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異世界一最弱な勇者の誕生

本日も読んでくださりありがとうございます。


今日朝起きたらリュックサック抱いて寝ていたんですよ。

で、いつもプーさんのぬいぐるみを抱いて寝てるので「え、こいつリュックサックえ?」ってなって、部屋見たらプーさんは遠くに飛ばされてたんですよ。

そもそも、リュックサック自体が私の寝床にあるわけがない場所に置いてあるんですよ。これ絶対部屋に誰か入った間違いないと思って、田舎から都会に引っ越してきたばかりだけどこんな恐ろしい事ないわと思った私は、何度も確認してる戸締りと金銭を取られてないかみに行ったんですよ。

でも戸締りも金銭も一切取られてなかったんですよ。

つまり私が寝ぼけてプーさんの代わりにリュックサックを抱いて寝てただけなんですけど、よく考えてみたら強盗も金取った後わざわざプーさんのぬいぐるみをリュックサックに変えるなんていうちょっとお茶目な悪戯をしていかないだろうということは冷静に考えればすぐわかった事なんですよね。


眼が覚めるとテルオは綺麗な教会の椅子に座っていた。

水色のステンドグラスからキラキラした青い光が照らす、左側には眼が覚めるような赤いバージンロード、耳を澄ませば鳥のさえずりが聞こえる、そんな教会にいた。


「ここは、どこだ」


混乱した頭で必死に理解しようとする。あたりを見回して、状況を理解しようとするが、どうしても理解が体に追いついていかなかった。


「広い.....教会だな」


「眼が覚めましたか?」


いつの間にか俺の隣に座ってニッコリと微笑む白髪三つ編みの、黄色と緑のオッドアイの美しいシスター。


「は、はいぃ!!」


体が跳ね上がる程に驚き、条件反射で答えてしまう。

テルオが今までの人生でみたことも話したこともない綺麗な女の人だった。


「貴方は氷でスリップしたトラックに跳ねられて死にました」


「はい....はい?」


テルオは目を大きく見開いて固まった。思考が停止した。テルオは考えるのをやめた。

それもそうだろう。初対面の美しい女性に、いきなりトラックで跳ねられて貴方は死にましたなんて言われたら、誰だって考えるのをやめたくなる。しかも「落ち着いて聞いてください」とか、「聞いても取り乱したりしないでください」とかいう親切なワンクッションもなしで、だ。



「おぉ...そうか、俺死んだのか」


テルオは、自身の両の手を平を見ながらゆっくりと自分が死んだ事を噛み締めた。


「突然の自身の死にショックでしょうが──」


「やったぜ!!!!うぉ!!まじか!!やっふー!!!嬉しい!!最高!!!!イェーイ!神様まじ神だぜ!!ありがとうー!!」


シスターの言葉を遮ったテルオは感激に涙を流しながら飛び上がり拝んだり跳ね上がり狂嬉してきた。


「え.....」


一方シスターはドン引きしていた。

なんだこいつ...やばい。そうばっちり思わせる行動に、シスターは彼から五席程離れたところに座り直した。


「俺人生やり直したくてずっと死にたかったんだよね!!でも怖くてできなくてさ!!やった!事故死か!!思ったより痛くなくて楽に死ねた!!嬉しくて思考停止してたわ!!うっしゃ!!これで人生やり直せるじゃん!!フー!!」


「.....」


唖然呆然としたシスターは、こほんと咳払いし、


「そうですね、ここから貴方には二つの選択肢があります」


「へ?」


「一つは、このまま現実世界に転生して人生やり直す事。二つ目は異世界に転生して人生をやり直す事」


「異世界」


「そ、即答ですね。あなた、もしやオタクですね?まぁ雰囲気からそんな感じしますけれど、オタクの方は大体そう言います」


「はい。現実なんてクソゲーなんで。また顔面ガチャで悪いの引きたくないんで」


テルオは先程とは打って変わった冷めた目でシスターを見つめた。


「そうですか。異世界に行く方は、必ず一つ条件をクリアしてもらわなくてはなりません」


「条件?」


「魔王に仕えているメイドを倒して欲しいのです」


「メイド...?魔王ではなく?」


「えぇ、メイドです。クロ...じゃなくてあのチートメイドは勇者軍100人いても勝てそうにありません...あのメイドは魔王を堕落させ魔王から実権を奪い、世界侵略を企んでいます」


「何でメイドさんが?」


「魔王様に世界(新しいおもちゃ)をプレゼントしたいそうです」


「いやプレゼントの規模でかっ!!!」


「というわけで、また死ぬ覚悟でお願いできますか?」


ニッコリと微笑むシスターに、首がはち切れる勢いでテルオは首を振った。


「いやいやいや転生してすぐ死ぬとか無理だから!!意味ないから!!転生って転んで生きるって書くし!転即死じゃんそれ!」


「大丈夫ですよ、そのかわりステイタスを振り分けさせてあげます」


「ステータスってゲームとかでよくあるあれですか。どんなのがあるんですか」


身体能力→素早く動けたり、運動神経がよくなるので、戦闘全般に有利。


筋力→力持ちになれる。ハンマーなど重量のある武器を自由に扱える。


知性→頭が良くなる。読解力が上がり、遺跡の文字が読めたり、魔法がうまく使えるようになる。


生命力→運が良くなる。すんでのところで死をまぬがれたり、道中いいアイテムが拾えたりする。


容姿→容姿が良くなる。ついでに魅了スキルがつく。



「ステータスは30ありますので、こちらのタッチパネルで設定してください」


「いや近代的だな!ちなみに、容姿にステータス0振り分けたとすると、俺この姿のまま、異世界に転生することになるんですか?」


「はい、基本的には」


テルオはタッチパネルを受け取るとひょいひょいと操作して、はいとシスターに手渡した。やけに早かったな。不審に思ったシスターがタッチパネルを覗き込む前に、


「容姿に全振りで」


「へ?」


確かに、容姿に全振りしてあるステータス設定画面を見てキョトンとするシスターに、真顔でテルオは続けた。


「容姿に、全振りで」


「いやいやいや!!!!!!バカですか?バカなのですか?メイド討伐に一切関係ない容姿って!!頭おかしいでしょう!?何考えてるんですか?普通身体能力にちょっと振って後はバランスよくでしょう?後生命力とか!?なんなら容姿なんかは二の次でしょう!?」


テルオは、詰め寄ってくるシスターに臆することなく込み上げてくる怒りでギンと目を合わせる。


「容姿なんか?おい!今容姿なんかって言ったな!!!俺は!!この醜い容姿のせいでさんっざん現実(リアル)で不幸な目にあったんだ!!異世界でくらいイケメンで生活させてくれ!!!いいか!?世の中金の次に顔だ、容姿が大事なんだよ!!ブサイクってだけで腫れ物扱い嫌われていじめられるんだ!!人生めちゃくちゃなんだよぉ!!金持ちでイケメンなら最高だ!!だが金持ちでブサイクだと、彼氏ではなく財布になるんだ!!!世の中顔だ!!!だから俺は顔で判断するのは許せないんだ!!!人はすぐ顔で判断する!だから俺はいっそ自分がイケメンになって異世界で人生をやり直したいんだ!!」


叫んだテルオをピカッと光ったタブレットの温かい光が包み込み、その光がフッと消えたかと思えば、テルオは、金髪青い目に、鎧に青いマント。自分がゲームでキャラクリエイトしたような美青年へと容貌を変えていた。


「か、鏡を」


シスターは地盤の手鏡を彼に手渡すと彼は、自分の肌をペタペタ触ったり「おぉ...」と声をもらしながら、心底嬉しそうに超絶イケメンになった自分を感動の汁をすするようにじっくり見回した。


「嘘だろ...こんなのって.....」


「もういいです。さっさと異世界でのたれ死んで来てください」


呆れたように諦めたように、シスターははぁとため息を一つついて大きな魔法陣を展開した。


「ありがとう。シスターさん」


にっこりと微笑んだテルオに、シスターは眉をひそめた。


「その容姿になったのは、あなたが望んだことでしょう?」


「そうじゃなくて、俺と初めて会った時俺の容姿の事。あなたは何も言わなかったからさ...そんな事今までなかったから」


爽やかに微笑むテルオに、シスターの顔が少し赤くなる。


「.....そ、そうですか。そんな感謝されることはしてないつもりですが...ところで、異世界で人生をやり直すにあたり、名前を設定できますが、希望はありますか?」


「名前かぁ...こんな容姿じゃあテルオはなぁ...」


ふうむと考えて、魔法陣から顔が消えるギリギリの所でテルオは某ハンバーガー店に向かう途中で死んだ事を思い出しぽんと手を叩いた。


「じゃあ、マックで」


「そうですか、ではマック。異世界一の弱小勇者の誕生おめでとうございます。三日も生きていられないと思いますが、一応ご武運を」


シスターの冷たい言葉は、魔法陣に吸い込まれたマックには届かなかった。



本日も読んでくださりありがとうございます。


深夜のコンビニバイトの番外編です。

彼はこうして生まれたということで。

彼の今後はそうですね。来年次回作までぼちぼち書いていくかなという気持ちでいます。

ちなみち魔王パーティのお話は書こうと思います。

深夜のコンビニの勇者魔王編って事で。

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