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旋風と衝撃の狭間で  作者: みどー
禍ツ闇夜編
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第18話「ボイス」



 25階に着き、エレベータの扉が開く。だが、俺は恐怖から声を出して助けを呼ぶことも動くこともできなかった。なにより、女性のように見えていた『何か』に覆い被さられ、俺は身動きがとれなかった。


「ぅ……ぁ……」


 怖ろしい。恐ろしい。すべてが現実離れしている。けれど、俺の上にいる〝人間でない何か〟の重さが、それを否定している。これは現実だと言っている。


「ア゛ハ! ビビっでゴエでないのネ゛?」


 濁った声でそう言いながら、ソレは嬉しそうに笑っている。その笑みは、これまで以上におぞましいものだった。


「デモ、ジンパイシナイデ。ズグにラクニシデアゲルガラ」


 ソレはナイフを持った手を振り上げる。

 その手が振り下ろされれば、俺は――――死ぬ。

 俺が――死ぬ?

 こんなところで?

 こんなおぞましい存在の手で? 

 訳も分からず?

 ナゼ――ドウシテ――? 嫌だ――イヤだ――嫌だ、イヤだ、イヤダイヤダイヤダ! こんなところで俺は――――。


「ジニタクナイってガオネ? デモ、ザンネン。アナタハ死ぬの」

「ァ――」


 その言葉で俺の中の生にしがみつく心は摘まれてしまった。

 何を思おうとも、何をしようとも無駄なのだと言われた気がした。その言葉はきっと真実で、俺はここで何もできないまま殺されるのだと、教えられた。俺の心は折れてしまった――。


「アハ! イサギイイ子はスギヨ。ジャ、ザヨナラ!」


 俺の心を見透かしたように、ソレは笑いながらそう言う。そして、ナイフを振り下ろそうと――――。


『なに勝手に諦めてるの! しっかりしなさい!!』

「え――」


 恐怖と絶望感から消え入りそうな意識がそんな突然の声に呼び戻される。


「ア゛ラ? ドウカジタノ?」


 ソレは俺の異変に気づいたのだろう。表情の分からない顔だが、明らかに声のトーンが落ちており、不可解そうにしているように思える。


『今のアナタは、単なる負け犬よ!!』

「なん――だと!」


 明らかに挑発と取れるその言葉に俺の意識は完全に覚醒した。

 どこの誰だか知らないが、負け犬呼ばわりされる覚えなどない。


『あなた、〝彼女〟を支えるんじゃなかったの! それなのに、こんなところで諦めてどうするのよ!』

「そ、それは――」


 そうだ――俺は一ノ宮を支えると、〝あの時〟誓ったではないか。それなのに俺は、今の状況に自分の命すら早々に投げ出そうとしている。そんな自分の命すら守れないような男は、負け犬と呼ばれても仕方ない。

 そうだ。そうなのだ。俺は一ノ宮を守りたい。彼女の側にいて、彼女が苦しい時に彼女を支えたい。そう誓ったのに、俺は――――。


「そうだ――俺は――」


 侮辱への怒りからか、それとも自分の決意を思い出した事からか、心と体に活力が戻ってくる。

 そうだ――俺は生きなければいけない。生きて――一ノ宮を守るんだ! だから、俺は――死ねない!!


「ふ、ふざんけんじゃ――ねぇ!!」

「な、ナニ!?」


 俺はもがくようにして暴れる。突然暴れ出した俺に驚いたのか、俺を押さえつけていたソレの力が弱まった。俺はそれを好機と見て、めいっぱいの力で、ソレを振り払い――――。


「どっけえぇぇぇぇ!!」


 もがいたおかげで俺の片足は自由になり、その片足でおもいっきりソレを前方に蹴り飛ばした。


「ギャ!」


 蹴り飛ばされたソレはエレベータの外へ吹っ飛んだ。

 体が自由になると俺は起き上がり、すぐにエレベータのドアを閉めようと、ボタンを押す。だが、ドアが閉まる気配は一向にしない。


「くそ! なんでだよ!!」


 何故閉まらないのか理解できず、苛立ちのみが募っていく。


「フフ――ムダよ」


 ソレはゆっくりと起き上がり、笑いながらそう言った。その声は、先程の濁ったような声ではなく、聞き取りやすい元の声に戻っている。よく見れば、首の位置が戻っていた。


「お前――一体、何者なんだ……」


 当然の疑問だ。俺の目の前にいる存在は、あまりにも人間から逸脱した存在だ。人間ではない――では、一体の何なのか?


「あら? まだ分からない? あなた達は私たちを探していたんじゃないの?」

「な――に?」


 探していた? コイツを? 俺たちが?


〝皐月町の高級高層マンションの住人は人形〟


 不意にあの噂が脳裏をよぎる。

 まさか、コイツは――――。


「人形……なのか?」

「フフ――やっと気づいてくれたぁ!」


 ソレは歓喜するように笑う。まるで、今の状況をただ楽しむかの如く。


「噂は……本当だったってことか……」

「ええ。必死に探していたようだから出てきてあげたの」


 一歩、人形はこちらに踏み出してくる。

 落ち着け――。


「何を企んでいるんだ?」

「フフ――答えると思う?」


 また、一歩。


『落ち着きなさい。敵は一人よ』


 落ち着け。そう――敵を一人だ。


「俺を殺す気か? そのナイフで」

「アハ! そ~ね~……ナイフなんて無粋だったわね! いいわ、ナイフなんて使わないであげる!」


 人形はナイフを俺の方に向かって投げ捨てる。そして、俺の足下にナイフは落ちた。


「何の――つもりだ?」

「ナイフはいらない。アタシにはあるもの」


 また、一歩。

 ある? 何がだ――?


「あるって、何の事だ?」

「あるでしょ? あなたにも見えてるでしょ? 鋭くて白いものが」


 ニタリと笑う。そこから、乱杭歯が覗く。それが凶器だという事はすぐに理解できた。

 また、一歩――。

 どうする? どうするればいい?

 エレベータで逃げることはできない。かといって、目の前の敵をはねのけて、フロア内を逃げ切れるとも思えない。


『落ち着いて――』


 声が囁く。頭の中に声が直接響く。


「その歯でどうするっていうんだ?」

「アハ! 決まってるじゃない! 生きたまま肉を裂いて、食べてあげるのよ!」


 また、一歩――既に俺との距離はもうさほどもない。

 おぞましく狂った言葉を吐きながら、人形はケタケタと笑っている。そこには人間らしいものはなく、化け物じみた顔と口、そして殺意しかない。

 どうする――どうすればいい? 迷っている暇など、もうない。否、迷わずとも、やることは一つだ。

 だが、俺の手は踏ん切りがつかない。俺の手でやることは一つのはずなのに、その行動に移すことができない。


『あなたならできるわ』


 声が聞こえる――。


「アハ! 今度こそ恐怖で動けなくなった? 今度は抵抗しないでね? じゃないと、すぐに殺しちゃいそうだから!」

「ど、どういう意味だ?」

「だって、人間はひ弱でしょ? 首折っただけで死んじゃうでしょ? それじゃあ、面白くないもの。痛みで泣き叫びながら、死んでいくのがいいじゃない?」

「く、狂ってる……」


 人形の言葉におぞましさを感じながらも、俺の脳は沸騰するかのように頭に血が昇っていくのを感じる。

 冗談じゃない。こんな人間を人間とも思わないような奴に食われるなんてまっぴらだ!!

 恐がっている場合じゃない。やることは一つ――今、ここで動かなければ、俺は生き残れない。


『動きなさい――』


 そうだ――動くんだ。ここで動かなきゃ――。


「お話は終わり。そろそろ、食べられてくれるかしら?」

「……動け」

「なぁに? なんて言ったの?」

「……動け」

「まぁ、いいわ。それじゃあ、イタダキマース!」


 人形は俺に飛びかかるように襲ってくる。


 動け! 動け! 俺の体、動け!! ここでやらなきゃ、意味がないだろう!!


『行きなさい!!』


 それまでにないほどはっきりと声が聞こえた。その声は俺の背中を押すような声だった。俺は声に弾かれるように、半分無意識に動いていた。


「いっけえぇぇぇ!!」


 俺は持っていた買い物袋を人形の顔面に投げる。


「ムダなことを!」


 人形は買い物袋を払いのけて、俺に向かってくる。だが、そこで不可解なことに人形は動きを止めた。

 いや、それは人形が俺の姿を見失ったからだ。


「どこ……に?」


 一瞬の事で混乱しているのか、俺の姿が視界から消えたことに首を傾げる。


「ハ――! こっちだよ!!」

「ナ!?」


 人形は視線を下に向け、俺の姿を視認すると驚愕した。

 俺は買い物袋を投げると同時に、身を屈めて人形に滑りよっていたのだ。


「くらえぇぇ!!」


 ザクンと鈍い感触を感じながらも、俺は力の限り下から上へと両腕を突き出した。


「あが――あがが……ぞ、ぞれあ……」


 上手く喋れないためか、再び人形の言葉は聞き取りづらいものになる。それもそうだろう、なにせ先程投げ捨てたナイフが顎下から口を貫通しているのだから。


「どうだ? それじゃあ、食べられないだろう?」

「お、おま、え……うがが」


 口を開こうとする人形にさらにナイフを上に差し込み、口を閉じさせ封じる。


「悪いな。もう、お前の醜い顔も歯も見たくないんだ」

「うぐぐ……」


 何かを言おうとしているが、顎下からナイフが串刺しされているため喋ることはできない。

 だが、この程度では人形は倒れない。当たり前だ。これは人形なのだから。血を流していようとも、人間ではないのだから。

 ならば――動けないようにするしかない。

 俺は人形はもみ合いながら、お互いの立ち位置が逆転するように動く。


「これで――」


 俺は顎にナイフを刺したまま、おもいっきり蹴り込んだ。すると、人形はエレベータの中に倒れ込んだ。そして――。


「――終わりだ!」


 エレベータの中で仰向けになって倒れ込んでいる人形に対して、俺は顎下に刺さったままのナイフめがけて、おもいっきり踏みつけるように蹴りをお見舞いする。


「あが!」


 奇声をあげる人形。無理もなかった。顎下から串刺しになっていたナイフはさらに奥に押し込まれ、脳天を達している。

 そして、人形はぐったりと動かなくなった。


「ハァハァ……やった……のか?」


 緊張の連続だったためか、俺は息を切らし、膝をつく。心臓の鼓動が速いのを感じる。これほど、心臓の高鳴りがはっきりと分かるのはいつぐらいぶりだろうか。

 人形は動かなくなったが、それでも不安だった。人間なら死んでいるかもしれない。だが、ここにいるのは人間ではなく、人形だ。そもそも、死ぬという概念があるのかも怪しい。


 カランと何かが落ちる音がする。

 俺は視線を音がしてきた方に向ける。そこには、〝ナイフと女性の足〟があった。


「な……に……」


 視線を足から上へ上げていく。足から腰。腰から胸。胸から首。首から――顔。


「ひ!」


 恐怖の悲鳴をあげるしかなかった。

 そこには、顎下に風穴を空け、鬼の形相をした人形がいた。


「き~さ~ま~! よくも、よくもヨクモヤッタナァ!!」

「そ、そんな……」


 怨念のような声に、俺は身が縮むような思いだった。

 やはり、人形には死という概念は存在しなかったらしい。少なくとも、この程度では動かなくなるなんて事はなかったようだ。


 もう――動けない。恐怖から、体の限界から、動く気力が残っていない。

 人形は口をこれでもかと言うほど、大きく開く。

 だめだ――殺される。こいつの言ったように、生きたまま食い殺される――。


「アハ、アハハハ! 食べてやる! 食ってやる! かぶりつき血をすすり生皮剥ぎ内蔵を引きずり出し食いちぎり、これでもかって言うほどの苦しみをアタエテヤルヨ!!」


 ヤバい――相手は完全にキレてる。逃げないとやられる!


「逃げようなんて思うな! ここでお前は全部ワタシの餌になるんだ! まずは手足から、ソレカラ胴体ダ! ゆっくりとシャブリつくよう味わってヤル。アハ~、そして最後に頭ダ。覚悟しろ。覚悟しろカクゴシロ! 頭がなくなるまで、オマハイキタママダ! 生き地獄を味合わせてヤル!!」


 もはや人語とは思えない言葉の数々。狂った言葉が次々と吐き出されてくる。

 ダメだ――やっぱり逃げることすらできない。俺はここで――。


『もう――諦めるなんて許さないわよ!』

「え――」


 再び声が聞こえる。女性の声だ。今ならはっきりと分かる。これは、あの時――如月学園で聞いた声だ。


『エレベータから出なさい!』

「エレベータから……?」

「ナニヲゴチャゴチャイッテイル!!」


 俺が独り言を言っているように思えたのだろうか。人形は、この状況で喋っている俺に苛立っている。

 そうか――こいつにはこの声が聞こえていないのか――。


『何をしているの! 早くしなさい!!』

「わ、わかった!」


 俺は声の指示するまま、後ろに飛び退きエレベータから出る。


「ニガサナイってイッテルダロ!」


 俺を追うように、人形もエレベータから出てこようとする。

 だが、その瞬間――。


「え――」

「ナンダト!?」


 俺と人形は驚き、互いに動きが止まった。

 一瞬の出来事だった。俺がエレベータから飛び出した後すぐに、エレベータのドアは、何の前触れもなく閉まったのだ。


「ど、どうなっているんだ?」


 エレベータに取り残された人形は、ドアが閉まると同時に、俺の視界から消えた。そして、そのドアが再び開く気配も一切なかった。


「た、助かった……のか?」


 あまりにも突然の幕切れに俺は呆気にとられていた。

 突然動き出したエレベータのおかげで、どうやら俺は助かったらしい。人形はエレベータの中に取り残され、今は完全になりを潜めている。


『どうやら、間に合ったみたいね』


 再びの声。俺は周りを見渡すが、その声の主を見て取ることはできない。


『ムダよ。私はあなたの側にはいないわ』

「ど、どういう事だ?」

『私は今、あなたの頭の中に直接話しかけているの』

「頭の中に……直接?」

『そうよ。分かるでしょ? 耳ではなく、直接頭に響く感覚が』

「あ、ああ。確かに……」


 声の主が言う通り、その声は耳から聞こえてくるものではなく、直接脳に響き、メッセージを受け取っているような感覚だった。

 これは、一体――――まさか――――。


「能力者……なのか?」

『フフ――ご想像にお任せするわ』

「ご想像にって……」

『それよりも、今はやることがあるでしょ?』

「え……」


 そうだ。すぐに一ノ宮と新一さんの所に戻って、今あった事を報告しなければ。

 噂は本当だった。それどころか、ここは噂以上に危険な場所だ。それをすぐに伝えに行かないと――。

 幸い、ここは25階だ。部屋は目と鼻の先。すぐに着く。

 俺はすぐに部屋に向かって駆け出そうとした。だが――。


『部屋に戻ってもムダよ』

「え――」

『ここは25階ではないのだから』

「な、なんだって!?」


 頭に直接響く声が、俺の足を止めさせる。

 ここが25階ではない? どういう事だ? だって、ここは25階じゃないか。エレベータも25階だから止まった。何より、階表示は25階になっている。


『見た目に騙されないで。あなたなら分かるでしょ?』

「分かるって、何を?」


 俺は言いながら、辺りを見渡す。

 そういえば、買い出しにマンションを出るときには点灯していた電灯がすべて消え、フロア内は薄暗くなっている。

 はっきり見えるのは、エレベータの階表示と、蛍光塗料でも塗られているのだろうか、壁と床に貼れた階表示標識だけ――――。


「まさか――」

『気づいたようね?』

「階表示を偽装しているのか! それじゃあ、さっきのエレベータは……」

『そう、操作されたものよ。さっきは私が逆に操作してドアを閉めたの』

「……アンタ、本当に何者なんだ……今どこにいる?」

『さっきまでは、機械室いたわ。そこで、エレベータを操作したの。心配しないで、エレベータの制御機能は壊しておいたから。当分、あいつが出てくることはないわ。それも時間の問題だろうけどね』

「……さっきまでって、今はどこにいるんだよ?」

『それは、ヒ・ミ・ツよ』

「……」


 肝心なところは全てはぐらかされている。本当にこの声の主を信じていいのか、分からない。


『心配しないで。少なくとも、私はあなたの敵ではないわ』


 俺の心の内を見透かしたように、声はそう囁いた。

 仕方ない――今はこの声の主を信じるしかない、か。


「わかった。それで、これからどうするっていうんだ?」

『会いたいんでしょ? お仲間に』

「あ、ああ」

『だったら、会わせてあげる』

「分かるのか? 二人の居場所が?」

『ええ。二人とも別々の場所であなたと同じように戦っているわ』

「一ノ宮と新一さんが!? 大変だ! すぐに助けにいかないと!!」

『心配しないで。二人とも無事よ。それに、彼女の心配は無用よ。あんなのが幾ら束になっても彼女には傷一つ負わせられない事は、あなたが良く知ってるでしょ?』

「そ、それはそうだけど……でも、新一さんは? あの人は――」


 そう、新一さんは一ノ宮のような能力があるわけではない。普通の人間だ。あの人形に対抗できるだけ力があるとは思えない。


『それも問題ないわ。彼はうまく切り抜けてるみたいよ? 寧ろ、黒幕の存在に気付いて、既ににそこに向かっているわ』

「く、黒幕って……まさか、魔術使いの事か?」

『ええ。急ぎましょう。私が案内してあげるわ』

「案内って、一体どうやって――」


 言いかけて、俺は言葉を失った。あまりにも突然で、今までにない出来事が起こったために。


『フフ――どうかしら? ちゃんと道順は見えてるかしら?』


 その女性の声はとても陽気に尋ねてくる。だが、俺はそれに答えている余裕がなかった。

 俺の目の前に――いや、俺の頭の中に、膨大な情報が流れ込んできている。このマンションの構造図、一ノ宮と新一さんの位置、そして敵の位置。それが手に取るように目の前に広がっている。


「こ、これは――」

『そう――これが私の能力。自信と他者との意識を繋げ、情報の共有をする。テレパシーの能力よ』


 やはり能力者だったのかという思いと、その能力の力に俺は感嘆していた。

 この能力は決して危険性や殺傷性のある能力でない。どちらかと言えば、後方支援向きの力だ。その証拠に、俺はこの声の主に何度も助けられている。


『関心している場合じゃないわよ? 準備は良いかしら? まずは能力者の彼女と合流するわよ』

「あ、ああ。分かった」


 俺は再び頭の中の構造図に意識を向ける。

 この構造図のおかげで、すでにこのマンションのカラクリは分かっている。そして、俺が目指す場所も――――。


 俺は一ノ宮がいる場所を目指して駆け出した。




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