終章
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かつてあなたの作った世界が、当時の私のすべてでした。
それ以前の私は、まるで寝たきり老人のような生活。
コンビニに行くことすらままならず、殆どの時間を自室で何もせず過ごす毎日。
友人はおらず、宅配業者と交わす会話ですら声が震えた。
買い物は親任せ。完全な対人恐怖症。
そんな私が、あるときあなたの世界に触れたのです。
自らを鍛え、自分で稼ぎ、他人と協力して何かを為す作業。
そのすべてをあなたの世界から学びました。
その世界で私は、賢者、偉人とすら呼ばれるようになりました。
そんなとき、あなたの抱えている問題を知りました。
こんなに私を救ってくれたあなたを私が放っておけると思う?
いえ、ごめんなさい。押し付けがましかったですね。
素直になります。
おそらく私は、単にあなたの助けになりたかったのです。
こんなに私を勇気付けてくれたあなたの世界に、行動で感謝の意を示したかった。
え? いや、あの、その、つまり……
要するに私は、あなたに恋していたわけです。
いまはもう、あなたの教えてくれたことが私の体の一部になってしまいましたよ。
ありがとう。
……
《 了 》