お口が悪うございます
夕食はビュッフェスタイルだった。
ちょっと話したことあるな、くらいの子からも声をかけられ、疲れた。
夕食が終わり、就寝時間までの1時間半ほど、また自由時間がある。
ここでれおは杏奈ちゃんに告白するつもりだ。
どうなるんだろう。
付き合ったら付き合ったでまあ、いいけど。
あわよくばれおはフラれて欲しいと思ってしまう。
ダメだ。フラれてから心が荒んでる。
さやか誘ってプラネタリウムでも見に行って心落ち着けようかな。
「何で?!おれじゃダメなの?」
うるっっさい。叫ぶなアホ。
れおの声だ。大方、杏奈ちゃんにボート誘って断られたんだろう。夕食会場にはもう居なくなっているから、そこをちょっと出た踊り場みたいなところだろう。
さっさとプラネタリウム行こ、と思い、さやかを誘う。
さやかは戸惑いながらも、行こう行きたかったんだと言い、2人で席をたつ。
出口は2つしかないので、声が聞こえなかった方から出たのだが。
考えてみれば、「夕食会場から踊り場に出る出口」が2箇所あるだけで、「その踊り場から玄関へ移動する通路」は1箇所しかない。
つまり、その修羅場の横を通らないとプラネタリウムに行けない。
とは言え、関係ない修羅場ではあるので、さやかと顔を見合せ、ちょっと早歩きで脇を通り過ぎよう、と決める。
その間にも2人は言い合っている、と言うか杏奈ちゃんは「ごめんなさい無理です」といい、れおが一方的にワチャワチャ言っている、会話と呼べるかも怪しいものをし続けている。
「ボートに一緒に乗ろうよ!おれが奢るから!」
「いえ、結構です。。私はボートに乗りません。」
「何で?酔うの?」
「そういう訳ではないけど…。」
「おれもう付き合ってないから遠慮はいらないよ?」
「それは今は関係なくて・・・」
杏奈ちゃんはどんどんしりすぼみになっていく。
押されてるなー。
頑張れー杏奈ちゃん。
ちょっと他人事感強くない?ってさやかに囁かれたけど、実際に他人事だから。
あ、2人が見えてきた。そして2人の奥に出口が!
「はっ!もしかしてゆめから何か嫌味とか言われた?あいつ機嫌悪い時口悪くなるよなー。性格の悪さ出てるよ、って感じ。
あ、やられてたら教えて!助けるよ。」
そんなことしてないし。そう思ってたんだ。
そう思い、進めていた足が止まってしまう。
れお越しに杏奈ちゃんが俯いたのが見える。
私のちょっと前でさやかが止まり、戻ってきて私に寄り添ってくれる。
しばしの沈黙。
杏奈ちゃんが顔を上げ息を吸い込み。
「んな訳あるか尻軽男ー!尻も軽けりゃおツムも軽いな、あんた。ゆめさんを侮辱するのは違うだろ。」
杏奈ちゃんがキッとれおを睨みつけているようだ。
こっちからはれおの表情は見えないけど、体がビクッてしてビビっているのが分かる。
あ、杏奈さん?
なんか口悪くなってますわよ?
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