ノーベル賞!?
ノーベル賞受賞おめでとうございます!
「おまえ何やってるんだ」
ノーベル賞を肴に居酒屋で祝杯をあげ、店を出たところで吉良は変な格好をしていた。
俺たちの母校の教授がノーベル賞を受賞したというニュースが溢れていた。
「俺もノーベル賞を取ろうと思って!」
「えッ?」
吉良は月に向かって両手を上げていた。
ふざけていると思ったが、
「何賞を取るんだ?」
と一応聞いてみた。
「平和賞!」
吉良は振り向きもせずに言った。
「なんでだ?」
吉良は黙ったままだった。
しばらく沈黙が続いた。
「こうしんしてるんだ」
「更新?アップロードの?」
「違う。宇宙との交信」
「宇宙との交信?なんでそれがノーベル賞?」
吉良は両手を下し、振り返った。
「宇宙人と交信できたら、宇宙が平和になるだろ」
「確かになぁ、」
一瞬、真に受けたが。
「違うだろう。酔っているのか?」
「ああ、酔っている。気持ちがいいなあ」
吉良は満面な笑みを浮かべていた。
「本当に取れないかな~取れたらもてるのになぁ」
俺はため息をついた。
「取る方法はあるよ」
吉良は低い声で言い切った。
「何を研究するんだ?」
俺たちはそれぞれ違った電機メーカーで働いている。
ただ、製品開発を担当しているが先端技術の研究はしていない。
俺はけげんな顔をしてみせた。
「研究はしない」
「しない?じゃあどうする?」
「政治家になるんだ」
「政治家に?」
「それでちょっと頑張って総理大臣になる」
「総理大臣なんてなれないだろう?」
「そんなに難しいことじゃない」
「難しくない?」
「そう。年金と医療の問題を解決する。
そうすれば、財政再建でき、国の借金を減らせる」
「確かに財政再建できれば、総理大臣になれるな。
でも、そんなことできるか?」
「まあいろいろ案はあるけどな」
「増税か?」
「そんなつまんなことはしない」
吉良は増税しない年金・医療問題の解決案を俺に教えてくれた。
老人に痛みをお伴うが筋が通った方法だった。
「総理大臣になってどうする?」
「米国大統領にノーベル賞を一緒に取ろうと提案する」
「いそうだな」
そういうアメリカ大統領は確かにいそうだ。
「それで?」
「ここからはちょっと難しい。
でも、ノーベル賞を取れると言えば乗ってくるやつはいるかもしれない」
俺はつばを飲んで吉良の次の言葉を待った。
「アメリカに補償金を払わせ、罪を認めさせる」
俺の頭はフル回転した。
そして一つの答えを導き出した。
「原爆か」
俺は呟いた。
「そうだ。1945年第2次世界大戦で原爆を落として、
無関係な市民を大量殺害したことを犯罪行為と認めさせる。
そうすれば、もう原爆は使えなくなる」
「核兵器の廃絶が現実味になるな。
ノーベル平和賞」
なくはないと思った。
俺は天を見上げた。
そこには月があった。
「あっ!」
俺は月の右下を指差した。
「UFO!」
吉良と俺は同時に叫んだ。
87年名城大学理工学部卒の私として昨日のニュースは非常に誇らしかったです!
三人の受賞者の方、本当におめでとうございます!!




