第八章『実力』
「まぁ、君に会いたかったんだよヒャヤルサ君。君とは会うのは初めてだね。弟さんの方とは昨日少し世間話をしたんだけど、君のことすっごく褒めてたよ。魔力がもう溢れ出てるって。妹も言ってたよ。合格者の中でも一番の魔力保持者だって。だから君はそこまでおどおどしなくていいんだよ?みんなもね。」
あれこの王子さん私のこと庇ってくれた…?ってか星夜が褒めてた…?それは嘘だぁ。
「いやでも王子!平民がそんな力を持ってるなんてありえません!」
こいつは…えっと青髪だから…、ウライスか。頭が固くていらっしゃる。困ったものだ。どうしたらいいものか。今後このクラスでやってくためには多分私の実力を見せないとうまくやらないといけないだろうし…。
「えっと、王子様。」
「王子様はやめてくれよ。ヒャヤルサ君。いや、サリナ。ユーでいいよ。」
「じゃぁ、ユー。庇ってくれてありがとう。でも大丈夫。私がきちんと証明するから。少しの間だけ、外を使わしてもらっても構わないかしら。」
ユーって私が言った時青髪と金髪がワーワー言ってたけれど気にしない。何で外かっていうとね何の障壁も無いところなら魔法をぶっ飛ばしても大丈夫だからね。…口が悪くなってるね。ごめん。
「別に良いぞ。ヒャヤルサ君!」
あ、ここは先生が答えるのね。よっし。外に出て一発魔法をぶっ放そう!この休みの間に本読み漁ったから色々と知ってるからね。この世界には魔法の種類が色々あるらし。下級魔法と中位魔法、それから上位魔法。下級魔法には水、火、風、それから、光。中位魔法には水と火を合わせたりしてブレスとか水と風を合わせた流風とかがある。上級魔法としては闇、炎、氷、精霊力、時、雷、後は色々合わせたものがある。私は色々と調べながらやってみたが炎系が一番しっくりきた。まぁ他のもできたけど。
「んで、何を見せてくれるんだ平民ヒャヤルサ君よ。我々貴族はこんなんもできるんだぞ?」
もう名前も覚えましたよ…。ウライス君そこまで言わずとも、見させてもらいますよ。っていうか、敵に手の内を見せるのね。
『耀く光を宿し
雹龍キュリラス
我に力を与えよ
デスチャージ!』
そう唱えると彼の右手から魔法陣が発生し氷の礫が飛んでできた。できんじゃん。
「どうだ!見たか?これよりもいいものを見せてくれるのかね?ん?」
煩いね。ウライスもそうだがクラリスもニヤニヤしてんじゃ無いよ。
「本当に大丈夫…?サリナ…」
シャナまでそんな顔して。
「大丈夫。大丈夫。まぁ見てなさい。」
そう私はシャナに言って右手と左手を重ねて出した。
『熱き炎を纏う者よ
我の右手に力を分け与えたまえ
水を使いし力ある者よ
我の左手に力を分け与えたまえ
デスチャージ!』
そう言って私の右手と左手にそれぞれ違う魔法陣が出てきて組み合わさって独自の魔法陣を形成した。そうして私の掌からは少し炎を纏った蒸気が空高くまで登って爆発した。
『は…』
皆さん口が開きっぱなしですよ。
「な、何をしたんだ…?」
クラリスが恐る恐る私に聞いてきた。
「別にそんな難しことはしてないんだけどなぁ。炎系統の魔法と水系統の魔法を合わせてドーンっとやっただけだよ。」
そう。私としてはそんなにすごいものをやったわけじゃないのだ。凄いのならもっとできる。いつかあの本で読んだ魔法を完成させたいものだ。
「難しいことはしていないって…いやしてるでしょ。系統の違う魔法を合わせるなんて思いつきもしなかったぞ…。」
ウライスがボゾボゾと呟いた。
「いやぁ、お見事。やっぱりスルイロくんの言う通りだったねサリナ。それじゃあみんなも分かってくれたかな?サリナの魔法はみんなの比じゃないと言うことを。」
コクコクとみんなが頷く。はぁよかった。これでわだかまりは溶けたかな。
「ありがとうユー。私のためにわざわざこんなことまで。それと先生もありがとうございます。」
「いやいや、私の方こそありがとうだよヒャヤルサ君!」
「こんなことでお礼を言うなんてサリナはいい子だね。」
この王子様めっちゃ恥ずかしいことサラって、サラって言った!顔が赤くなってることが分かる。ヤダ。恥ずかし!!
「サリナァ~。よかったぁ。にしても凄いね!私もサリナみたいになりたいなぁ。」
シャナが教室の帰り道に私に抱きつきながら言った。ほんとこの生物はかわいいの塊でしょ…。
「ごめんごめん。心配かけて。後で教えてあげるよ。ちょっとややこしいやつだからさ。」
「サリナ。それならクラブを作ってしまったらどうだ?多分入る人は沢山いると思うけど」
「なにそれユー。クラブ??」
クラブって部活みたいなもんかな。それってなんか面白そう。