無人街は諸行無常
勇者アーサード
とにかく強力な勇者
人の形をした化け物と言ってもいい
その正体は
む?人の気配か?
無人街の整備された道を歩く一人の剣士
街に淡々と響く生活音を無視して建造物に剣をふるいつづけるそのたびに建物は切断され破壊され立ち向かうリピングマターは粉々に砕け散る
「うむどうやらダンジョンではないなぁ」
勇者はもくもくと建造物を破壊しながらこの屋敷にたどり着いた
カーストドールが迎え撃とうとするもまるで息をするように切り捨てられる
勇者の装備に俺の魔力を流し込もうとするも拒絶された
ヤバイ
俺の中に浮かぶ言葉は絶体絶命
そして俺の目の前に姿を現した勇者は俺の配下を残滅するなりこう言った
「調子に乗ってたわりに弱いなぁ魔神の鎧?」
俺は街を支配して何年こうしていたのだろう
ただ物に意思を持たせることを生き甲斐にしてきたはずなのに
俺は勇者の剣に敗れた
最後に見たのは俺の残骸を抱える勇者の後ろ姿
俺の支配した領地はその後、神官によって焼き払われた
はっきりと俺はそのようすを見ている
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復活可能です
肉体、太古の魔神像
属性、大地、神聖、炎、水、氷、風、邪悪
スキル
同族召喚、同族精製、自己再生、自己進化、呪い、浄化
復活しますか?
はい、いいえ
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「はい」に決まっている
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では今存在している同族の貴方の魔力を回収します
そこで俺の意思は一度途切れる
「いやぁあっという間に方が着きましたね流石を勇者アーサード様」
僕の目の前で糸目の神官が魔神の鎧を眺めながらほざく
「たいしたことはなかったよ」
神官達は街の残骸に浄化の炎を放つ
「この場所に新たな教会を建てることにしました」
街の外側から浄化と言う名の大火災を眺めながら思う魔力の流れが変だ
まるで地面に吸い込まれるような
『よくも俺の街を』
今声が聞こえたような
それから一月教会による復興作業が行われた
街の真ん中に巨大な教会が建ち
それを囲むように街が作られた
その教会の地下深くにある太古の神殿に魔力が集まり始めた
静に静に
とりあえず主人公は生きてます