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メガネ君

地縛霊さんのキャラが安定しない……

 そんなわけでまずは銅像のところに行ってみましょう。


 ……いましたよ、第一の被害者…じゃなくて観察対象が。銅像は待ち合わせ場所としてよく使われるんだけどこの子はだれを待ってるのかなぁ? 黒縁丸眼鏡をかけて、服は灰色を基調としたコーディネート。身長は低めかな? 155センチあるかないかくらい。お手元には……英単語帳? 地味か! 真面目か!!!

 ええぇー記念すべき初の観察対象がこんなつまんなそうなメガネ君(仮)て……僕になんかうらみでもあるんかよぉーチェンジ! チェンジを希望する! おもしろくなーい。


 まあ、このメガネ君誰か待ってるみたいだし? どう見ても真面目な中坊にしか見えんから彼女ってことはないだろうけど(ザ・偏見)、もうちょっと見てみようか。暇だし。


~~十分経過~~


 ……コイツヤバい、動かない。ここに新しい銅像が出来たとか聞いてないよ? うん、現実逃避です。

 イヤイヤ、単語帳めくる以外に動きがないとか何? なんなの? 怖いこわい。なんなのコイツ。セメントなの? 剥製なの? 銅像なの?

 というか、待ち合わせ相手早く来てやれよ! メガネ君ずっと待ってるぞ、コイツ放置したら一日中英単語見てるぞきっと! 待ち合わせの時間のつぶし方はほかにないのかと聞きたくなるぞ……誰かこのメガネにスマホゲームの存在を教えてあげて!! 見てるこっちがつらいよ! 今時小学生でもスマホ持ってるからーーー


 メガネ君つまらないとか言ってごめんよぉー

 ……あら? メガネ君がなにやら黒色の板状のものを取り出したぞ? メガネ君、めくる以外の行動がとれたんだね。というか、それ、スマホじゃね? いや待て、決めつけるのはまだ早い。メガネ君は板の側面の明らかに電源だと思われる部分に触れて、板に光がともった。


 やっぱスマホじゃねぇぇぇかあああぁぁぁぁぁ!!


 返せ! 僕の同情を返せ!! スマホ持ってるなら有効活用しろよ!!! 装備を袋に入れたままにしている冒険者かぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


「そろそろ約束の時間になるな」


 メガネ君はそう言うとスマホをしまった……カバンの中に。


 だから、装備しろよ! つうか、腕時計使えよ!! 貴様にスマホはもったいないわぁぁぁぁぁーー


 あと名も知らない待ち合わせ相手さん! 君は悪くなかった! コイツ 十 分 前 行 動 してたよ!!! バカだ、絶対バカだ、単語帳読んでるけどバカだ!!!



   ~~~~~


 それから、しばらくして一人の女の子がやってきた。身長165くらいで顔だち良しの元気系美少女。やわらかい色合いの服を着て、それでいて地味にならないように小物で補うコーディネート。さわやかな笑顔で駆け寄っている……メガネ君に向かって。


 メガネ君に彼女とか認めねぇ! どうした、幽霊になってから目がおかしくなったのか? いや、むしろおかしいのは僕なのか? 死んでる間に流行が変わったのか? モテ男の基準が変わったのか?


「ごめん! 待った?」

「いや、待ち合わせ時間には間に合ってるよ」

「十分前に来てたとかなーい?」

「なんでばれたし」

「何年一緒にいると思ってるの? わかるよ」

「それもそうか」


 ……記念すべき第一回の観察結果、僕の精神に多大なダメージが! リア充かよ、くそがぁぁ!


 メガネ君のくせに幼馴染系彼女持ちとか世界は残酷だよ……いや、こいつらがまだ付き合ってると決まったわけじゃないし、実は幼馴染ってだけかもだし……それでも不平等だけどな!!


「16年は一緒にいたからな。僕も葵のことなら大体わかるし、葵も僕のことは把握するよな」

「自然とそうなるよね」


 メガネ君のくせに名前呼びとか、しかも普通にカッコいいとか……単語帳のくせに。


「まあそんなことより、この辺案内してよ、空にぃ」

「ハイハイ、この辺は自分の通う大学も近くにあるからな。多少は詳しいぞ」

「地元から少し離れて、一人暮らししてるだけはあるねぇ」


 は? なんか今よくわからない言葉を聞いたような……


「案内する間、そっちであった面白エピソードとかあれば教えてくれ」

「それなら、高校でなんだけど……」


 二人は仲良く去っていく。多少なら追いかけられるけど、ちょっと頭がマヒしてるみたいだ……


 あいつら兄妹かよ! どう考えても年齢逆だろ!

 あの見た目で大学生とか外見詐欺だぁぁぁぁっぁぁっ!!!

 DNA仕事しろぉぉぉっぉぉっぉぉぉぉっ!!!!!


 確かに! 確かにそれなら十六年一緒とかあの仲の良さも納得できる!! けど、兄妹仲良すぎじゃねえか? 今時あんな中いい兄妹も珍しいだろ!! 何よりもメガネ君の外見で大学生は納得いかねぇ! 大学生ならもっとはじけろよ寂しいだろーがぁぁぁっぁぁっぁぁぁっあっーー


 こうして僕の暇と喉は潰されたのだった。

メガネ君はもしかしたら再登場するかもしれない(しない可能性のほうが高いが)

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