僕の予備校説明会(4)
「そんな条件!呑めるわけありませんわっ」
バンッとテーブルに手をつき、ヴィーは立ち上がった。
うむ、怒ってる怒ってる。でもマジ切れって感じじゃないな。
幾分かポーズが混じってる。僕がからかってる可能性を考慮してるんだろう。
「子供の一人や二人、産んでくれたって構わないだろ?
貴族の女の価値なんて、結局のところ股を開くことにあるんだし」
うーん。楽しい。
「ヴィーは王族だったかな。まぁ王族でもそう変わらないよね。
お父上もヴィーのことなんて股を開く道具にしか思ってないだろうし。
継承権どうこうって言ってたけど、股っぴらきとしての価値を上げたいだけだろ?
『優しくて男前でたくさん金を持ってる×××を突っ込まれたい』間違ってるとは思わないけどね。
ん?…ってことは娼婦とそんなに変わらないな。貴族も大変だね」
ニヤニヤ笑みをキープしたまま僕は続ける。
「王族なんて、しょせんは付加価値の高い娼婦に過ぎない。
なら、輿入れ時に中古になってても問題ないでしょ。
子供は護衛さんが育ててくれるだろうし。僕も養育費くらいは出しますよ」
仕上げににっこり微笑んだ。
うむ。決まった。
ヴィーは大変なことになってた。真っ赤な顔でギリギリと僕を睨んでいる。
視線で人が殺せるなら、僕を3回くらい殺せるだろう。
途中で口を挟まなかったのは怒りすぎてたからかな。
護衛さんは途中から僕の目的に気付いたようだ。
ヤレヤレって感じで僕と眼を合わせた。
すみません、護衛さん。王族となんて関わり合いたくないんですよ。
お二人みたいな美人さんを侍らせるのはロマンですが、僕みたいな青二才にそれは無理です。
それにしてもヴィクトリア。怒った顔も美しいな。
これが王室の血なんだろうか。憤怒で顔が歪まない。
そういう訓練を受けてる…
「…言いたいことはそれだけですの?」
ヴィーが口を開く。
「うん。で、どうする? ヴィーの貫通式をしようか。」
僕は立ち上がったヴィーの身体を睨め回す。
それなりに成長している身体。なかでもお胸はそこそこ自己主張している。
巨乳ってほどじゃないが、それでいい。
これからまだ大きくなることだろう。
その過程を日々楽しめるとか。
幸せすぎるな。
「月のものでないなら、今晩からでも仕込めるよ」
ニイッと笑う僕。
ヴィーはスカートなのでお尻のラインは未確認だ。
変に角張ったりはしていないし、鍛錬してるだろうから垂れてることもないだろう。
脱がすのが楽しみだな。
手入れされた肌も期待できる。
剣を握っているとは思えないほど美麗に維持された指先も高得点だ。
「説明会には出るからね。午後は予定がある。
そのあとでもいいけど…女の子だし心の準備がいるよなぁ」
顎に手を当て思案する。
「風呂にも入りたいだろうし。やっぱり夕食後か」
うむ。と頷く。
「ええと、どっち先にしよう。
やっぱりヴィーから?
いや、一応は王族だし…毒味役がいるなら護衛さんかな。
まぁ二人一緒でもいいけど。
心配しないでいいよ。優しくしてあげるからね」
「こ…のっ!」
刹那、ヴィーの右手が腰の剣に伸びた。
護衛さんは動かない。こちらに対処を任せるものと理解する。
剣を抜かれるのは不味い。ヴィーを怪我させる恐れがある。
僕は、左手の人差し指からウィンドボルトを撃ち出した。
威力はかなり抑えてある。
小さな、白い風属性の魔弾が、指から離れると同時に透明になり、ヴィーの右腕に命中する。
衝撃で彼女はバランスを崩した。痛みはないはずだ。
威力が低いので無音である。魔法とは思えないほど地味だ。
ドンっと突き飛ばされた感じかな。
腰を落とし、力を溜め再び腰の剣に手を伸ばすヴィー。
ふむ。ここはキッチリ心を折らないと。
『バシッ!』
一発目のウィンドボルトでヴィーの身体が宙に浮く。
『バチンッ!』
二発目のマナボルト。これで身体が痺れる筈だ。無力化って奴だね。
『ガシャッ!……ゴゴンッ!』
ヴィーが吹っ飛ぶであろう先にテーブルや椅子が並んでいたので、スーミィがウィンドブラストで薙ぎ払った。
あの中に突っ込んだら余計な怪我しちゃってたな。そこまで頭が回らなかったよ。
スーミィにありがとう、とウィンクすると
「ん。」
いつもの返事が返ってきた。
『ドザッ………』
椅子やらが撤去され開いたスペースに、ヴィーは放物線を描くように落下した。
石畳の上に頭を擦り付けながら、ゴロゴロと転がり、やがて止まる。
問題なく息はあるようだ。
「やりすぎましたか?」
護衛さんに尋ねる
「おひいさまは頑丈です。身も心も。」
護衛さんはヴィーを見守る。
確かに頑丈だ。ヴィーに目を向けると、抜き身の剣を支えに立ち上がろうとしていた。
意外とダメージが少ないな。
擦り傷が少ないし、服も破れたりしてない。
そうか。スーミィだな。風魔法か何かで衝撃を軽減したんだろう。
口ほどになく優しいよね。スーミィ。
「わ…わたくし……のっ……」
おお。無理矢理な強化魔法で身体を操縦してるのか。
凄い精神力だな。体内の魔力網は一時的にダメになってるだろうに。
「あ……ううっ」
ガクッと膝が崩れ、尻餅をつくヴィー。
『ジュッ』と小さな音がして、ヴィーのお股を中心に水たまりが広がる。
ありゃりゃ、漏らしちゃったね。
「あ…ああぁ…」
羞恥に顔を手で覆うヴィー。水たまりがどんどん大きくなる。
「うむむ。たまらないなぁ。白く可愛らしい絹のショーツとか。おしっこで濡れていくショーツとか、おしっこで透けたショーツとか、ショーツが透けて大事なところとかがいろいろ丸見えだ」
「ハル君、声に出てるよ?」
スーミィが心底嫌そうな顔をした。
「う……ぅ…くっ!」
ヴィクトリアはキっと顔を上げる。
おしっこをぽたぽた垂らしながらも、再び立ち上がろうとする。
泣いちゃってるな。悔しいのと情けないのと怒ってるのとで、お顔はぐちゃぐちゃだ。
それでも美しく見える。姫ってのはそういう生き物なんだろうか。
なんか庇護欲をそそるなぁ。追い込んだ僕が言うのもアレだけど。
「ひ…ひどをバカにしてっ!なにも…じらない…くせにっっ!」
「ヴィーだって、僕等のこと知らないだろ?」
聞き取りやすいよう、ゆっくりと伝える。
歩み寄り、屈んで彼女と顔の高さを揃えた。
その方がパンツおよびおもらし現場が良く見えるからである。他意は無い。
「うっ…うぅっ!」
剣を振り上げようとするも、手が痺れていたのか。
『ガランッ』
握りが甘く取り落としてしまう。
「これに懲りて、僕等には関わらないで欲しい。人には言わないからさ」
ヴィーの顎をグイッと持ち上げ、目を合わせる。
美しい瞳だなぁ。
王族のようなリスクの塊でなければ、欲しくなってただろう。
「じゃあね」
涙やら何やらでべちゃべちゃになった頬をするりと撫で。
王族のお小水の香りを存分に胸に吸い込んでから、僕は立ち上がる。
「行こうか」
来たときと同じように重たいトランクを提げ、
「ん。」
僕とスーミィは歩き出す。
「お…お待ちなさいっ!」
おおぅ、まだ何かあるのか。
振り向くと、ヴィーは護衛さんの肩を借りてなんとか立っていた。
僕が撃ち込んだマナが抜けてきたのかな。ちょっとずつ回復してるみたい。
でも内股やスカートはおしっこで濡れたままだ。
「私を…っ!話を持ち掛けた私を辱めるのは許せます…でもっ!」
「ウーラを侮辱することは許せないっ!ウーラは…彼女はっっ」
歯噛みし、涙を流しながら抗議するヴィクトリア。
「子を産めだって!軽々しくっ!言うなっっ!謝れっ!謝れよっ!」
うううっと嗚咽交じりにヴィクトリアが叫ぶ。
「ウーラに!ウーラにっ!許しを乞いなさいっ!」
偉い剣幕だな。
何か事情があるのか…ああ、アレかな。
「なんだ。護衛さんは子供が産めない体ってやつか?」
「う……。うぅ……っ。ぐすっ…。」
ヴィーが肩をひくつかせながら俯く。否定しないんだね。
護衛のウーラさんの瞳に哀しみが過ぎった…のは気のせいかな。
うーむ。
「当たりですか…?性奴隷上がりをお姫様がお買い上げになったと。お優しいことですね」
ふふふ。と、上から目線で笑ってみるが…。
だが…そうなのか。
僕は男だから、ソレが女性の在り方にどう影響するのか分からない。
無神経だったかな。途端に後悔の念が出る。
いつの間にか口調も戻ってるし。
「初物じゃないのは残念ですが、身体の問題は僕の方で何とかしますよ。
要は産めればいいんですよね」
「っ…!」
ウーラさんがビクッと身体を震わせる。
むぅ。ヤバいな。やりすぎたか。
「僕達は説明会に参加します。お二人の荷物はここに運ばせましょう」
スーミィが僕の服をちょいちょいと引っ張る。
ああ、解ってるさ。
「孕みたくなったらお申し出ください。歓迎しますよ」
それじゃ!と軽く手を上げて挨拶し、踵を返す。
泣き崩れるヴィクトリアと、それを抱き止めるウーラ。
二人を中庭に残し、僕とスーミィは説明会の会場に戻る。
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