を使える資質であり、子供の頃など属性持ちでもまだ魔法は使えない時もある。


 魔術師は、時の権力者に捕まって良い様に使われていた過去があるので、魔術師の塔と呼ばれる協同組合みたいなものを作って身を守っている。

 今となっては、結構権力も持っているんで、魔術師の塔に依頼は出せるけど、応えてもらえるかどうかは、向こう次第。


 今回来てくれるはずなのは、魔術師カークライト。

 22歳。チャラ男系イケメン。Lv23と高レベルでパーティーに入ってくれる、最大火力。

 

 ステータス魔法とは別に、移動魔法が使えるのが特長。

 子供の頃に移動魔法を暴発させて、本人にも何処だったか分からないところで、飢えて死にかけたことがある。

 その時、食べ物を分けてくれた人がいて命が助かったのだが、その後さらに移動魔法を暴発させてしまい、恩人の行方は分からないまま。

 普段の態度はチャラ男だが、実は情熱の人。

 命の恩人を探すために、魔術師の塔の依頼をこなしながら世界各地を回っている、という設定がある。 


 移動魔法は、一度はそこまで移動する必要があるので、行きには使えないが、帰りから使える。

 このゲームは、移動範囲はあまり広くないが、序盤から使えるからすごく便利。


「塔から派遣されてきました、カークライトです。よろしく」

「よろしくお願いいたしますわね」

「よろしく」

「よ、よろしくお願いします」


 本来なら、王宮での挨拶のはずだが、ノエルに無理をさせたくなかったので、サザーランド公爵邸に来てもらった。


「娘達をよろしくお願いしますわね」

「あ、あなたは!

 お、俺、十五年前に、あなたに命を助けられたものです。

 恩を返すために、こうして魔術師になりました!」

「え?申し訳ないけれど、覚えがないわねぇ」


 ……突然の展開だけど、スゲー嫌な予感する。


「あなたは忘れているかもしれませんが、俺は、あなたの顔を覚えています!

 そ、それに、これを!

 当時、あなたがくれたスープ壺です。

 特徴的な形をしているから、きっとこれで分かると思います!」

 

 困惑している母を見て、父に頷き、一歩前に出る。

 私はこれから、彼に残酷な真実を告げねばならない。


「カークライトさん、落ち着いて聞いてくださいね。

 先ずはこれをご覧下さい」

 自分の収納からスープ壺を出す。

「お、同じデザイン?!」


「母の娘だから、これを持っている訳ではありません。

 この国の貴族は全員、これと同じものを常に持ち歩いています」


 数代前のとある貴族が、弱った者にスープを飲んでもらうのに、持ちやすくてこぼしにくいスープ壺のデザインを考案した。

 以来、このデザインと材質は貴族の間で共有されている。

 収納魔法は結構余裕があるので、大概の貴族は、これにスープを入れて何かあった時用に持ち歩いている。

 そして、実際に振舞っている機会も、一々覚えていないくらいには多い。


「そ、そんな……

 で、でも、顔が、恩人の顔は忘れていない!!」


「カークライトさん、落ち着いて下さい。

 実は、この国には、母と良く似た人物は非常に多くいます」


 その時、父が祖母を連れてきてくれた。


「え?あ、母娘!母娘なんですよね!」


「ごめんなさいねぇ。義理の母娘で、血縁はそんなに近くないのよ」


「……え」


「カークライトさん。

 今は全てを受け止めきれないと思います。

 近日中に、カークライトさんの恩人と思われる人を探して連れてきます。

 その時にもう一度、向き合ってもらえませんか?」


 その後、カークライトから、当時の事を出来る限り聞き出し、日時、場所などを特定。


 そして

「そ、そんな!

 命の恩人が、三人のうちの誰か分からないなんて……」


「三人にまで絞れただけ、すごいと思うけど」

「わたくしもそう思ってはいますけど……」


 カークライトはorz状態になってしまっている。


「こ、こんなに似通っているなんて、おかしいよ。

 ……ハッ、確か、この国からは、もう一つ依頼が出ていましたよね?

 比較的最近に緊急度が上がったから覚えてます」


「え?ええ、呪いの調査依頼を出しておりますわ」


「……分かりました。

 そちらの依頼、引き受けさせていただきます!」


「え?

 聖女様の旅への同行は?」


「見たところ、聖女様はまだLv上げが必要な様子。

 最後の魔王討伐の時に同行すれば、間に合うと思います」


「え?」


「ふむ、一理あるな」

「そうだね、いいんじゃないかな」

「わたしもそれでいいです」


「え?」


「良かったね。やっと調査入ったじゃん」

「良かったですね。ルルーシェ様」


「え?え?え?」

 いや、確かに頼みましたよ?

 早く調査入って欲しいって思いましたよ?


 でも、このタイミング?


<現在の魔術師カークライトのステータス>


名称:カークライト

年齢:22歳

称号:魔術師(魔術師の塔所属)

状態:正常

Lv  23

HP  ?/?

MP  ?/?

攻撃  ?

防御  ?

魔攻  ?

魔防  ?

命中  ?

回避  ?

*パーティーメンバーではないため、一部情報が取得不可です。


 ほ、本当に!?

 

読んで下さってありがとうございます。


やっとキャラ紹介にひと段落つきました。


でも、まだまだ、世界の説明回は続きます<m(__)m>


説明をしてからストーリーに行った方が、分かりやすいかもしれませんが、

説明が多すぎて、ストーリーまで辿り着けない……


何故こんな設定ばかりが多いヘンテコな世界の事を書いているのか、

色々あるので、完結の暁には後書きを書くかもしれません。


これからも出来る限り、楽しんで読んでいただけるように工夫しながら、

説明とストーリーを少しずつ進めて行きますので、

どうか、完結までお付き合い下さい(切実)


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