アルビノさん
今回はどこに行くのか?
本日は路地裏に来ています!!
えっ? なんで路地裏にお前いるのかって? それはたまに事件があるからです!!
えっ? そうじゃない? お前地縛霊だろうが!! とな?
ああ、単純な話ですよ。ここは例の銅像の近くでもあるのです。結果として駅の近く。すなわち地縛霊的な行動範囲内でもなにもおかしくはない! ただそれだけである。
こうして僕はたまに路地裏をのぞくんだ。まあ、今までで事件みたいなものに出会ったことはないんだけどね……
「テメェ……チョーシ乗ってんじゃねーよ」
「乗ってないです」
「じゃあ、なんだ? その髪は?」
「地毛です」
「ウソつくなよ!! やっちゃいましょう、思い知らせてやりましょう?」
……まあ平和が一番だよね、何にも無い様でよかった……今、僕がフラグ立てたわけじゃないよね、誰かそうだと言って……
現実逃避しても仕方ないので状況を言います……
明らかに不良のような三人衆が美少女に絡んでいます……リーダーのような人とその取り巻き、三人ともおそろいのマスクをつけた女子のようです。怖い。
ただ、マスクに書かれている文字が……
リーダー:御機厳擁
取り巻き:乙女一号、乙女二号
残念不良三人衆だなぁ、呼び方決定。
で、問題の美少女だけども……ショートヘアーで白髪なのだ。このせいで絡まれたのだろうと容易に予測できる。さらに大きめの赤い目である配色的にウサギのようだ。身長も低めで絡まれやすそうである。なんとメガネ君よりも低いのだ!! 男子大学生と明らかに女子中学生、もしくは高校生を比較するのが正しいかはともかく……
で、この子が怖がってプルプルと震えてるのなら、多少ポルターガイスト(自力でモノを動かそうと頑張る、地縛霊なんだが、力は弱いのだ)でもしようか、と考えるのだけど……
「先天性白皮症も知らないなんて……ああ、だからそんな変なマスクを……」
この子怖いもの知らずだ……残念不良三人衆のマスクについては僕も言いたかったのにぃ!!
この通りこの子の赤い目には涙が溜まっているという訳でもなく、むしろ冷静に相手を見据えている。だからあるがままに任せようかと思った。実際ポルターガイストとかあんまり使えないしね。自分が弱いわけではない……断じてない。
というかこの子先天性白皮症、つまりはアルビノなのか……なるほど。
「なんだって!!」
「うちらの魂のこもった」
「手作りマスクを侮辱するのかぁ!」
「このかわいい子たちが私のために作ってくれたのよ!!」
それマスクから手作りなのかあぁぁぁ!!
え? 乙女一号二号がごきげんようのために作ったの? それにしてはバカすぎじゃね? 主に文字!
「そう、この子たちが私のために作ったマスク、それに私が文字を入れて初めて三人の絆とした」
「そんなうちらのマスクを」
「馬鹿にしたのかぁ!」
「ああ、いや、バカにはしてない。むしろさっきの話を聞いて唖然としてる」
アルビノちゃんと同じ心境だよ……ダメにしたのはリーダーじゃん! いろいろ!
なんで文字を乙女にしたし!! リーダーに至ってはごきげんようって挨拶!!!
「私たちの絆の」
「マスクを侮辱した罪」
「そして何より」
「「「そのきれいな髪が許せない!!!」」」
お前ら仲良しか!!! 打ち合わせ済みか!!!
ちなみに上からごきげんよう、一号、二号、みんな!!
「そんなこと言われても困る……」
「いいから」
「殴られ」
「なさい!!」
やっぱり打ち合わせ済みだろ!! カメラで撮ってるのか!? 今回は二号、一号、ごきげんよう!
あっ、マスクに乙女三号って書いてある奴がこっそり撮ってる。こいつらふざけてるように見せかけて、アルビノちゃんを袋叩きにするとこを撮影する気かよ!! 結構外道だ!!(今更)
そんなこと言っている間に残念不良三人衆は武器を取り出した……はさみとはさみと鋏だ! バカか!
こいつらどんだけ白髪を疎ましく思ってるんだよ……あと打ち合わ(略)
ちなみに、散髪用のはさみ、文具のはさみ、糸切狭である。バカな!
付け加えるなら、二号、一号、ごきげんよう。バカだ!
「おとなしく切られなさい!!」
バカバカ言ってるうちにごきげんようたちがアルビノちゃんに襲い掛かる!!
「……正当防衛だからね……」
―――ドガッ!!!
はっ???
あ、ありのまま今起こったことを説明するぜ? アルビノちゃんがぶれたと思ったら、ごきげんようが倒れていたんだ……何を言っているか……
―――ガガッ、ズドッ、ドスッ!!!
そしてアルビノちゃんははさみを(糸切狭にあらず)を吹っ飛ばしその後一号二号に腹☆パンをくらわせて倒していた。
「ごめん……ある程度身を守るために多少鍛えてるの」
どう考えても多少じゃないね!! ある程度ってどの程度!!!?
そりゃあなく必要とかないわぁ……
「正当防衛だから……そこの三号さんも、逆恨みしないでね」
ご、ごめんなさいいぃぃ、って、僕じゃない僕じゃない。僕は何もしてない地縛霊!! あっ、三号さん腰抜かしてる。
「待ち合わせがあるから……そこで、少し待ってて」
そう言ってアルビノちゃ……さんは去って行った。心配しなくてもだれも動けないと思う。
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「それで、脅しのほうをお願い。苦手だから」
「まかせて~」
おおーいなんかヤバそうな言葉が聞こえてきたぞ……ちなみに僕は当然アルビノさんについて言ったから何のことかわかるけど残念不良三人衆はきっと顔面蒼白だろう。
アルビノさんが連れてきたのはおっとりとした感じの子だ。争い? なにそれ? それよりお茶会しよう? みたいな雰囲気を持っている。
「へ~、君たちが私の友達に襲い掛かった命知らずか~」
ニコニコしてるが目が笑ってない。怖い、さすがアルビノさんの友達、怖い。
「この子は大体狙われるけど~もう次はないよ? もし次があったとしたら~ ……フフッ」
「穏やかに生きたいから今回だけは見逃す、そういうことだ」
……恐ろしい。
こうして路地裏での事件は終了した。むしろ、アルビノさんとその友達による天災と言ってもいいかもしれないが。
今回ほど自分が傍観者の地縛霊でよかったと思ったことはない。
アルビノのキャラのイメージで絡まれると弱い、物理的に弱い、というものがあったので、強いアルビノのキャラです。アルビノのことはざっくりとしか知らないので矛盾があってもスルーでお願いします。(ご都合主義バンザイ)
アルビノさんの友達のあだ名が思いつかなかった……