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エリクサー=不用品

 

「あ、そっか。これなら、無詠唱になるのか」


 あ、どーも。ルルーシェ・サザーランド@魔王城攻略中、です。

 

 さっき生まれて初めて、ステータススキルを使って魔物を倒しました。


 え? 緊張感無い?


 そうですね。

 私も、この魔王城に入った直後位までは、バリバリ緊張してました。


 でも、ノエルとクレスト、二人の戦いを見て、

「あ、コレ、二人だけで全然大丈夫」と思ってね。


 無理言ってついて来てもらったサーシャ達にも、悪い事したかな、と思ってる。


 ここまでは分からなかったから、足手まといにならないように抜けるというサーシャ達に、構わないと応じる二人に言ったのよ。

「……せめて前衛を入れましょう?」

「大丈夫です。きっと何とかなりますよ!」

「どっちでもいいけど、僕らの戦ってるとこ見てみる?」


 ノエル達の戦いは、先ず、ノエルが敵に向かって行く。

 敵の前衛をノエルが倒している間に、挟撃を狙っている敵や、後衛の敵をクレストが、無詠唱の魔法で素早く倒していく。


 ……無詠唱って何? このゲーム、そんなんあったっけ?

 と思っていたら、現在のレベルと習得レベルに10以上の差があると、発動までの時間とクールタイムが短くなる。

 後は、各魔法やスキルに習熟度があって、これがカンストしてると、威力も増すし、発動時間も減る。

 習得レベルの低い魔法やスキルなら、この条件のどちらか、習得レベルが高くても、両方の条件を満たしていると発動時間が短くなって、無詠唱になるそうな。


 習熟度か。

 ゲームやってた時は気にしてた気がする。 


 クレストは、中級か少し劣る位の魔法を、ノエルの邪魔にならないように細かく連打して、ノエルの戦いを援護しているのだ。

 

 アレ? フレンドリーファイアはしないハズなんだけど。

 と思っていたら、エフェクトの光が目に入ると、視界が塞がれて危険との事。


 ノエルの動きは、速くて大きい上に、ちょっと予測し難い。

 長身とスピードを武器にしていた迅雷親方の教えに加えて、異種格闘技を学んだ影響だ。

 私も一度、ノエルから最も離れた敵に弓を引いたところで、跳んで来たノエルが射線に入って来て驚いた。

 以降、ノエルが相手にしている敵を狙うのはやめた。


 クレストは、徐々に強くなるノエルに合わせて、今のような戦闘スタイルにしていったそうだ。

 対して、ノエルは連携が不得意らしい。

 ……相撲が集団競技じゃなかったせい?


 サーシャ達は、ノエルの邪魔にならない戦いが出来なくて、遠慮してしまったのだ。 


 今は三人で、魔王城に入って割とすぐある分岐の終点にあるエリクサーを取りに行っている。

 無理はしないように約束した。


 ノエル達がエリクサーは要らないと言ったせいだ。


「エリクサー、ですか?

 でも、ルルーシェ様には効かないんですよね。

 要らないと思います」


「僕も要らないと思う。

 どっちかに使う状況だと、残った方がどっちだとしても、残った方も危険な状況になってる。

 全滅して、二人ともルルーシェの称号スキルで全回復した方が良いよ」


 確かに、エリクサーと言っても、リアルのケガや病気に効かないならねぇ……

 オリエント王国では需要がありそうなので、無事に取ってこれたら、持って帰ってもらう予定だ。


 そんな訳で、魔王の所に向かっている。

 

 聖女(回復役)と神官(回復役)と公爵令嬢(荷物持ち)の三人で。


 いや、頭おかしいだろ!


 と言いたい布陣だけど、実際は


 前衛、近接戦闘職グラップラー、回復も出来る。

 後衛、攻撃・回復兼用魔法職。

 荷物持ち非戦闘員、魔物に襲われない特長あり。


 という布陣になっている。


 戦闘員が、必要最低限にも程があるだろ!


 というツッコミはあるものの、問題は発生してないので、最短ルートで魔王に向かっている。 


 魔王城のマップは、サザーランド公爵家に伝わってたので、写しを持ってきた。

 今んとこ、まんま。

 多分、最後まで合ってると思う。


 エリクサーまでの道のりは一本道だから、サーシャ達は大丈夫。


 私は、二人が戦ってる時に、邪魔にならないような位置に陣取って、オートバフ・デバフ係をしている。

 時々、後ろからやって来る魔物を倒しながら。


 魔物がステータス効果範囲内に入ると、ステータスウィンドウが視界の何処か好きな所に現れる。

 スキルなどを使いたい時は、ステータスウィンドウからスキルや魔法のウィンドウを開いて、使いたいのを選んで決定。

 動きに補助が入り、

「スリーショット!」

 勝手にスキル名や魔法名を叫ばされる。

 ……何の恥辱プレイかと思ったぜ。


「そろそろ魔王の所が近くなってますか?」

「そうね。

 次の扉を抜けたら、レッドカーペットが敷いてある階段があるようです。

 そこを上がれば魔王がいるはずですわ」

「ノエルは回復、必要?

 僕は平気だけど」

「わたしも平気です。

 ルルーシェ様の補助はすごいですね」

『女神の使徒』の壊れバフ・デバフですな。


 このゲームは、魔法やスキルに習熟度が設けられているように、魔法やスキルをどんどん使って行って欲しいというコンセプトがある。

 そのために、戦闘終了時にHPMPが5%自動回復する。

 雑魚に使って鍛えた魔法やスキルをボスに使ってね、的な感じだ。

 自動回復範囲内のMP消費に収めれば、MP満タンのまま進んでいける。


 ゲームと違って、画面切り替えの無いリアルだと、弱い回復が常にかかってる状態だ。

 二人は、『女神の使徒』のバフとデバフのお陰で、この自動回復の範囲内しか消耗が無いと言っているのだ。

 やっと、ついて来た甲斐があったわ、私。


 最後の扉を開けた。


「うぉおおおおおおお!!」

 へ?


「ちょ、ちょっとノエル、一人で行かないでよ。

 ルルーシェ、僕、追いかけるから。

 後からついて来て」


 え? え? え?


 突如、雄叫びを上げて、猛然と階段を駆け上がるノエル。

 

 後を追って、やはり風の様に駆け上がるクレスト。


 置いて行かれる、私。


「ま、待って~」


「どすこーい!」


「あー、魔王を張り手一発で~」


 待ってってば。

「ぜ~は~」

 やっと上がり切った時。

 魔王は、倒された後のエフェクトしか残っていなかった。


 ウッソでしょ?!



<現在の公爵令嬢ルルーシェのステータス>


名称:ルルーシェ・サザーランド

年齢:16歳

称号:女神と約束を交わした一族*、女神の使徒、ホープランド国サザーランド公爵令嬢、異世界転生者

状態:正常

Lv  20

HP 1250/1250

MP 2200/2200

攻撃 198

防御 122

魔攻 232

魔防 228

命中 275

回避 105

*称号『女神の使徒』により、味方ステータス50%up、敵ステータス50%down(ステータス効果範囲外でも有効)

*称号『女神の使徒』により、ダンジョン『魔王城』以外で、魔物がステータス効果範囲に入ることはありません。

*隠し称号『女神と約束を交わした一族』により、対魔王戦で、味方ステータス500%up(称号所有者本人には適用されない)




読んで下さってありがとうございます。


誤字報告ありがとうございます。

特長は特徴の良い点だけverという事で、そのままにしました。


24日12時に続きを投稿予定です。

お付き合い下さると嬉しいです。

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