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エピローグ
彼女と出会わなかったら、俺はどういう人生を歩んでいたのだろうか。
それを、思うたびに、俺はなぜか笑いが止まらなかった。
なぜなら、あいつと会わなければ、俺は今頃億万長者だったからだ!
「どう? 今日のお話も面白いでしょ?」
彼女はいつも妖艶な笑みで俺に言う。桃色の唇で俺に何でも話す。色々な物語を、話すのだ。一つ一つ丁寧に、それでもって、感情的に…。
彼女と出会ったのはいつだろうか?
桃色の花びらが舞っている時か?
太陽が俺を殺そうとする時か?
味覚を楽しめる時か?
寒さで死にそうになる時か?
―――彼女と出会ったのは突然だった気がする。―――
俺の前にいきなり出てきて、それでもって俺の人生をぐちゃぐちゃにした。だけど、憎めない。憎めないのだ。なぜだろう?
それは、歪で形ではなかったから。
それを、俺は『恋』と呼ぶ。