厨二君と通訳ちゃん
今度は別の人を観察します。予約投稿で三つ目になります。
今日も今日とて人間観察がしたい! ということで面白そうな人いないかな~
ん? なんか話し込んでる人がいますね。何話してるのか聞きに行ってしまおう♪
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「残された刻はあとわずか! なのに! 何故! この約束の地に! 皆! 集わないのだぁ!」
「電車が遅れてるからよ」
うわぁ、温度差ブリザード
なにこれ? なんかのショー? もしくはコント?
やばい面白そうなやつら発見した。騒いでる男子と淡々とした女子だな。男子のほうは厨二君でいいね、間違いない。だってこの子厨二だもの。
「私の覇道を邪魔するのか! 絡繰り仕掛けの箱の分際で! だが甘いな。私のパーフェクトスキームを狂わせるまでもない! なぜならば、クーリングタイムをあらかじめ取っているのだから!!」
「時間に余裕を持ってるから予定に変更はなしね。了解」
女子は通訳ちゃんでファイナルアンサー! というか、横文字か漢字か統一しろよ厨二君。覇道なのかスキームなのかはっきりしろよ。通訳ちゃんは何やらスマホを見てると思ったら、ここに来てない人からの連絡を受け取って返信してるみたいだ。
面白いし(断定)もうちょっと厨二君と通訳ちゃんを見物しておこう。
「しかし、皆は雷の車からの妨害を受けてしまったのか……私たちがこの場に集うことは身内にしか知られていないはずだが……敵の情報収集能力を甘く見ていたか……だが、私にぬかりは無い!! 敵の届かない極地へと皆を案内して見せる!!!」
「楽しみにしてるから、少し落ち着きなさい」
「……私はクールだとも。私を狙えばいいものを他を狙う敵の悪辣さに多少腹を立てているだけだ……おのれ、神を騙りし人災めぇ!」
「偶然に起きた人身事故なんだから文句を言っても仕方ないでしょ?」
「分かってはいるがな……私の深淵から生まれいずる情動がこの身を焦がすんだ」
「皆から連絡が入っているから心配しなくてもいいよ」
会話がすごいことになってる。通訳ちゃんは厨二君の言ってること理解してるのかな? 厨二君は一度も心配とか言っていないのにどうしてそうなるの? 意思疎通できてる??
「む……そうだな」
できてたァぁァっぁァぁっぁァぁあぁぁっぁァ!!
通訳ちゃんSUGEEEEEEEEEEEEEEE
「理解できたなら静かにしてて、いい?」
「……フッ、当然だ。私はこのクラスで参謀の役割を果たす者。常に冷静であるのだから」
「………………」
ちょっ、通訳ちゃん、目、目がすごいことになってる。刃物並みに鋭くなってる。厨二君、暗がりで刺されないようにしろよ。通訳ちゃんストレスため込んでそうで怖いよ? いつか爆発するかもしれない。というか、いつもこんなノリのやつなのか、厨二君は。だとしたら通訳ちゃんはいつも通訳してるのかな? それって何かの罰ゲーム?
僕がそんなことを思ってる間、厨二君は通訳ちゃんのスマホをじっと見てた……暇なのかな? というか、そんなに見られたら通訳ちゃんも返信しずらいだろうに……
「やはりその長距離短文式連絡共有型電光の器は便利だな。」
厨二君、急に早口言葉みたいにしゃべるのやめようか。難解なうえに早口とか理解不能と言われても文句は言えないよ? 僕は厨二君がスマホに注目していることから察せるけど、さすがの通訳ちゃんでもこれはさすがに……
「スマホのアプリはこれだけじゃないからね?」
「そうなのか! さすが、小さな時間泥棒と呼ばれているだけのことはあるな」
「確かに時間泥棒……」
通訳ちゃんSUGEEEEEEEEEEEEEEE
厨二君のほうを全く見てなかったのに分かったってことは厨二君の発言で何を言っているか把握したってことだよね? 僕は厨二君がスマホを見てたんだからそこから推理してようやくわかったのに。しかも自分のスマホから顔すら上げてない通訳ちゃんマジ通訳。
「エレキ・ボードには悪魔も存在するが、天使もいるのだ。ゆえに手中におさめたいのだがな……私が入手するためには高次元に存在するものを味方につける必要がある」
「こうゆうとき連絡が取りやすくなるから、説得頑張ってね。スマホの利点なら教えられるから、頼ってもいいよ」
「助かる、さすが私の一番の理解者だな」
「…………………………」
通訳ちゃんの顔が百面相みたいになって、最終的に目の鋭さが鉄すらも切れそうになった顔に……
「前は、『エターナルパルトナー』だったのに……統一しなさいよ」
通訳ちゃんKOEEEEけどGJ! 一番言いたかったことを言ってくれた!! スマホだけでも三種類の言い方をする厨二君は通訳泣かせだもの!! 何だよ長距離短文式連絡共有型電光の器って! エレキ・ボードって! まあ小さな時間泥棒は分からなくもないけど!!
「統一はできない、これは私が私自身に行った封印なのだから……」
そして厨二君の発言がいよいよ意味不明になってきた……
「………そうよね、ごめん」
すべて理解した様な通訳ちゃん、さすがです。
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厨二君も静かになっちゃったなぁ。厨二君は騒ぐから面白いのに、つまんなくなってしまった。さっきのやり取りから二人ともずぅっっっと黙っているのだ。通訳ちゃんが意を決したような顔になってる。
「二人きりの時くらい、無理しなくてもいいのに……」
「…………」
「私は、素のあなたでも「ごめん!! 遅くなった!」」
えっ? いや今、通訳ちゃんめっちゃ大事なことを言おうとしてた様な雰囲気だったのに……って、ちょっ、通訳ちゃん、目が、氷点下の中に鋭い怒りを含んだのような目になってる!!?
遅れてきた男子はKY君だな。決定。
「待ち望む希望のかけらはあと二つだったはずだが……どうしたんだ?」
「遅れてきた俺が言うのは申し訳ないが意味が分からん」
「一緒にこっち来てたんじゃないのか? って聞いてるのよ」
「あー同じタイミングでこっちに来ているはずだけど見なかったなぁ」
「まさか、駅構内にのまれたのか」
「さすがに迷子にはなってないと思うわよ」
「……よくわかるな」
「慣れよ」
なんか悔しいけどKY君の発言に同意である。ルビで出てないと正直僕もわからん。
「ご、ごめんな、さ、さっさっさっ、さい!」
息を切らしながら女子が走ってきた。で、「さい」って言ったタイミングでこけた……何もないところで……この子はドジ子だな。
「おいおい、大丈夫か?」
「うう……うん、だいじょぶ」
「ちょっと、どこが大丈夫なの? 傷になってるじゃないの」
「ふふふ、心配するな! 私の七つ道具『医術の箱』によって処置は十分できる!」
「分かったから早く絆創膏出して。それなら入ってるでしょ?」
「オイ、救急箱じゃないのかよ! ……いや絆創膏があるだけマシか」
こうして、ドジ子を治療した学生グループはこの場から離れていった。
「ここの近辺の結界が張られている場所を案内しよう!!」
「人少なめで、のんびりできるいい場所があるから、まずはそこに行くんだって」
「ふわぁ……楽しみですぅ」
「待ち合わせに遅れた分、急いだりしなくていいのか?」
「この私の選ぶ道だ、問題など私が起こさんよ」
「計画には余裕があるから心配ないってさ。あと、何かあってもフォローするって」
「分かるんですよねぇ。さすがですぅ」
「まあ、お前が考えたんなら問題ねえか」
「私のブレイン・スピン・トップとしての役割だからな」
「何言ってんだよ……意味わからんが、やっぱお前面白いわ」
……最後まで会話を繰り広げながら。
最後に一言……
厨二君が意外と受け入れられててびっくりだよ……
もっと浮いてると思ってたよゴメン!!!
KY君とドジ子はもともとキャラとして出てこないモブイメージでした。厨二君の発言を考えるのが大変でした。厨二君がなぜああなったのかを妄想した結果、厨二君の過去の設定ができました……が、地縛霊さんの視点ではほのめかしておくのがせいぜいでした。通訳ちゃん視点とかなら書けるかも……