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第十話 フォースの魔法の使い方

「あわわわ……」


 泡を吹いて倒れたファイアを見て、ゲラゲラと赤ずきんの少女は笑い転げる。

 訳も分からずポカンと眺めるシャイニーもほぼ放心していた。

 一生分くらい笑った赤ずきんは深呼吸をしその辺にある切り株に座り込む。


「うちの名前は"レットフル"だよ! あなたは?」

「え? わたしはシャイニー フォースでこの情けない男がファイアくん、です」

「うん! じゃあおばあちゃんの家に案内するから、その男なんとか引っ張ってきてね」


 早く起きて欲しいとめんどくさがりつつ、置いていくのも酷だと思い仕方なく背中の袖を掴んで持っていく事に。

 お尻で砂利と雑草を巻き込みながら情けない男はまだ意識が空の彼方にある。

 道中優しい熊さんとか、可愛らしいウサギに恐怖! 巨大バッタ男などなどこちらはこちらでメルヘンな光景をシャイニーは垣間見ていた。

 結局最後まで起きなかったどころか、イビキをかいて寝ているのを見かねて兄のソルに教えてもらった電撃の魔法、小規模でしか出せないがそれをファイアへ放つ。

 まるで攻撃力はないが流石に起きる程度にはビリッときたようだ。


「すごい! 色んな魔法使えるとは!」

「い、いや。攻撃力ないし、兄の猿真似っていうか、そんな感じです……」


 またしてもソルの、今度は背中がフラッシュバックする。すぐさま考えないようにしつつ切り替えて、誤魔化すようにファイアに説教を始めた。




 レットフルの祖母のおもてなしを受ける空の民二人、ファイアは「こいつはうめぇ!」と肉と野菜と魚と、なんの躊躇もなくガツガツローテーションで食す。

 両手で頬杖をついてレットフルはシャイニーを見る。


「ねえねえ! どんな魔法なの? 雷とか氷とか、そういう属性じゃない魔法に感じる」

「わたしの先祖から伝わる『フォースの魔法』、ですね。自分にはそこまでの魔力はなかったけど、兄は騎士団で最も強い人」

「フォースの魔法。聞いた事ないなぁ、今度調べてみよっと」


 同じ血縁で生まれ、平等になるように育てられたはずなのに兄ばっかり露骨に強い気がしていた。ずっと。

 その話を聞いてファイアがフィッシュ&チップスのカスを頬につけたまま箸をシャイニーに行儀悪く向ける。


「おいおい。フォースの魔法は鍛えるんじゃないんだぜ。使い方教えてやるよ」

「へ!?」


 逆に情けない返事をしてしまう。

 そういえば、ファイアもソルから魔法を受け継いだ人間である事を、ついさっきまで忘れていたと考える。

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