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タケルとサヤカ

お待たせしました!!

異世界組のカップルの過去話です

御者視点(他国で召喚された勇者)


俺の名前はタケル。日本から召喚された勇者だった。

高校2年の時に…まぁ、痴情のもつれで付き合っていた女の子に腹を刺されて死んだはずだったんだけどね〜。どうやらピッタリのタイミングで召喚されちゃったらしくて、此処じゃない国に召喚されたんだ。


そこは雪国で、貧しい生活をしている大勢の国民と、一部の富裕層で構成された国だった。


勇者召喚といっても、魔王を倒せとか、魔物を滅ぼせとかじゃなくって異世界の便利な技術が欲しいというだけのものだった。


一部の富裕層の人間が勇者召喚を行って楽に便利に過ごすためのエゴで、俺は召喚された勇者。


確かにそのまま地球にいても死んでいたかもしれない。


でも、たかが一高校生の知っていることなど先人たちが伝えているに決まっている。




碌な技術を持っていなかった俺は雪がちらつく中、着の身着のままで城から放り出された。

それから丸々1日建物の陰で身を切る様な風と雪を凌いだ。段々と眠気が勝ってきた頃にお嬢に出会った。



「ねぇ、私の見間違いで無ければアレは人間じゃないか?」


「そうですね、お嬢様。あの様な薄着では凍死するでしょうね」


フカフカと暖かそうなファーがついたコートを着た中学生ぐらいの女の子と、その後ろに分厚いが動きやすそうな格好をした同じ歳頃の男。


いいな〜、暖かそうだ…

ウバウカ……


思考も鈍ってきた俺はギシギシと油の切れたロボットの様な動きでその二人に近づいた。


「寒そうだな。これを使えばいい」


そのまま防寒具や金を奪おうと手を伸ばせばふわりとその手に女の子が着ていたファー付きのコートを渡された。


思わぬ施しに目が転げ落ちそうだった。

この国の金持ち共は利益が無いと分かるとさっさと俺を捨てた。


それに比べてこの子は自分のコートをこの寒い中何の関係もないタダの行き倒れに渡したのだ。


「え……?」


頬に温かいものが流れる。


「…泣くほど寒かったのか?何なら私の所に来るか」


勝手に流れる心の慟哭を女の子が拭ってくれた。

後ろの男も仕方がない、といった表情で自分の上着を女の子に被せた。


「お嬢様、取り敢えず此方は寒いので移動いたしましょう」


そう言ってヒョイっと担がれた。


思っていたより力があるんだな、と知った。





あれから4年が経った。

お嬢も女らしくなって……まぁ、一部成長しなかった所があるけど大きくなって、結婚……は破棄されたとしても、現在領地を正式に国としてやっていけるようにしている。


今後が楽しみだよ。



PS.

あ、ちなみに俺はお嬢の事妹みたいだとしか見てないから〜

だって今は年上の彼女いるしね。

国がもう少し落ち着いてからプロポーズする予定!









魔導具開発の第一人者視点


今日は。

私はこの度異世界に転生したサヤカよ。中学生の時に病気で死んじゃったら、いつの間にかこの世界に赤ちゃんとしてうまれかわっていたの。

現在24歳と行き遅れになりそうよ。精神年齢?中学生だったんだから大した事ないわよぅ(泣)


私とお嬢様との出会い?いいわ、話してあげる。





あれは私が丁度こちらの世界で前世と同じ様な年になった時、怪我だらけの女の子が私の家に転がり込んできたの。


最初は何事!?って思ったんだけど、その後ろから明らかに人相の悪い男達が3人で追いかけて、その内の2人が私の家を荒らし始めた。


「ねぇ、ここ私の家なんだけど。

出て行ってちょうだい。勝手に入ってこないで」


「すっこんでろ、クソガキ!あのクソ野郎見つけたか!?」

「いねえ!どこ行きやがった」


目の前にそのクソ野郎と思われる女の子が静かに立っているのに男達は気付かずに荒らし続けた。


女の子は口パクで、ごめんなさいと謝っていた。


「私は忠告したわよ。後悔しなさい」




「うがぁ!!」

家を荒らしていた男がバチバチと感電して倒れた。もう1人の方もその音にビビったのか、倒れた男と私の顔を交互に見て冷や汗をかいている。


「おまえ、アニキにこんな事して無事でいられると思うなよ!」


叫んで、外で待っていた1人と二人掛かりで気絶した一番偉かったっぽい奴を担いでいなくなった。



「けっ、人の家荒らしてんじゃないわよ。ビリビリ君の他にもこの家はいっぱい危ない道具が有るんだから」


いなくなった男達にあっかんべーをして、女の子の方に向き直った。


「それで?お嬢ちゃんはどうしてあんな奴らに追いかけられていたの?姿があの男らに見えなかったのは、魔法?」


詰め寄って女の子を覗き込む。

俯いて震えているみたい……大丈夫かしら。


「お姉さん凄いですね!!今の道具って何かな?あ、もしかしてお姉さん発明家なのかな?」


あ、違うわ。

この子全然怯えてない、大丈夫だわ。


「挨拶もせずにごめんなさい。私は……ただの女の子。あいつらには取引現場に遭遇したから殺されそうになっていたんだ。お姉さんのお陰で魔導具を発動する時間が稼げたんだ。ありがとうございます」


「あ、いえ、どういたしまして」


ただの女の子って絶対嘘よ。

魔導具ってめちゃくちゃ高価なんだから、いいとこのお嬢様って感じかしら?

その割にあんなことがあっても冷静ね〜。


「私はサヤカよ。発明家であっているわ、魔導具限定だけどね」


「サヤカさん!?じゃあこの『透明見えないんです君』を作ったのはあなたですね」


見せられたのは、確かに私が作った魔導具だった。ペンダント型で、真ん中の魔石を押すと発動する魔導具。


となると、この子が誰だかわかる。


「貴方はペンネ公爵のお嬢様ですね」


「バレちゃった……まあいいか。ところでサヤカさん、貴方は彼らに顔を覚えられたかも知れない。此処は危険だと思うのだが、私の家に来ないかい?」


図星だったみたいだけど、動じずに私を取り込もうとしてくるお嬢様。


年の割に冷静だけど、まさか転生しているとかないわよね?


「作った魔導具の権利は私が買い取らせて欲しい。便利な物はもちろん市民に安価で売らせる権利をくれ。お給料は出るから将来は安泰だよ、どうかな?」


「のった。面白そうだし、お嬢様の周りの人たちとも仲良くしておきたいわ」


権力者の近くに良い男がいたら落としておきたいわ。


「じゃあ行こうか」


あ、手ぶらで構わないよ、とお嬢様は言ったけどそうはいかない。貴重な資料を『大量に入るんです』に入れてお嬢様の後を追った。





この時の判断は今でも間違いじゃないって思うの。

楽しい事も沢山あったし、魔導具開発の第一人者にもなれた。


一番嬉しいのは、イケメンな彼氏を捕まえた事かな〜。年下で、たまにヘタレだけど、私を大切にしてくれて、話のわかる彼氏。

国を安定させてからプロポーズしてくれるみたいだけど、早くしないとこの世界の父がお見合い話を持ってきそうなのよね。



お嬢様に発破をかけてもらおうっと。

次回は予定を変更して本編を進めたいと思います。

めちゃくちゃ効果→めちゃくちゃ高価に訂正しました。

ご指摘ありがとうございます

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