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1.残念な勇者


突然鳴り響くファンファーレに俺は我に帰る


眼前には見知らぬ風景が映っていた 


前方中央には玉座に座った王様らしき人物 


左右には貴族っぽい人達が10人くらいか


俺の周りにはフード付きの黒いローブ、そう魔術師とかが着てそうな服を


着た男が4人で俺の前後左右に位置していた


下をよく見ると大きな魔法陣らしき図形が描かれていた


もしかして これって異世界召喚ってやつなのか





前方の王様や貴族たちを再度観察すると


髪の色は金色や赤色が多い、目も黒では無かった 服装もなんとなくだが


中世ヨーロッパ風である ただ背丈や体格は俺のいた世界の欧州人より


やや小さめだ


彼らが俺を凝視ししていることは視線で理解できた ただ表情がなんというか


残念なものを見る目というか 


貴族達が話している声が少し断片的に聞き取れる


「おい、えらく年寄りそうな奴がきちまったぞ」


「我が国の将来はよくてあと10年くらいか」


などため息交じりの声がする


考えるが現時点では意味はわからない





貴族の中の一人、眼鏡を架けた知識人ぽい奴が、俺の前に進み出る


「言葉は理解できますか?」


『ええ、理解できます』と簡潔に答えた


「あなたは勇者に選ばれました 突然で理解できないと思いますので この後


 概略だけ説明し明日以降順次説明していきます」


説得の仕方としては至極まともな方であろう 相手の状況を思い図ったのが伺える


とにかくここでなんでやねんと泣き喚いてもいい事がなさそうだ


ここは調子を合わせて様子を見てみることにした


『わかりました。よろしくお願いします』


そう言い終わるや否や王様と貴族達は何も言わず謁見の間を出て行った 





残された知識人ぽい奴はこの国、名をエルトリア王国というらしいが、その王国の


魔法、教育、通商産業担当の大臣らしい。名前はモルゲン・グドルフと紹介された


俺はイワタテ トシキだと紹介する。そう、やはりこの世界では魔法が存在するらしい


俺はそんな話をしながら応接の間に通された





腹は減っているかと聞かれたので、今は大丈夫と答えると、給仕がお茶菓子と飲み


物をもってきた。ちなみに給仕はエロいメイド服の女性ではなく、男性である


口に運んでみたが普通においしい ナッツが入った焼き菓子と紅茶っぽい飲み物だ


ただなんとなくだが別の風味が追加されているようだ 初めての風味だった





前に座った知的そうなおっさん、グドルフ大臣によれば、この世界では100近くの


国が千年近く戦争を続けていた戦国時代の状況らしい。いくつかの国が興亡を繰り


返し現在の大国5か国と16の小国が均衡する状況になって600年近く経過するよう


だ。小国は大国の国境の緩衝としての役割で命脈を保っているにすぎない





最初の200年はいづれかの大国が他国を圧倒し併呑するような状況ではなかった。


そのような強大な国が出現すると他の4か国が同盟を結んで抑制し均衡したからだ


しかしおよそ400年前にある大国が勇者召喚に成功し周辺諸国を席捲しはじめた、


これに対し他の4か国も技術革新を急ぎ召喚した勇者で対抗しはじめた





以後現在に至るまで今回も含め5回勇者召喚は行われたようだ。勇者召喚は百年


に一度しかできないらしい。召喚された勇者はたいてい10歳後半~20歳前半ぐら


いで、男も女もいる勇者召喚の有効期限は30年 30年が経過すると前にいた世界


へ一斉に自動帰還する逆に言うとそれしか帰還の方法はない ちなみに勇者は異


世界滞在期間は老化は進まないそうだまた 帰還時に前の世界の時間が経過して


いるかは確認のしようがないとのこと





ここまで説明しグドルフ大臣は俺に一つの質問をぶつけてきた


「ところでイワタテ殿は年齢はいくつですかな?」


サバを読んでも仕方がないので正直に答える


『54歳です』


グドルフ大臣は目を閉じ沈思を始める


何分過ぎたか。。。やけに時間が長く感じる 


年齢が問題なのであろうか 


俺は先ほどの貴族たちの残念なものをみるような視線を思い出す


異世界でいきなりクビとか言われて放り出されても困るんだが すごく不安に


なる すると大臣の目が開き、こう質問してきた


「イワタテ殿のいた世界の平均寿命は何歳ですかな?」


『俺のいた世界の俺の国の平均だと80歳くらいです。でも90歳代の人も結構い


 ます』


 といった瞬間大臣の目が輝く


「なんと では十分可能性はありますな」





つまり大臣の説明によると





勇者はこの異世界で老化は進まず 身体能力も思考能力もLVに依存するが寿命


だけは前の世界から引き継いでカウントされるらしい 大臣が可能性と言ったの


は以前の勇者の中で20歳で召喚されたその勇者は30年の召喚有効期間期日の


1ヵ月前に亡くなったのだ その勇者の前の世界では平均寿命は50歳前後だった


らしい





それといかに俺の見た目が弱そうでさえないおっさんでも勇者召喚された以上は


勇者の力が備わるとので何の問題もないとのこと


つまり俺のいた前の世界での俺の寿命が84歳だったら30年間きっちりお勤めでき


てこのエルトリア王国も安泰ということだ


ちなみにこの異世界での人間の平均寿命は60歳くらい 


だからよくて10年ぐらいしか持たないと思われた訳だ





「それから更に重要な事があります」大臣は続ける


「召喚された勇者には出来不出来があります 一律に同じ水準の能力を有する訳


 ではありません。勇者の有能さで大きく戦局が傾いてしまいます。現時点で


 イワタテ殿が有能か否かは 判別できません。」


なんと運だのみ宣言来た- つまりなんだ俺の前世界の定められた寿命が84歳


以上で、俺が発揮できる有用性が高い場合に限って問題ないということか


でも仮定の仮定だしな





そこまでで今日の説明会は終わりになった。寝室に通された俺はそのままくそ


でかいベッドで寝る。いろいろな事があり疲れたせいか一気に眠った。起きたら


夢だったというオチなんだろうなきっと


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