印象的で覚えている事と、覚えていて役に立つ事は、違うよね
ホープランド国の王都は、国の最南端にあって、その南が毒の湖沼。
毒の湖沼を渡ってしばらく行くと、もう隣国である。
目指すオリエント王国は、地図上では、この付近の東にある。
しかし、地形や海流的な問題があって、この辺りには小さな港しかない。
オリエント王国に向かうには、結構な荒波にも耐えられる大型の船で航海する必要がある。
国をもう一つ分位、南下して、やっと適した港があるのだ。
ともあれ、その前に、次のパーティーメンバーを仲間に入れたい。
確かLv20位で仲間になってくれるはずなので、ノエル達のLv上げは進めて大丈夫。
ホープランド王国から持ってきた情報を元に、小さなダンジョンに寄って行く。
ある程度の深さや広さのある洞窟があると、瘴気が溜まって、ダンジョン化してしまうと考えられている。
ノエル達の道行は、当然、各国の首脳陣も分かっている。
時間短縮のために、挨拶は私だけにさせてもらった。
この辺りの国は、聖女や勇者がほぼ必ず通るので、向こうも慣れたものだ。
無茶を言われることなく、ダンジョン攻略に協力してもらった。
そうして、次のパーティーメンバーを仲間にできる都市に着いた。
ところで、今更なのだが、私はこのゲームの事を隅々まで覚えている訳ではない。
自分では結構覚えてる方だと思う。
でも、印象的で覚えている事と、覚えていて役に立つ事は、違うよね。
実は、ルルーシェの名前も覚えてなかった。
ゲームをやってる時は、ルルーシェのことを、システムさんと呼んでいたのだ。
RPG派攻略板の人も、システム令嬢とか呼んでたと思う。
でも、この世界の事を、家庭教師に教えてもらって、
両親から、サザーランド公爵家は、代々、聖女や勇者の旅に同行して助力をすることを、家訓としている。そう聞いて、
「私ってもしかして、システムさんなのかな」
そう思った。
それからは、出来るだけゲームの事を思い出せるように頑張った。
思い出せたことは、書き留めておいた。
でも、思い出せないことも沢山あった。
例えば、ダンジョンが何処にあるかとか、
どこのフィールドの魔物がどんなのとか、
それぞれのボスキャラがどんな特性だったかとか。
重要な情報だったが、思い出せなくても、困らなかった。
サザーランド公爵家を始めとした、ホープランドの貴族達が、それらの情報を集めていたから。
なんなら、魔物図鑑などを作っていて、重要輸出品目になっていた位だ。
アーノルド達のことも思い出せなかったが、困らなかった。
向こうからやって来たから。
むしろ、やって来てくれて思い出せたみたいな。
という事で、ここまでは困らなかった、という言い訳をしているんだけど。
何が言いたいか、
次に仲間になるはずのキャラの事が思い出せません。
……場所はこの都市で合ってると思うんだよ。
王子達を復活させた直ぐ次の都市で、出会ったはず。
高い金払ったけど別に急ぐ必要なかったじゃん、と思った覚えがあるから。
そんな訳で、今、世界の強制力が働くのを待ってる。切に。
「ねぇ、いつまで街の中を歩き回ってるの?
そろそろ疲れたんだけど」
「どこかに行きたいのではないんですよね?
ずっと、同じようなところを回ってますし」
二人を連れて、広場っぽい所をはしごして回ってる。
偶然の出会いを期待して。
でも、そろそろ限界だな。
「そろそろ、宿に戻りましょうか」
明らかにホッした様子の二人と、取ってある宿に戻る。
……シンと相談したりして、人探しの算段を考えなきゃ。
ボーっとしていたせいか、人にぶつかってしまった。
「っと、悪い。大丈夫か?
って、随分、性格悪そうな顔してんなぁ」
!! 強制力、キターーーーーー!!
「あ、あの、
「ちょっと!
そっちからぶつかって来て、何なの、その言い方!」
「そうですよ!
ルルーシェ様に謝って下さい!」
わたくし達の仲
「なんだと!
ぶつかったのは謝っただろうが!
性格悪そうな顔はただの事実だ」
間になっ
「はぁ?言うに事を欠いてそれ?
もう行こう。こんなのと付き合ってても時間の無駄だよ」
「そうですね!
こんな失礼な人初めて見ました」
て下
「なんだと!そりゃあこっちのセリフだ」
さい」
猛然とした勢いで、私達と遠ざかっていく、キャラ。
そして、私を引きずって、これまた猛然とした勢いで、キャラと離れていく二人。
その後、私は気にしてないと説得しようとしたり、シンに間に入ってもらったり、日をおいたりした。
しかし、キャラと二人の関係性は改善しなかった……
<現在の???のステータス>
名称:???
年齢:?歳
称号:?
状態:?
Lv ?
HP ?/?
MP ?/?
攻撃 ?
防御 ?
魔攻 ?
魔防 ?
命中 ?
回避 ?
*パーティーメンバーではないため、情報が取得不可です。
絶対仲間になるはずのキャラだと思うんだよ!?
強制力無いのが、裏目に……
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