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いや見捨てられますか?

あれきりだと思っていた天国に舞い戻ってきた。今となってはもう本当の死地に赴くようなものなのだけれど。


昨夜入手した本をどこかに置いてきたことに気づき、体は疲れているはずなのに、目は冴えるし、悶々とするしで寝れなかった。図書館に訪れたところで本当にそこで落としたとも限らないし、あの本は諦めて父様やカエティに頼んで注文するということも考えたけれど………やっぱり諦めきれなかった。ダッテ1週間カカルンデスモノ!


ということで今日も早朝から屋敷を抜け出して王立図書館へと足を運んだわけである。多分今の私は門の柱でキョロキョロしている怪しい子にみられていることだろう。大丈夫、あの馬車はないからキース殿下はいないはず!さくっと探してぴゅっと去ってしまえば問題ないはず!


「…ない」


なかった。どったんばったんしてた辺りを重点的に探してみたけれどない。受付に届けられたかと思って聞いてみたけれどない。…走っているうちに落としてたかもなぁ…それじゃあ探しても出てこないわ。


「おい」


………聞き間違いよ。彼がこんな風に威圧的に人に接することがありますか。


「おい、そこのお前」


だから聞き間違いよ!というか忙しいあのお方が2日と続けてここにいるはずがないじゃないか。


「そこの帽子をかぶって這いつくばっているお前だ」


そんなふざけた格好しているのは私だけですね、はいこんにちは。深く帽子を被ってなるべく目が見えないようにする。


「………何か御用ですか」


振り返るともう2度と会わないつもりだった、目立つことを避けようとしたのか地味だが品の良い格好をした王子様が立っていた。その後ろにはなぜかニヤニヤ笑っている昨日の彼のお付きの方…思い出したガレックスさん。豪快で大食いだとそういった評判が立ってたような気がするわ。それにしてもなんでここまで近づいてくるのに気づかなかったのかしら、私。うーん、夢中になると周りを気にしない性格なのね。というか何故、話しかけてくるのよ~!!!はっ邪魔だったのか、そりゃあこんな本と本の間で蹲ってたら邪魔よね!


「お前が探しているのはこれか?」


違かった。


「あっそれ!」


彼が持っている袋の包装紙は昨日の本屋さんのもの。…拾われて回収されていたということ?受付に預けてくれたらよかったのに。いやいや親切心からだということにしよう。


「あっありがとうござ…」


ヒョイっ


受け取ろうと伸ばした手は空を切った。

えっ?もう一度手を伸ばすけれどまたも紙袋は飛んでいく。……?


「少し付き合え」


えっ逃げていいですか。

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