成り切り転生者の独り語り
初めまして、一介の転生者です。
私が今から語る事は『自分勝手な妄想』と言う事にしておいて下さい。
そして皆様が生暖かく見守って頂ければ幸いです。
さて、早速ですが語ります。
転生で良くあるパターンが、『原作が有る世界に転生』と言うパターンです。
私は全ての世界には原作が有る、ただ知っているか知らないかその違いだけではないのかそう考えています。
なろう小説でも小説や乙女ゲームに転生する物語がありますよね。
あのように元ネタが有る世界に生まれ変わると、私の場合ストーリー上重要なキャラになる事が多いです。
例えば乙女ゲーだと攻略対象とかヒロインとか悪役令嬢、またはその家族か友人。
私だと、法則的に死亡フラグが一番多いキャラに転生するので|(例外も有りますが)悪役令嬢が多いですかね。
そんな時に『世界の強制力』と言うものが働いた場合、死にます。
強さにもよりますがほほ確実死にます、死にまくりました。
でも死にたくないので解決法を編み出しました。
強制力が弱い場合、ストーリーを完全無視します。
悪役令嬢だったら、婚約を破棄するとかそれが無理なら周りを味方に付けるとかですね。
強制力がそこそこある場合、ヒロインとエンカウントしないように善処します。
エンカウントしたら優しい人になりましょう、間違っても虐めないように。
ヒロインが転生者でない限りこれで大丈夫でしょう。
強制力が最強で今まで積み上げて来たものが崩れ去った場合、物語が誰目線なのかを考えそこだけストーリー通りにします。
乙女ゲームは大抵ヒロイン目線なので、糾弾された悪役令嬢が物語からフェードアウトした後は詳しい描写が少ない事を利用し、ヒロインに悪役令嬢な自分は死んだと思い込ませればこちらの勝ちです。
さっさと国を出て自由の身になりましょう。
ヒロイン以外何も要らないとか言っている王子が王になる国は気にせず放置しましょう。
もし物語が終わっても強制力が働くのだったらヒロインは死ぬまで幸せなんで戦争なんか起きませんし、強制力が消え去るのであれば攻略対象者達が正気に戻るか、今まで国を支えて来た王や狸大臣達が恋に溺れているヒロイン&攻略対象者達を表舞台から引きずり落としてくれるでしょう。
それでも不安なのであれば、物語に出てこない賢明な王が居る国で戦争が起こらないよう暗躍しても良いですね。
これで全て生き残れる訳ではないのですが、可能性が少しでも上がるなら私はそれに賭けます。
その為には体を鍛えた方が良いのですが、鍛えたせいで死んだ場合が有ります。
闘える体になると、歩き方や姿勢目線の配り方などが普通と違ってしまいます。
騎士の父親にそれを見抜かれ「お前はスパイだ!」と牢屋に投獄、拷問を受けました。
深窓の令嬢の振りをし、家族にも秘密で鍛えていたので何も知らないと言っても信じてもらえずそのままぽっくり。
……せめておてんば娘ぐらいにしておくべきでした。
まぁ、次に活かせたので良い経験になりましたが。
『途中で思い出す』パターンも曲者です。
性格が変わってしまうので、家族に不審がられますが間違っても「前世を思い出した」と言わない方が良いです。
貴方の家族が急に性格変わったらビビりますよね?
それでさらに「前世が」的な事を言われたら即黄色い救急車で病院に連れて行かれます、そして気が狂ったと思われるのがオチです。
性格が変わってもしばらくすれば周りの人も慣れますから、ぐっと堪えましょう。
気持ちを軽くするため『記憶を思い出す前の貴方』が死んだ訳ではなく、思い出す方が自然、一時的記憶喪失が治ったんだと思いましょう。
友達や家族と関係が変わってもある程度は仕方有りません、人間は変わる生き物なので徐々に変わる物が一遍に来たと思って諦めないと心が持ちません。
さてここで、客観的に考えてみましょう。
もし貴方の子供、もしくは弟か妹がある日を境に性格が変わったら?
例えば、すごく甘えん坊でわがままだった子が突然甘えなくなり自分の意見も言わなくなってその理由を聞いたら「おねえさん、ぼくぜんせのきおくがあるんです」だったらどうですか?
今まで通りその子に接することが出来ますか?
その後姉に気持ち悪い物を見るような目で見られるようになり、名前も呼んでもらえなくなりました。
姉はとても優しく弟思いのいい人でした、そんな人もこうなってしまうのです。
逆に貴方のお母さんお父さん、もしくは配偶者が「前世の記憶が!!」と言ったら無条件で信じれますか?
普通の人の場合間違いなく別れます。
っていうか速攻で捨てられました。
つまりそう言う事です、罪悪感で圧し潰されそうになっても家族がもしくは恋人が好きなら言うべきではないと思います。
言うのだったら今の関係が変わるのを覚悟した上で言いましょう。
前世の記憶、異世界の記憶は貴方の『武器』になります、しかしそれは諸刃の剣で扱い方を間違えれば自分を殺してしまう可能性も秘めているのです。
なろう小説でも、魔法世界で化学兵器を造る物語がありますがその物語に私は恐怖を感じます。
私も昔、同じような事をしでかしたからです。
一介の発明者だった私は、家族を友達をそして愛する人を守る為異世界の知識を使い戦争に勝利しました。
しかし何度目かの転生でまたその世界に生まれた時、私は自分の愚かさを知ったのです。
私の造った兵器の一つ、この世界で一番近いのは地雷でしょうか。
踏むと体内の魔力が暴走して肉体が爆発すると言う物です。
穏やかな春の日、とてもいい天気でした。
今年結婚する事になっていた彼女と私はファジーの花を見に出かけていました。
笑いながら前を駆けて行くのを幸せ一杯に見つめていた次の瞬間、大切な彼女が目の前で飛び散ったのを今でも思い出します。
真っ赤な、彼女だった物をかき集めた私は真っ青な空の下で泣き叫び『前世』を呪いました。
本来世界に存在し得なかった物が現れるとどうなるかを身を以て思い知ったのです。
兵器は直接人の命を奪います。
そして自分が死んだ後も世界に残り沢山の悲しみを生み出してしまいます。
もし万が一貴方が転生したとしたら、どうかそんな事にならないように願います。
長々と語りましたが最後に、私は前世を信じていません。
でも、道を歩いている時、電車に乗っている時、フラッシュバックが起きます。
大好きだった少女の笑顔が歪む映像を、春風が吹く幸福の象徴ファジーの花畑が赤く染まり辺りに漂う血の匂いを、男に糾弾されその腕の中に居る少女が微笑んだ時に感じた心が冷える感覚を、男が膝をつき泣きながら白状してくれと懇願する声を、恋人に別れを切れだされた時に飲んだコーヒーの苦さを、五感で感じるのです。
無論すぐに消え去りいつもの風景に戻るのですが、その瞬間は私にとって真実なのです。
夢もリアルで、起きた時一瞬自分が誰か分からなくなります。
時間が経てば雪が解けるように忘れてしまいますが、ふと怖くなります。
どうか前世では無くこれがただの妄想である事を、私がただの人間である事を祈ります。
20××年△月○日
作者 つるべえ『厨二病発症中』
あとがき(と言う名の長い言い訳)
いや~後から読むと悶え死ぬレベルじゃんかよこれ。
どうも、作者のつるべえです。
初投稿ですが、真夜中テンションで自分に酔っている事がよく分かる作品ですね。
宣言しておこう、僕に前世はございません。
ただちょっと妄想が好きな変わった人なだけですから。
何だ最後の『ただの人である事を祈ります』って、お前は人間以外の何者でもねーよ! 何者のつもりだよ!
妄想に浸っているときは分からないけど、冷静になれば恥ずかしい台詞のオンパレードだよ!
読者の生暖かい視線がざくざく刺さるぅ!!
ごほん、えーっと前世はありませんがフラッシュバック的な物とリアル過ぎる夢は有ります。
可愛い女の子達に囲まれる夢とか超ハイスペックイケメンになってる夢とか、性別が変わっている事も多々あります。
ぶっちゃけ自分がそのまんま出てくる事はあんまし無いです。
別人になりたいのか俺よ。
性格も変わってるので夢では女の子に迫っていたりして、僕がそこに居たら土下座しますよ、コンクリートに頭がめり込むぐらい全力で土下座。
良い夢は特に問題はない(むしろウェルカム)ですけれど、悪夢は全力で遠慮したいです。
この作品でも書いたように人間が爆散とかグロいです、発禁物です。
匂いまで感じるんだよなぁ。
この作品ではかなりまろやかに書いたつもりですが、一応R15にさせてもらってます。
……15でいいよね? ね?
さて、話は変わりますが僕にも前世を信じていた時期がありました、だけどそれは現実から逃げてるだけだと気づいたんです。
現実に引き戻してくれた恩師、僕を愛してくれた優しい母と不器用な父、そして癒しをくれた我が愛犬達に感謝の言葉を。
最終的にやっぱり恥ずかしい事を書いてしまい、悶え死ぬレベルを超えた作品になってしまいました。
読者のあきれた顔が目に見えます……
ここまで読んで下さってどうもありがとうございました、これからもつるべえをどうぞよろしくお願い致します。