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第六話 絵本の書

 二人は帰ってくるであろうソルに向けて、お菓子を作ろうとしていた。

 そういえばとレイラはいきなり家を飛び出した。何だろうと不思議に思いつつシャイニーは時間がないので一人で始める事に。

 料理が趣味なのもあって手際良く進み、ある程度進んだ所で疲れて息を切らしているレイラがやっと帰ってくる。

 一冊の本で地上にもあったらしい「お菓子の国へようこそ」という絵本であった。

「どうしたの? とりあえず座りなよ」

 台所にある丸椅子に座らせて水を注いで飲ませる。お菓子の国について描かれている絵本はその国にも騎士がいて、暮らしている人がいて、家も何もかも食べ物で出来ていると噂もある。

 敵対関係にある空の国・スカイスペースに地上の本が存在しているのが謎だが、とりあえずそこまで考えないようにした。

 絵本だしきっとこの国の誰かが妄想で描いたのだろうと自己完結。

「こないだ見た時に以前読んだのを思い出して、急いで買ってきました。ソルにも見せたいです」

「帰って来たら見せようね! さ、お菓子作ろ」



 ソルが帰って来たのは正午間際でシャイニーに頼まれた物も買ってきた。少々間違ったり余計な物も入っているが、前に比べればまだご愛嬌レベルか。

「見てください! シャイニーさんと二人で、頑張って沢山お菓子作りました!」

「確かに多いな。嬉しいよ」

 満面の笑みで自信作のお菓子を手に持たせる。不器用な笑顔で返事をするように一つ小さいドーナツを頬張った。

 3人楽しい昼食をしている中、来客のベルが鳴る。

「……この足音、リップル姫の物だ。オレが出る」

 急いで行って開けると案の定リップルがいて、背後には数名の鎧をまとった騎士も立つ。

 ソルは目だけではなく耳も鋭く長い期間戦いに明け暮れて手に入れた、一つの特技だ。

「一般市民のオレに何の用だ。勧誘ならお断りする」

 いきなり両手で片手を握ってきては、縦にブンブン振ってきた。

「こないだは私が悪かったわ! とにかく戦争を終わらせたいの。国民を楽にさせたい!」

 意思は確かに伝わった。悪い物でもない。

 だがレイラや自分、他の仲間が求めているのは和解のルートであって国民の安泰ではない。

 どこまでも姫君を貫くのは、騎士団を脱退したのが惜しくも感じている。

 今なら戻っても普通に許されるか? と思考が脳裏でフラッシュした。

 背後できっと心配しているシャイニーとレイラの事、一足先に騎士団を辞めたファイアを思い浮かべて、心を鬼にし気が滅入らないようにと腰に力を入れる思い。

「お言葉ですがオレ達は地上の騎士との和解を求めます。方針が違うので、今の所は戻るつもりはありません」

「本当にお願い!」

 あんまり反発していても、世話になった事や空の民に対する誠意も加味して難しい選択だなと悩む。

「……三日前後時間ください。それで、全て出します」

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