思わぬところに落とし穴
1時間に2話ごと更新します。
今日の16時に完結です。
「ゆめ、俺と別れてくんない?」
唐突に告げられた別れ。
頭の中は真っ白になった。
「え?れお、いきなりどうしたの?」
周りにいる学友達がザワザワとし始める。
私は口は半開き、眉は八の字、と少々滑稽な顔をしている気がするが、驚きすぎてそれを気にする余裕もなかった。
どうして、どうして今そうなった?!と思う気持ちを抑えられないのも無理はないと思う。
そう、今は修学旅行の1日目。
別れ話が出るどころか、なんならこの日のために付き合うようなカップルが大勢できるような日だ。
そしてこれは、今からホテルへ向かうための集合場所、集合時間5分前の出来事。
これの一つ前の行程で遅れていたことから先生は生徒たちにきつく「10分前にでも集まれ」と言われていた。
また、朝からはしゃぎすぎた疲れから早くホテルに行きたい、と思う生徒が多かった。
そのため過半数の生徒が今この場に、集まっている。
そんな中での別れ話。
正直、私の彼氏がここまでバカだとは思ってなかった。
これは、もはやバカでは無いのかもしれない。
何がなんでも目立ちたい目立ちたがり屋か、とんでもない考え足らずかのどちらかなのか?
驚きすぎてむしろ冷静というか、いや、冷静ではないけど。
頭はどうでもいいことに対してめっちゃ早く回転してるかも、とかなんか色々。
私がひとりでグルグル思考していると、
私の目の前で別れを告げた彼氏、れおはチラチラと何かを見ては微笑んでいる。
何してんの?
「えーーっと?さっきから何見てんの?」
なんとなーーく察したわー。うざっ。
「ん?何も?」
ハッとしたようにこちらに視線を戻しれおが言う
「知らないけど。別れる理由、その子?」
ちらっと目線をやると、れおの視線の先にいた女の子は肩をビクッとさせ、目を逸らす。
あの子、隣のクラスの杏奈ちゃん、だったかな、確か。
「いや、まぁ、、。そう、かな。好きな子できたから。」
あーーこんな男と付き合ってたのか自分!バカだ!!
まあ、これも学生時代の1つの経験。
これからの教訓にして生きていこう。決めた。
と一人心の中で決心を決めた。
「分かった。別れよ。」
端的にそう言った。
すると、とびきりの笑顔でれおが
「ありがとう。ゆめならそう言ってくれると思ってた。」
と言い、離れていく。
まあこんなことされてまで付き合い続ける程の魅力がないのでね、あなたには。と心の中で悪態をつく。
まじかー。まさか今日フラれるとは思ってなかったなー。
今から行くホテルも自由時間中に海に行けたり、プラネタリウムがあったりと、ロマンチックな思い出作りが出来そうだな、なんて楽しみにしていたので、
こんなクズな彼氏にフラれたとは言えども、多少なりともショックは受ける。
周りを見まわすとこの騒動が始まる頃より人が増えている。
こちらの様子を終始みていた学友達もこんなのの後で声をかけづらいのか私を遠巻きにしながら、後から来た人に話したり噂し合ったり。
居心地サイアクだ。