第三話 レイラの飛行機逃避行の書
時を遡って、レイラという身寄りの無かった金髪の少女がスカイスペースに来るまでのお話です。
地上の民は今日も天候に一喜一憂していました。
今日は雨の日。真夜中のこと。
路地裏の雨を避けれる空間で一人壁に身を委ね寒さに耐えている。
かなり雨水に打たれてしまい、とても寒くこのままでは命すら危険ですね。
ゴミとして捨てられいた毛布を拾った事を思い出し、薄いですがなんとかそれで今夜をしのごうとします。
ママやパパの顔も知りません。物心ついた頃から一人です。でもいつか学校に行けると信じ算数も言葉も一人で頑張って覚えました。
今の所願いは叶わず、地上のこの国に嫌気が差してきました。
今日もそんな嫌な考察を重ねながら気づけば深い眠りへ。
起きた頃にはスッカラカンに空は晴れ渡り、ふと体育座りで寝ぼけているレイラの前に、大人のような誰かがいます。
「頭いい子なんだね。地上なんかより空で暮らせばいいのに」
少々若い男性の声でしょうか、ハスキー混じりで呟いては立ち去ってしまいます。
空。
よく空には天空の国があると謳われているのを聞きます。いつも地上の騎士はそこに戦争を仕掛けていると。
ある考えがよぎります。正直ぶっ飛んだ考えなのは分かっていました。騎士団の飛行機を盗み出せば、もしかしたら空にある国に行けるかもしれない。
このまま餓死するよりはマシ。思い切った割り切りで奮い立たせ数日間に渡って計画を練る。
夜も監視はいますが特定の数名の騎士は居眠りをしており、また運のいい事に人数の少ないシフトです。
そこから一定の時間が経ち、暦上居眠りするグループの騎士達の日がやってきました。
秘密の抜け道を葉を頭にかぶりながら通りすんなり飛行機の前に着きます。
小声で「ん」と声に出しつつガッツポーズ。
しかしここまで来て操縦の方法が分からないという壁に直面してしまいました。
やっぱり帰ろう。事故を起こしてしまっては意味ないと踵を返した視線の先、フードを深くかぶったあの時の謎の男がポケットに手を突っ込んで立っています。
「やっぱり来たね。期待通りだ。面白いネタバラシをしてあげるよ! 秘密の抜け道を作ったのもやる気のない騎士のシフトを組んだのも僕だ」
「どういう事、ですか?」
この間の発言的には空の住民でありそうだったと勝手に考えていたが事態は急転、地上の騎士団を明らかに管理しているような発言が何個も飛び出す。
「また逢えた時に説明するよ! 時間がない。行きたまえ……!」
操縦の解説書を手渡されて、手を引かれ半ば強引に操縦席に乗せられてしまう。
モヤモヤしながらも、どこか暖かさも感じていました。
プロペラが回転する騒音で監視の騎士が飛び起きますが、謎の男が即座に気絶させ手を振ってレイラを見送った。