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99.ホルフィーナ



 朝目覚めると、各国の兵士が追撃掃討隊を編成して出撃している

ところだった。統制がなくなったとはいえ、通常の武器が効かない

スケルトン兵は一体でも村にはいれば十分な脅威だ。だが、組織

だった行動ができなくなった敵を各個撃破してばいいだけだ。




 俺達はお役御免となり、休息をとらせてもらうことと

なった。図体のでかいホルフィーナはそのまま公園ですごしてもら

うことにした。2日に1回は公園で一緒に寝てやるようにした。


「 指導者様、一緒に寝て頂いてありがとうございます 」


『 お前は俺の従者だからな、一人で放っておくわけにもいかない

 だろ。それにお互いまだよく知らない訳だし。少しは話をして

 おこうと思ってな。俺はドラゴンの生態はよく知らないし。 』


「 わかりました。お話しをしましょう 」


『 お前の母親はどこにいるんだ。俺達が行ったときはオヤジしか

 いなかったぞ。』


「 2つ隣の山脈にいるみたいです。ドラゴンは雄が雌に卵を産んでも

  らい、雄が子供を育てるのです。私も母親には会ったことはないです 」


『 淋しくないのか?ドラゴンはそういもうのなのか 』


「 はい、そういうものですね。兄達も別の場所に縄張りを作りにいき

  ました。私はできるだけ遠くに行ってみたいと思い海の上を飛んでい

  たら、偶然アッカド人の住む大陸に迷い込んでしまいました 」


『 なるほどな。お前は俺に教えを乞いたいと言ったが、お前は俺から

  何を学びたいのだ? 俺は人間だからな。ドラゴンが生きていくうえ

  で有益な事を教えれられるか自信がないぞ 』


「 それは指導者様の行動から私が学び取ります。今回の戦いの指導者

  様の指導力は見事でした。誰もが指導者様を信じ闘っていました。 」


『 まあそれは俺が一番歳くってる訳だし、誰かかがやんなきゃいけない

  から、やってきた訳だし、本来俺はリーダーって柄じゃないんだけどね 』


「 いえ、指導者様には持って生まれたリーダーの才能があります 」


『 お前が言うなら、そういうことにしとこう。しかし、ドラゴンのお前が

 どうして、指導力なんかに関心があるんだ? 少なくともキングドラゴン

 は単体で生活しているんだろ? 』



「 はい、そこなんです。私も今回の戦いで人間とアケメネス人との闘いが

 将来起こることを知りました。当然、ドラゴンだけでなく、この星の魔獣

 全てが巻き込まれることになるでしょう。その時に、少なくともドラゴン

 だけでも団結している必要があると思うんです。人間を見ていて思うんです

 団結力の凄さを。人間と共にアケメネス人と闘うにせよ、その他の道を選ぶ

 にしても私達は団結している必要があると思うんです。 」


『 なるほどな。わかった。じゃあとりあえず人間が団結する方法から

  教えるか 』


 俺はホルフィーナに分かりやすいようにかみ砕いて解説してやった。





王都内で彼女と一緒に住むに十分な大きさの家は無い。羽ばたく際の

強風を考えると、王都外一択になる。落ち着いたら検討しよう。

アイリスと神獣様も会いに来てくれている。街の人が今回の戦争

の功労者として、お供え物を次から次へとホルフィーナの前に


届けてくれるので彼女の食事は心配する必要が無い。街の人も慣れ

て来たのかホルフィーナと会話しているのを見かける。人間の事を

学べるので彼女にとってもいい事だろう。時折、気晴らしにどこかへ

飛んでいくが、かならず広場に戻ってくる。





まるまる8日間十分に休息をとった俺達は行動を開始した。

やるべきことは決まっていた。

第一に、奴等の所有している星間転移装置を破壊もしくは支配下に

    置く事

第二に、奴等自身の拘束もしくは排除だ


これさえ行えば、1000年間の時間的余裕が確保される。

自ら進歩を加速し勝率の低い奴等と対決の道を歩むのか、進歩をわざと

緩め強敵認定を回避してやり過ごすのかは、後の世代の人間が決める事

だ。対決の道を歩むにせよ、奴等のペースで戦争により進歩を急かされ

ることはない。




 まずは、神官ドルドとジェイコブ・ヤコブのいるモビブ砂漠の

ヴァール神殿遺跡だ。スケルトン軍団がモビブ砂漠あたりから出現した

とすると、そこにも星間転移装置があるのだろう。俺とコジョウの

パーティーで遺跡を探査した時は、ヴァール神殿跡には何も発見でき

なかった。カルナック地下住居跡群のように秘密の入り口があるのかも

しれない。





 装備を十分に整え、ヴァール神殿に勇者と従者で転移し奴等を急襲する

つもりだ。星間転移装置の扱い方を理解している古代魔術研究家のイエベス、

錬金術師サリーク卿、機械工房の主ダイナスも同行してもらった。アケメネ

ス人が、どこかの星から新たな敵をこの惑星シノップに送って来ないように

回線をシャットアウトする必要があるからだ。図体のでかいホルフィーナは

転移できないので自分で飛んで行ってもらい、付近に潜んで脱出しようと

する敵を待ち伏せしてもらうことにした




 ヴァール神殿は以前リザードマン達と闘った神殿と似たような内部構造を

しているが、ここを住処としている魔獣は現在はいない。最奥の広間まで

の通路と部屋を丹念に調べたが秘密の空間らしきものは見当たらなかった。

最奥の広間は例の如く大蛇の石像と壁画がある。ここでも秘密の入り口は

発見できなかった。大蛇の像の横には例の蛇口がある。栓を捻ってみるが

水も音楽も出ない。思い付きで栓を逆向きに捻ってみた。当然栓は堅く

動かないが、ある程度回すと カタカタという歯車が回る音がした。


天井の一部が開き、上へ続く階段が降りて来た。



 

 




















 






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