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8.突然の襲撃



  俺もLV40になっていたので敵国の手練れの暗殺者が来ても大事に至ることはな


 いだろう。勇者の特異性はレベルアップの速さだけではなく、レベルアップごと


 のステータスの伸びにある ステータスだけで言えば勇者のlv40は人間のlv80


 に、勇者のlv30は人間のlv60に相当する lv60は国に2,3人いればいい豪傑


 クラスだ 人間の寿命は短いので100年に世界中で一人存在するぐらいの英傑


 クラスのlv80が限界らしい


 歴史上伝説級のlv100越えが5人ほどいるらしいが、伝説上の話らしいし実在


 は疑わしい





  その日は大森林のかなり奥まで進行していた。対戦する魔物もそれなりに


 強くなっている 


 が連携戦闘の前ではまだ余裕があった。


  次の魔物を求めて行軍している時、俺の敵探知に強大な反応が出現した。


 こいつはヤバイ奴だ


 敵探知スキルのあるステア先生も、アイリスも同時に感知し頷いた。


  そいつは俺達目掛けて一直線に猛スピードで接近してくる。時間がなかった


 ので俺は広範囲で味方にプロテクションを張る。同時に俺とステア先生で


 個別にプロテクションを張っていくが時間が無い。


 俺は進行方向から敵が一番最初に遭遇するであろうオーガのキリトの前面に分厚


 いプロテクションを1枚張る ある意味1点賭けみたいなものだが そうなる


 可能性が高く思えた





  そいつは太陽を背にして現れた。高さから言って飛んできたのだ俺でも使え


 ないフロート(空中浮揚魔術)を行使して、そしてその空間移動の速さは早す


 ぎて目で追いきれない程だった


  予測通り一番近いキリトに向けて奴の黄金に光る剣が振り下ろされた。


   俺は目を疑った  広範囲の1枚目どころか渾身の分厚い2枚目も簡単に


 貫かれていたのだ


  剣はキリトの眉間を貫通していた。誰の目にも致死は明らかだった。


  その早すぎる存在は一時上空で停止し


  「あれ~、こいつ違うやつじゃん。人間もいるけど、こいつもしかして


   君たちの仲間だった。ごめんごめん。」素っ頓狂なふざけた調子で言う


 後ろでくくっていた奴の長い金髪が風で揺れる 顔は俺と同じで前世界の


 アジア人の顔だが奴の方が若くて女好きのするイケメンだ この際顔は


 どうでもいいが


  奴は俺の防護障壁を簡単に破れる それにあの速さじゃ魔法攻撃を当てる


  のも至難の業だ


   このままでは全滅する


   俺は瞬時に判断する


  『散らばって逃げろ』


   一目散に神獣様が逃げ出す。えーあなた様だけは最後まで残ると


   信じてたのに。


   とか心の中で恨み言を言ってる間も ほかの連中は逃げようとはしな


   かった


   こいつに勝てる方法があるのかと自問自答している間にも


   アイリスが持ち札の中で最速のセイントチェーンを仕掛ける 


   しかし聖属性を有する光の鎖でも、奴はいとも簡単に避けた


   「あら逃げてもらっても構わなかったのに、ついでに君たちも


    狩っちゃおうかな」


   あらら 藪蛇だったか、相変わらず余裕のふざけた調子である


   残りの仲間にプロテクションを掛ける暇もないので挑発を発動してみる


   同時に再度渾身のプロテクションを俺の頭部に絞り密度の濃い防護障壁


   を張る


   奴は一瞬で俺の前に移動したかと思うと予測通り俺の眉間目掛けて剣を


   振り下ろす


   自信のある奴は同じところを狙うという読みは当たった


   何とか壁は貫かれなかったが 奴の剣の勢いは止まらず壁の左をずり


   抜けてそのまま振り落とされる 剣は俺の右肩の上部を綺麗に削いで


   いった鮮血がほとばしる めっちゃ痛いはずだが不思議と何も感じない


   仲間全員に恐怖の色が伝染する 心理的にだめな状況に陥りたくないの


   で俺は剣を上段に構えファイティングポーズをとる


   「あれおじさん結構固いのね、でも次は決める」と言って


   奴は次の剣戟を振り下ろそうとする


   万事休すかと思われたが オーガの片割れチリトが俺と奴の間に入り

 

   こん棒を敵の剣撃に合わせる


   力比べのつばぜり合いとなり敵の剣とオーガのこん棒は火花を走らせる


   最初は同等と思われたがチリトが徐々に押し込まれている


   少し離れていたガスタンが魔物専用のエンパワーの呪文でチリトの腕力


   を上げる


   今度は敵が押し込まれる


   間合いを取るために敵は後方上空に飛び上がる


   その瞬間敵の後方の木に隠れてた神獣様が奴目掛けて飛び掛かる


   おい!逃げたと思ってたよ!


   全く不意打ちだったようで敵は一瞬動きが止まる 


   「くそがっ」奴は神獣様に剣撃を加えようとするが神獣様は体を


   うまく捻りそれを逃れる 


    その瞬間、既に放たれていたステア先生のスローが奴に直撃する


    これで魔法攻撃も当てられるかもしれない


   奴もそれがわかっていたのか 更に上空へと一旦退避する


   当然距離が離れるほど単体魔法の命中精度は下がるからだ


   今度はアイリスが範囲攻撃魔法のエクスプロージョンをお見舞い


   する すざまじい爆炎が上空を覆う 遠く離れた地面にいる俺達も


   爆風で立っているのがやっとなくらいだ 


   「ぎぇー」奴の悲鳴が響き渡る


   やはり範囲魔法攻撃は有効なようだ


   「今日はこの辺で勘弁しといてやる」と


   捨て台詞をはいて東の空へ消えていった


   去り際に奴のステータスを確認した 動きが早すぎて今まで見え


   なかったからだ


   すでに小さくて読みずらいが


   *勇者lv45.コジョウ ヤスト ・・・・物理攻撃6000・・・・


        ・・・・・・・・・防護障壁無視lv.6・・・神回避


        スキル称号・・・・・・真の英雄、好色魔王・・・・・


   やはりと思ったが奴も勇者だった。防護障壁無視って俺の天敵やん


   今度闘う時には絶対まともに相手しないようにしようと誓った


   肩が急激に痛み始める





    駆け寄ってきたステア先生がリペア(身体部位再生術)を掛けて


   くれたおかげで 俺の肩は元通りになった しかしこの魔法は大量の


   MPを消費するので掛け終わったステア先生は立ち眩みで倒れかけた


   俺は先生を受け止め礼を言う 先生の柔らかな肢体の感触が俺の指


   先から伝わる


   死線を潜り抜け興奮しているせいかちよっと妙な気分に


   なってしまった


   俺の下の半身が反応しそうになるので 俺は急いで


   テントをシート代わりに敷きつめ先生を寝かせた





    俺は皆の前でこう宣言する


   『今日の戦闘は俺が指揮したものではない。日頃の訓練から皆が自分


    が何をすべきか考え、自主的に動いた結果である。』


    俺は冷たくなったキリトの横で泣くガスタンの肩に黙って手を置く


    掛ける言葉は何故かみつからなかった


    馬車のスピードを落としてまでオーガを帯同させる意味があると


    言ったラタンの言葉の意味がようやくわかった日となった





    実際、犠牲になったキリトのおかげで俺の防御障壁の有効性が


    崩れたことがわかった訳で、


    アイリスの魔法攻撃が当たらなかったことで奴の回避力と単体魔法


    の優位性も崩れたことがわかった訳で、


    奴が仲間を個別撃破しないように俺が挑発をかける必要があった訳で、


    奴の強靭な物理攻撃を防ぐにはチリトの強靭な物理攻撃力が必要だった


    訳で、

    

    奴の優位性である速度を落とすにはステア先生のスローが奴に当たる


    必要があった訳で、

 

    スローが当たるには神獣様の背後からの攻撃が必要な訳で、


    どれが抜けても奴の撃退は防げなかった訳で、


    奇跡的とも言えるし、日頃の成果とも言える。





    とは言え、部下を1名戦死させてしまった訳で、


    始めての対人戦闘は苦いものとなった。俺たちは一旦街道沿いの補給


    ベースキャンプがある街まで戻り休息をとることになった。


    それまで温い戦闘が続いたせいか、突然の死を覚悟した戦闘で全員が


    憔悴しきっていた。でも普通の人間なら毎回がこんな感じになるの


    だろうなとも思った。今まで勇者のおかげで楽勝だった


    パーティーが勇者が簡単に死にかけたことでショックを受けたのかも


    しれない。





    キリトの遺体は翌日王都へ搬送されることとなった。俺たちは任務


    の遂行を課せられているので彼の葬儀には出席するこは許されない。


    それでもガスタンがしきりに懇願するので、彼のためにモルゲン


    大臣あてに手紙を書きそれを持たせてガスタンとチリトの葬儀出席


    を許可した。





    手紙には俺の裁量で彼らの出席を許可したので責任は俺にある旨、


    キリトの家族に十分な財貨補償をしてほしい旨、謎の勇者に襲われ


    たので注意を喚起するとともに可能な範囲で調査してほしい旨を


    書いた。





    俺は気分転換のため3日休養をとることを宣言した。王都出立後


    楽な戦闘が続いたとは言え休みになしに働いていたこと 今回の


    戦闘による精神的ショックを和らげるためである 精神的ショック


    は回復が遅いので長めに休みをとることにした。幸いこの街には


    温泉をはじめ楽しめそうな娯楽は多少はあるようだし。



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