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意味もなく魔王城に近付こうとする貴族達


 あれから、シンと相談して、ちょっと動いてもらった。


 仲間にしそこなったキャラの名前は、バーナード。


 年齢ははっきりとは分からなかったが、二十歳前後。

 傭兵をしている。

 魔物との戦闘経験も豊富。

 言動は荒いが、腕前の評価は高い。

 性格も兄貴分な感じで悪くない。

 

 茶髪茶目と色合いは地味だが、派手なデザインの大剣使い。マッチョ系のイケメン。

 明らかに作画コストの高そうな見た目をしている。


 ……ノエルとクレストとの仲は、拗れきっていてどうにもならなかった。


 傭兵の多い地域らしいので、他の人材も見繕おうとしたが、これも上手くいかなかった。


 バーナードの人望が逆に作用して、傭兵側から好印象を持たれなかったし、二人も受け入れてくれなかった。


 それに、恐らくゲームのパーティーメンバーでないと、ラスダンの魔王城には行けないと思う。


 ゲームには無かった設定だが、魔王城の近くには結界みたいなものがある。

 限られた者しか通ることはできない。

 世界的にはあまり知られていない。


 教会は、女神に選ばれたわけではない者が、不用意に近づいて傷つかないため、としている。

  

 我が国の人間は、結界の存在は当然知っている。

 しかし、通れるかどうかの基準は分かっていない。


 唯一分かっているのが、サザーランド公爵家の人間は必ず通れることだけだ。


 実は、母と一緒に実際に行ったことがある。


 母と私と、貴族の血を引く使用人だけで馬車で行った。

 普通の人間には、戦いの連続になるような場所でも、『女神の使徒』持ちなら、ただの荒野である。

 ある所で突然馬車が止まったので、降りて母と確認した。

 母は好奇心旺盛な人で、サザーランド公爵家に嫁いで来る前にも来たことがあるという。


「まぁ、本当に通れるようになってるわ」

 御者をやってくれている者が、見えない壁のようなものがある、と示してくれた所を通り越して、満足そうな母。

「嫁いで来て良かったわ。魔王城まで行ってみましょう」  


 そんな理由で嫁入り決めたんですか?


「……まだ多少距離がありますよ」


「馬車を使えないかしら?」


「馬が入れないみたいですね」


「……歩いて歩けない距離ではないわね。

 行ってみましょう」


 行ってみた。


「扉が開かないわ」


 辿り着くなり、躊躇いなく、魔王城の扉を開けようとする母。

 そんな豪胆だったんですね。


「お父様の言っていた通りですね。

 勇者様か聖女様と一緒じゃないと開かないんでしょう」

 父は勇者様に同行した時と、それ以前に今の母の様に確認しに来たことがあるそうだ。


「中が見たかったのにぃ」


 普通、あまり行きたい所では無いのでは?


「ルルーシェちゃんが行った後、どんなだったか教えてね」


「ハイ」


 シンにも聞いたことがある。


「俺は通れなかったんスよね」


「あんな何もない辺鄙な所に行くの無駄だとか思いませんでしたの?」


「や~、やっぱ、興味あるじゃないスか。

 結界なんて、普通見られるもんじゃなし。

 あの透明な壁に触れただけでも、行ってよかったスよ」


 実は、ホープランドの貴族は、大概これをやっている。

『女神の使徒』が生えてきたら、やってみること、みたいになっている。

 シンは、称号持ちでは無いので、そういう貴族の御者役になって一緒に行ったそうだ。


 あの国の貴族の好奇心は、時々おかしいと思うことがある。

 

 何はともあれ、シンやゲームでのルルーシェと違って、ノエル達の役に立っていない私だが、ラスダンには私でないと、という予定である。

 前世の記憶なんか有ったために、早めに動き出して、肝心な時に称号持ちになってしまってたことを、挽回しないと。


 バーナードも、いざとなったら無理にでも雇う所存。


 もうすぐ、港のある都市に着く。


 向かっているオリエント王国だが、明らかに日本っぽい国である。

 私達の国や近隣諸国が、文化のデザインだけヨーロッパ中世風なのに対し、オリエント王国は、デザインだけ江戸時代風である。


 個人的にシン達経由で、米や味噌、醬油を輸入している。

 実際に行くのは私も初めてだ。

 密かに楽しみにしてる。和食とか。


 シンの名はオリエント王国由来、シンの母がオリエント王国人だから。

 しかし、シンの容姿は、銀髪碧眼の酷薄系悪役顔。

 私の母と並んだ方が親子状態である。

 シンの母は、童顔で可愛らしい。

 彼女のDNAが全く仕事出来ていない事を、心の底から残念に思わずにいられない。


 似通った容姿が必ず生まれてくる、という特性を利用すれば、浮気し放題な私達の一族だが、そういう事例は見聞きしたことが無い。

 妙なくらい潔癖なのだ。

 浮気や愛人にエネルギーを使うくらいなら、趣味に使う!という感じもあるが。

 

 見た目だけでなく、能力や性格、考え方も良く似通っている一族のあり方を、時々疑問に思う。

 私自身にも特徴が当てはまっているようだし。


 カークライトの調査が良い結果を教えてくれるといいけど。



<現在の行商人シンのステータス>


名称:シン

年齢:19歳

称号:行商人

状態:正常

Lv  23

HP 2460/2460

MP  980/980

攻撃 254

防御 273

魔攻 187

魔防 201

命中 261

回避 272



読んで下さってありがとうございます。


最後までお付き合い下さると嬉しいです。

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