6.大蜘蛛ガルガンダ
俺は仲間にそれぞれ前後左右上の五面にプロテクションを張る。オーガだけ
はでかいので前面だけに張る。これで1面につき2回くらいは攻撃を防御できる
だろう。HPの小さいラタンの部下とアイリスにはステア先生が二重にプロテク
ションを張る
加えて俺は範囲系の支援魔法レインフォースを発動する これで仲間の能力
は20%増しになったはずだ
布陣は中央に俺、ステア先生、魔法少女アイリス バックアップは魔物使
いのガスタン
中央布陣の左右はそれぞれオーガ1体を前面にしてラタン以下3名の部下が
2組に分かれて布陣、神獣様には機動力を生かして奴らの背後をとってもらう
相手はlv41.ガルガンダ、全長10m体高4mの巨大な蜘蛛3体である
まず左右の2体に順番にステア先生にスロウをかけてもらう
俺は中央の蜘蛛に向け単体魔法攻撃のライトニングをぶちかます
耐性があるのかあまり削れてないようだ
そして間髪いれず挑発を繰り出す 中央のガルガンダは憤怒状態に
なり俺目掛けて突進してくる 同時に左右の奴らも前進を始めた
左右のガルガンダはそれぞれオーガに進行だけを抑えてもらう
中央のスロウを掛けられていない奴はものすごいスピードで突進
してくる。しかし俺の前の防護障壁にぶつかり無様な肉塊となる
同じ要領で左のオーガが止めていた一体にライトニング、挑発の
順でスキルをかます。予想通り憤怒状態になりながらもそいつは
仲間の失敗から学んだようで俺の少し手前で止まり口から粘着性の糸
を吐き出す
糸自体の攻撃性は少ないが、奴が防護障壁に張り付いた糸を
引っ張ると壁は引っ剥がされるのだ もう一度張りなおせばいいだけ
なのだが一瞬は無防備になる
そういう無駄なリスクを負うつもりはない
手筈通り蜘蛛の糸が障壁にとりつく前にアイリスがフレイムを
可燃性の糸に放つ 炎につつまれた蜘蛛は暴れ始める
俺は重力魔法であるグラビティで押さえつける
暴れまくっている状態だとラタンはともかく部下の3名が蜘蛛の
足に貫きかれないからだった
地面に胴体手足を押さえつけられた蜘蛛をラタンと部下がめった
打ちにして致死させる
また同じ要領で右側のオーガが抑え込んでいた蜘蛛をライトニング
と挑発で憤怒状態にし俺の前まで誘導する
今度は俺の手前で止まり睨み合っている状態だ
時間切れで挑発が解除になると左右のラタンの部下に攻撃が向かった
場合は危ない
俺は冷静に時間の経過を待った
そしてそれは訪れた
神獣様が蜘蛛の背後から跳躍すると回転しながら奴の背面を切り割く
しかし致命には至ってない
今度は両側面に回り込んだオーガ2体が装備した巨大な鉄製のこん棒で
蜘蛛に殴りかかる ものすごい勢いで蜘蛛はたたき崩され原型をとどめて
いなかった
今回のプランAは基本に忠実な各個撃破の作戦で各員がそれぞれの役割を
果たして始めて成立することである。
「あーなんだか簡単すぎて気が抜けちゃいますね」
とアイリスが呑気に言う
「俺なんかちよっとしか攻撃できなかったんで経験値の入りも微妙
ですよ」ラタンの部下のアベルは経験値の入りを嘆く
オーガに至ってはまだ暴れたりないのか
「もっともっと」とか呻いている
たしかに俺をはじめ数人は単独でも3体同時撃破できると思う。
俺はたしなめるように諭す
『連携を重視した集団戦闘を繰り返す事により集団の戦闘力は
加速度的に向上する ひいては突発的な事にも対応可能ならしめ
るのである
単調に繰り返す事が大事なのだ それが全てだ 繰り返し言う
それが全てだ』
オーガには神獣様を介して内容を伝えてもらった。神獣様は
まだ人間との念話は
できないが魔獣とはできるようだ
まあ一応全員頷く 本当の意味で理解したとは思わないが
いつかわかるだろう
森林地帯でのLV上げも順調に進んでいる。すでに幹線道路沿いの
ベース地も3回変えて順次大森林の奥へと進んでいる。王城出立後
1ヵ月経過している。俺のレベルは40まで育っていた。