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20.最強の武器

ごく少数の方ですが固定の読者様がいてくださるのでモチベーションを保てています。有難いことです。

あと最近知ったのですが会話率っていうのがあり、なんと17%でした。低いww。

この物語の83%は主人公の思念でできています。まあ無口な主人公設定だからいいか。







氷結ドラゴンとの戦闘の翌日の朝


俺は会議を開く


『 疲れているところ申し訳ない。長いレベルアップの旅も次のモンスターで最後


になる 俺は次の戦闘の作戦は みんなに考えてもらおうと思う 』


しばし沈黙が流れる


「 えー、そんなの無理だよ 」 アイリスがふくれっ面で抗議する


「 俺はいつも勇者の作戦が一番と思うが 」 ラタンが言う


ステアは黙って俺の次の言葉を待っているようだ


アベルとミーシャは何も考えてませんという顔だ


ガスタンは考えようとしているのか眉間に皺を寄せている


神獣様はお昼ごはんのことを考えられておられるようだ


俺は続ける


『 これまで俺が作戦を考えてきたが、これからはお前達にも手伝ってもらう


人間の最強の武器は剣でも魔法でもなく考える力だ。お前達にもその武器を


鍛えてもらう 』


「 いいんじゃないかしら、今まで勇者におんぶにだっこだんから たまには


私たちが考えてみるのも 」


 ステアが合いの手をいれてくれた


「 そうだな、俺も無い知恵絞って考えてみるか 」 ラタンは頭を切り替える


『 では決まりだな 』




俺は対戦前にいつもそうするように、モンスターブックに記載されている最後の


モンスターのページの内容を皆に読んで聞かせた


lv60.キングドラゴン 個体数1


大きさは氷結ドラゴンと比べて、二回り小さく、サラマンダーより一回り大きい


3つ首竜である。羽根は発達しており飛行能力は高い


HP、MPともに氷結ドラゴンの倍はある


防御力は氷結ドラゴン並みに高い 魔法攻撃力は氷結ドラゴンの2倍だ


スキルは口から出す〔天烈閃光〕(テンレツセンコウ)、炎属性の高速熱ビーム


光線だ。アイリスのエクスプロージョンを細く束ねたようなものであろう


あと、HP自動回復スキルに加えて魔法防護障壁スキルもある。俺がリフレクシ


ョンで奴のビームをお返ししても効かない可能性が高い。魔法防護なので物理攻撃


は通るが、俺達の攻撃ではたいしたダメは通らないだろう




一通り説明を終えると俺達はさっそく 奴のいる場所へ偵察に向かった


奴の住処はコンドル高原の一番高い山ベスビオス山の山頂付近の狭い平坦地に


あった


観察していると羽ばたきだし、尾根沿いに滑空していく


やがて三つ首が同時に〔天裂閃光〕を発射し、奴は急降下した


再度上空へ飛翔すると三つ首それぞれが得物を咥えていた


大蛇のダイダラである、どのダイダラも綺麗に頭だけが消し飛んでいた


相当精度の高い命中率だ、しかも3体同時に別の目標を狙える


奴は住処に戻ると得物を貪っていた




地形を俯瞰すると山以外にはなにもない


奴がいる山頂の周りは別の低い山頂が4つほど取り囲んでおり 山頂の間は角度


のある谷になっている 山自体は高い木やら低木が生えており一応は身を隠せる


谷底は一部亀裂が走っており、深いクレバスになっているように見える


「 ねえ、ドラゴンをあそこにおびき出して、私のエクスプロージョンで生き


埋めにしちゃえば 」 アイリスは思い付きを口にする


『 さすがだな、悪くない考えだと思う 』


俺達は谷底に降り、クレバスの入り口に立つ 確かにかなり深い、奴を生き埋め


にするには十分だ しかしクレバスは予想どおり氷結ドラゴンの巣穴と同じく


魔法石材の原料となる溶岩石でできていた おそらく奴の住処の山頂部も同じで


あろう


これではエクスプロージョンでもクレバスを破壊できない。加えて、キングドラ


ゴンを倒した証としてその頭を王都に持ち帰ることを俺達は課せられている


生き埋めすれば圧死か餓死させても、頭の回収は不可能となる


「 いい考えだと思ったのになー 」 アイリスは残念そうだ


しばらく利用できる地形が無いか歩き回ったが、それらしきものは見当たらな


かった


とりあえず今日は切り上げて宿営地に戻る




夕食後に2回目の会議を開く 皆にアイデアを聞く


「 毒を使うのはどうかな? 」 アベルが言う


「 俺も考えたがどうかな。奴をダイダラを喰ってた訳だし、耐毒スキルがある


と考えた方がいいんじゃないか。」 ラタンも同じことを考えたようだ


 俺も毒については一考してはあった 確かに耐毒スキルはあるだろうが、毒の


種類によっては効くものもあるかもしれない


『 痺れ薬とかはどうかな 』


「 毒でも種類が違えば可能性はゼロではないと思うが 」ラタンも可能性は


否定しない


 しかし試す価値はあるかもしれないが決定打にはつながらないだろう


「 おらに考えがあるだに 」


 ガスタンが自分の名案を早く話したがっている様子だ


 過度な期待をせずに聞いてみる


「 チリトが投石が得意だったてことはみんな知ってるだに。石を結び付けた紐を


  ドラゴン目掛けて投げるだに 」

 

 ん、どういうこと?


 不思議そうな顔をする俺にガスタンは背嚢から紐を取り出した。片方に小石が結


び付けらた3つの紐の残りの端が一つに結び付けられている


 ガスタンは紐の結び目を持ち、頭上でそれをぐるぐる回し 十分な速度がついた


 ところで、近くの木の幹に向かって投げた


 紐は3つの小石の遠心力で回転して飛んで行く


 紐が木にひかかると、端に結びつけられた小石の重みで遠心力ととともに何回か


木を巻いた。そう、ぐるぐる巻きだ


 奴の言いたいことはわかった。チリトが投げた投石紐がドラゴンの首をぐるぐる


巻きにして縛り上げることができ、なおかつ石の重みで落下させることができる


ということか


 奴を拘束することができれば、後は氷結ドラゴンと同じ方法で料理できる


 かすかな記憶だが俺はこれを前世界で見た事がある。名前は忘れたが、南米の


ガウチョ(牧童)かなんかが動物を捕まえる時に使っていたあれだ


 俺はとりあえずこれをぐるぐる巻き投石紐と名付けることとした


『 なるほど名案かもしれない、問題は奴の自由を拘束するのに どれだけ投石を


続ける必要があるかと、その間俺の壁が持つかだな 』


奴の攻撃力と、俺の壁の防御力と耐久力を踏まえ、[漆黒の盾]で〔天裂閃光]を受け


るとして 大雑把に計算しても多くて7発ぐらいが限界だ。奴の頭は3つだから3回


目の攻撃で俺の壁は破られる


その間にチリトの攻撃を完了させるには余りに時間が無い


プランとしては現実的ではなかった


それに そもそも ぐるぐる巻き投石紐の射程に奴を引き付ける手段が無い




何らかの方法で奴を地面に引きずりおろす方法はいくつかあるがその射程距離は


神獣様が跳躍して喰らいつける距離を1とすると


俺のグラビティが届く距離が5


チリトの投石が届く距離は8 投げる石を小さくすれば倍はいけるかもしれない


ぐるぐる巻き投石紐自体は有効な手段だと思う


ステアとミーシャはアイデアが浮かばなかったようだ


神獣様はウトウトされておられた


次の日も再度現地調査をしたが新しい案は出てこなかった


その次の日も目新しい発見は無かった


夕食後の会議でみんなの知恵熱のせいか、気温が暖かく感じられた




俺もいくら考えても有効打を思いつくことはなかった


今回は諦めるか。王都に持って帰るのは氷結ドラゴンの頭で勘弁してもらおう


何も課題コンプリートしなくても良いだろう。今回はみなの考える訓練になった


ことだし、あと2日くらい続けて、何も出なければ今回は諦めようと心づもりし


た。勝てない相手に喧嘩をしても無駄である




神獣様に視線を移す 今日は珍しく起きてらっしゃった 一応聞いてみる


『 神獣様、ドラゴンのことだけど、・・ 』


俺が頭で念じ始めたのが終わらないうちに


「 えとね、もうすぐヒナが孵るみたいだよ 」


『 え!? 』


俺は自分でも気づかぬうちに、笑っていたようだ


ラタン、ステア、アイリス、ミーシャが一斉に俺の顔を見る


「 勇者殿さすがに、それは 」 ラタンが言う


「 私もそれは勇者として許される限度を超えるかと 」 ステアも俺を非難する


「 それをやっちゃあ、人として屑だよ 」 アイリスも主張する


「 私もするべきでない行為と思います 」 ミーシャも同意見のようだ


こいつらは俺の思考パターンに慣れてきたせいか、俺が何を考えたかわかった


ようだ


人間は真剣に考えていれば、だいたい考えつくところは同じだ。「ヒナ」という


新しい思考材料に即座に同じ思考結果に辿りついたのだろう


おそらく俺がヒナを人質にドラゴンを騙し討ちにするだろうと



だが、俺が出した思考結果は若干異なる





























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