表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旋風と衝撃の狭間で  作者: みどー
悲しみの懐中時計編
15/172

プロローグ「凍った世界」

・あらすじ

 あれから二年半、探偵の助手をしていた一輝は家出少女を捜索依頼を引き受ける。

 その少女、荒井恵を見つけ出し、連れて帰ることに成功する一輝だったが、時を同じくして連続通り魔殺人事件が起こる。

 そして、荒井恵の父親がその被害者となり、再び彼女は姿を消すのだった。

 一輝は荒井恵を見つけ出すために行動を開始する。

 それが反転した世界への入口とも知らずに―― 。



 チッチッチッチッチッチッチッ。

 針が動く。絶え間なく動き続ける秒針。止まることなく動き続ける。それは永遠に、絶え間なく。

 時の流れなんてものは、ただひたすらに前に進んでいくものだ。どんなに楽しい時間も、どんなに悲しい時間も、どんなに苦しい時間も過ぎ去るしかない。どんなに願っても、その時間は止まることなどない。巻き戻ることなどない。人はただ過ぎ去る〝時〟に身を任せるしかない。


 チッチッチッチッチッチッチッ。


 針は動く。時間は流れる。止めどなく。絶え間なく。


 チッチッチッチ――。


 しかし、それは突如として止まる。なんの前触れもなく。

 そして――世界は凍りついた。

 比喩ではない。文字通り凍りついたのだ。目に見えるもの全てが静止した。

 それはもう〝背景〟だった。すべてが背景と化した。動物も植物も。そして、人間も。生き物が背景と化していた。


 ハサミで■■だったものを刺してみた。けれど、何の反応も示さない。なきもしない。血すら流さない。当たり前だ。これは生きていない。背景なのだから。

 だから、刺した。何度も何度も。飽きるまで。

 こんな偽物だらけの世界、大嫌いだ。吐き気がする。


「……こんなの、イヤだよ……」


 この世界に生きているのは自分一人だった。

 だから、心を閉ざし、この凍りついた世界から逃げ出した。それが何処にも逃げ場のない袋小路と知らずに――。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ