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ただし二次元に限る

今回、とある事情により、ルルーシェの様子がいつもと少し違います。


 つとに思う。

 キャラの魅力として語られる属性には、現実には魅力と思われないものが含まれる。

 いわゆる、二次元に限る、というものである。

 例えば、ツンデレ・ヤンデレやヘタレ、など。

 なお、異論は認める。


 ただし、


 メシマズ属性


 これに関しては、異論を認めない。



 何故、この結論に至ったか、発端の出来事を紹介しよう。


 それは、港を目指した南下の旅、その途中のある日。

 

「あ!あの鳥。

 美味しいんですよね。

 でも、あんなところに居たら、どうしようもないですよね……」

 木の上を指さし、そんなことを言い出すノエル。


「あれぐらいなら、わたくしでも射落とせましてよ。

 ただ、わたくしに捌く技術はありませんけど」


「捌くのはわたしが出来ます!」


 孤児院育ちのノエルは、ある程度大きくなってからは、孤児院の窮状を何とかすべく、色々やっていたらしい。

 野鳥を捕まえて捌くのも、結構経験があるようだ。


 慣れた様子で、鳥を捌くノエルを見ながら、ふと思った。


「二人はいつも、わたくしの料理を食べたがりますけど、二人も料理できますよね。

 たまには、二人の料理をわたくしも食べてみたいわ」


 教会で大事に育てられてきたクレストは世間知らずだが、受けてきた教育は結構高等だ。


 ステータスでなく、リアルのケガや病気を治すような薬が調合できる。

 この世界のリアルのケガや病気は、前世同様、ゆっくり治すしかない。

 クレストの技は、前世であれば、漢方薬が調合出来るようなものだろう。

 

 鳥を捌く事の出来るノエル。


 薬が調合できるクレスト。


 この二人に料理技術が無いとは、思えない。


 私の突然のリクエストに顔を見合わせる二人。


「やってみよっか」

「そうですね」


 そうして出てきた、ノエル作の鳥肉料理とクレスト作のスープ。



 先に出来上がったノエルの料理から。


 焼いた鳥肉に焼いた根菜が添えてある。

 見たところ、焼き加減も失敗していないし、人参に似た根菜も奇麗に切られている。 

 普通に美味しそうである。が、


「あっま!!

 え?激甘だけど?

 あと、なんかジャリジャリする……」


「お、お砂糖は美味しいから、いっぱい入れたらもっと美味しくなると思って……」


「一壺入れたの?!」


 砂糖が、調味料の量ではなく、具材の量で投入されていた……



 ……次は、クレストのスープ。


 クレストのスープは、シンプルな葉野菜のスープ。


 薬に詳しいと自ずと毒にも詳しい。


 事故の起こりようの無いメニューである。


「味が薄いです……」


「塩は入れたんだけどなぁ」

 

 そう、味が薄い。

 それは確かだ。

 しかし、十分ではない。

 このスープの持つポテンシャルを表現しきれていない。 


 例えて言うなら、


 雪降り積もる地方の冬、

 どんなにしっかり戸や窓を閉めても、暖房なしでは、

 冬の寒さが人体を着実に蝕んでくるように、

 

 ゆっくり這い上ってくる、この苦みとエグ味。


 そして、遠雷のように

 

 時折、舌を突き刺してくる痺れ。

 

 問わねばなるまい。


「クレスト。

 この具、薬草ですね?」


「そう。

 疲労回復効果のある薬草を使ったんだ」


「え?クレスト様ったら。

 揉んで湿布として使う薬草じゃありませんか」


「そうだけど?

 食べても毒じゃないよ」


「クレスト様。

 食べても毒じゃないと食用は違うんですよ」


「そうなの?」


「……クレスト。

 中の薬草は取り出して、湿布にしましょう?

 それから、

 二人には悪いけど、料理は、わたくしが作り直させてもらって良いかしら?」


 その後、二人に了承をもらい、二人の料理をシチューに作り直させてもらった。


 我慢すれば食べられる。


 三人で無言で食べきった。



 思わぬことはあったが、私の結論は変わらない。 


 鳥を捌く事の出来るノエル。


 薬が調合できるクレスト。


 この二人は料理が出来るはずである。


 したがって、



「料理は今後もわたくしが作ります」


「「よろしくお願いします」」


 上達まで付き合う気はない。




<現在の聖女ノエルのステータス>


名称:ノエル

年齢:16歳

称号:聖女

状態:正常

Lv  15

HP 1260/1260

MP 1740/1740

攻撃  136

防御  164

魔攻  171

魔防  182

命中  164

回避  160


 シンと一緒に、序盤のダンジョンに行ってもらってましてよ。


読んで下さってありがとうございます。


今回いつにもまして短いですが、

二人の料理の衝撃で、劇画タッチのようになってしまったルルーシェ、

のイメージで書いてまして、

その状態で統一したかったので、ここまでにしました。


これからも、お付き合いいただけると嬉しいです。


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