建国パーティー
大分遅くなりました。
熱は長引くし 、いつまでも咳と嘔吐感が治まらずにいたのですが、やっと楽になったので投稿です。
「お嬢様!帰城が予定していた時刻よりも遅うございます」
城近くで自由国の第二王子と別れて懐中時計を見れば、とっくにメイド達と約束していた時刻を過ぎていた。
慌てて自室に向かえばタケルは追い出され、私は風呂へと追いやられて磨かれる。
5人がかりで磨かれ、着飾られた後には鏡を見る暇も無く、仮のエスコート役として元ポスタルエカ宰相のマルクスに手を取られてパーティー会場へ。
『これが私の宝、この国の第一王女だ』
いきなりの父からの紹介に、笑顔を引きつらせる。
何も理解していない内に会場中の視線を一身に浴びた。
「マルクス。これはどういった状態だ」
「パーティーの挨拶が終わり、お嬢様の公式お披露目となっている状態ですね」
「そうか」
どうやら私が思っていたよりも時間が押していたらしい。
会場を見渡してから、一礼する。
見た限りでは若い男が多く感じたが、まさか全員が私の新たな婚約者候補じゃあるまい。
街であった西の大国第二王子ジンジャーと、東の自由国第二王子……確かシシオという名前の王子が自国の者と思われる複数人と一緒にいた。
「本日はお招き頂きありがとうございます」
まず私に挨拶しに来たのはジンジャー王子だった。
周りには、恐らく西の大国の貴族たちと思われる中年小太りの者と、若者が何人か。
若者の方は皆顔の造形が綺麗な者ばかりだ。
「成る程。西の大国は外見で攻めてきましたか……」
「ん?」
マルクスが何か呟いたようだが、集中していなかったから聞こえなかった。
「いえ、独り言なので、気にしないでください」
「これはこれは美しい姫君だ。婚約破棄されたポスタルエカの第二王子様はよっぽど見る目が無いように思えますなぁ」
中年小太りの男が仰々しい動きで褒めてくる。
「まぁ、外見ばかりは美しく清らかな様に見える毒塗れの娼婦でしたしね」
マルクスはよっぽど一時は私の義妹であったアンナニーナが嫌いらしい。
今は堕胎の罪で幽閉されている彼女に対して笑顔で毒を吐いている。
「その話は今は置いておきましょう。それよりも、貴国からの贈り物として頂いたあの見事な刺繍の刺してある絨毯はとても素晴らしいものでした。ありがとうございます」
「いえいえ。こちらとしても喜んでいただけた様で嬉しゅうございます。あの絨毯はうちの第二王子が姫君に選んだものでして…」
「ごきげんよう、姫。私は第二王子のジンジャーと申します」
「ごきげんよう」
第二王子であるため王位継承権の低いジンジャー王子は今騎士として動いているのだろう。私の手の甲への口付けという挨拶を交わして、当たり障り無い会話をして去っていった。
心配のコメントありがとうございます。
先月投稿できなかったお詫びに今月中にもう一話投稿したいなぁ…