第四章『いざ王都へ!』
そんなことをしていたらすぐに私たちの番になってしまった。
「こんにちは。身分証明書をお願いします。」
「ほい。あとこの子達の紹介状だ。ちょっと手続きが面倒かもしれないがよろしく頼む。」
「はい。……ってザール男爵?!それもイチラス様?!何かの間違いじゃないですよね…。」
「おいおい、証明魔法使えばいいだろ?」
「あぁ、そうでした。失礼します。
汝の秘密を示せ。そなたはザール男爵、イチラスか?」
「その通りだ。」
「本当嘘ついてませんよね?男爵なんて普通徒歩で出歩きませんよ。本当。……んで、そちらの方々は、……」
「あぁ、ちょっと荒地の方で火炎魔法が発せられているって言われたから調べに行ってたんだ。だから俺の班の同行者だ。」
「はいわかりました。へい、どうぞ。同行者の方は…顔見知りですね。そこのお二人さん。ようこそクルシャニカ聖王国へ。」
「ありがとう。」
なんだなんだ。何にも口挟まずにニコニコしてたけど色々あったみたいだぞ…?
「ねぇ星夜。この人偉い人?男爵ってどの地位?」
「貴族階級では一番下だけどまぁ平民から見りゃ立派な貴族様だな。」
「ほぇ~、本当に偉い人だったんだねぇ。」
私と星夜は改めてイチラスさんのことを偉い人だと認めた。
城壁の中に入るとそこには石造りの建物が所狭しと建っていた。石造りって言っても一括りにはできなくて、丸い石やら赤い石やら色々種類が違くて見ているだけで楽しかった。すれ違っていく町の人たちの服装も異世界物でよく見る服で、少し羨ましかったりもした。
「すっごい。何かカラフルで綺麗だね。」
「そうだな。ずっと見てられる。」
私と星夜は、首を忙しく動かしながら色々なところを見ていた。その行動を面白く思ったのか、イチラスさんのメンバーの中にいた女の人が笑い出した。
「クス。お二人とも可愛くて、見てて面白いわ。そんなにここが気に入った?」
「えっ、可愛いなんてそんな…。でもここのことはすっごく気に入りました。」
「そんなに、謙遜しなくていいのよ。男の子だからって意地を張らなくても。」
珍しく星夜が動揺してる。ちょっと見てて面白い。いやかなり面白い。やばい、笑いが止まらん。
「サリナまでっ!俺そんなに…可愛く見られてるのか?俺のキャラぶれぶれやん!」
「あはは。おかしいよ。だって、せい…スルイロ自覚してなかったんでしょ?
もう笑いが…っ」
「ひっど!」
そこからはみんなで星夜のことを笑っていた。ただ一人星夜だけ、恥ずかしいような拗ねてるような態度だった。
「ハハ、、ちょっとここまでにしといて、サリナ、スルイロたちの服をどうにかしなきゃな。どこでかった服だか知らんがその服で王女様の前にはちょっと行けんな。」
「えっ……。私たちお金持ってないけど…。」
いやごめんなさい。全く持ってないです。
「そんなこともあろうかと、用意しといたぜ!ちょっといいかい。いくぜ?
汝我の願いを叶えたまえ。」
なんか、イチラスさん手で魔法陣?描き始めたぁ!どんどん形になってくる!紫色かな?円と悟性坊の星と文字がどんどん書かれていく。暗記してんのかすごい。描き終わった?かんじ。
「出でよ我望むもの!」
おぉー!カッコいい。学校が楽しくなってきた。それよりイチラスさんが望むものってなんだろうか?
「ほいこれだ!」
「金かよ…。」
「なんだよ。スルイロこれがないと何にもできないぜ?」
「それはそうだけど…。もういいです。」
私も少し呆れたわ。お金かい。にしても本当に麻袋に入ってるんだな。それにさすが腐っても男爵。パンパンです。
「これで買い物するわけだが、なんせ俺は男だから女の服は全くわからん。よって、アリカ。サリナと一緒に行ってくれないか?」
「いいですよ。可愛い子なら私の腕もなります。さっ行きましょ。終わったら連絡いたします。」
「よろしく頼む。さっこっちもいくぞ!スルイロお前を男前に仕上げてやる!」
「が、頑張ってねぇ~。…あっお願いします。アリカさん。」
「さんづけされるほどの身分じゃないわ。アリカでいいわよ。サリナちゃん。」
「ちゃんづけは、恥ずかしいので呼び捨てでいいです!」
「そう?可愛いけどなぁ。じゃあよろしくね。サリナ。」
そういうアリカはとっても美人。本当元の世界だったら、モデルさんできるんじゃないかってぐらい。足長いし、顔小さいし、笑顔が綺麗!それにイチラスさんから信頼寄せられ得るみたいだから責任感もしっかりしてるんだろなぁ。
「サリナは、目が大きくて髪の毛が長いから、可愛くできそうだわ。それにスタイルがいいもんね。うんそうだこの服屋さんがいいね。」
「えっ…え?そんなにスタイルも良くないですよ!…おわぁ、こんなに一気に着れないよ!アリカ!」
「まぁいいから、ここに立って。
着替えよ!
うん、いいね。じゃあこれ。
着替えよ!
これもいいわぁ。」
ちょ、まって。今何された。早着替えさせられたぞ。魔法一つで・・・。こんな使い方もあるのか。まぁ、こんなこと考えてる間も早着替えしてるんだけどね。にしても良くこんなに私に合う服見つけえてきてくれるな。あっちじゃ服見つけるのも大変だったのに。
「じゃあこれと、これと、これかな。」
「そんなに?大丈夫なんですか?」
「えぇ。お金はいっぱい。よ?」
そうゆうことではないんだがなぁ。なんだかこっちの人は思いやりの一面が少しかけるような気がする。戦ったりするとやっぱりちょっとそんなんになんてしまうのかな。
「毎度お買い上げありがとうごおざいました。」
「なんかアリカ、私より楽しんでるね。」
「そりゃそうよ。貴重な自由時間だよ?楽しまなきゃ。」
えっ、いまの言葉をもとにするとイチラスさんのところっていわゆるブラック企業?…怖。今私の中でイチラスさんの株めっちゃ落ちたわ。
「おやすみってないの?」
「安息日じゃないと休めないのよ。別にイチラス様が悪いんじゃないわ。国の王女様である
セザンカ様の上におらっしゃられる最高統治者様が決めたことなのよ。逆らっちゃいけないしね。」
「えっ、もしそれに逆らったら何が起きるんですか?」
「…それは、…わからないわ。まだ破った人を知らないから。でも文献によると呼吸困難になるほどの痛みに襲われるようよ。」
こっわ。逆らわないようにしよう。要するにイチラスさんのせいではないってことね。よかったですね。
「じゃあそろそろスルイロ君たち合流しようか。そういえば、どっちの方が年上なの?」
おぉ?あれ星夜の誕生日っていつだっけ?
「私の方が上です。」
確か星夜が10月生まれで私が9月生まれれだったからあってるはず。
間違ってたらごめん。
「そうなんだ。なんかスルイロ君の方がしっかりしてるからお兄さんかなって思ったりしたけど。」
「あの、年子なんです。スルイロの方が一ヶ月遅くて。」
「なるほどね。」
なんかいますっごくディスられたような気がしたけど。まぁいいや。
そんなこんなでスルイロたちと合流をした。あった時に私はすっごい驚いたんだ。だって星夜がすっごく大人になってたから。
「かっこいいよスルイロ。イチラスさんすごいね。」
「いやイチラスさんjy…」
「ん?まぁいいや、すっごいかっこいいよ。」
「本当か?ありがとう。サリナだって可愛いけどな?」
こいつ。いま星夜の口からするっと可愛いって言葉が出てきたんだけど?本当に可愛いって思って言ってるならいいけど。
「あ、ありがとう。」
「それじゃあ、セザンカ様との交渉に行きますか。ここからは前たちと俺で行くからな。あ、だから今日はもう帰ってもいいぞ。ありがとな。」
あら、イチラスさんって優しいのね。見直したわ