いつの間にか、眠るページ
ある夜、あなたはベッドに横になり、静かに目を閉じました。
子どもの頃の記憶が、ふわりと浮かび上がります。
お母さんやお父さんの優しい声。
ページをめくる音。色あざやかな絵本の世界。
心温まる話、ちょっと切ない話。どれも、寝る前にぴったりでした。
「絵本の中に入れたらいいのに」と思っていたあの頃。
話に夢中になっているうちに、いつの間にかまぶたが重くなり、
朝起きると心がすっきり軽やかだった。
今、あなたは大人になり、物語を書く人になりました。
でも、夜になると、あの頃の気持ちを思い出します。
「寝る前に、無になれるような話を書きたい」
「いつの間にか、安心して眠りに落ちられる物語を」
すると、部屋の隅が柔らかな光に包まれました。
無数の絵本が、ゆっくりと浮かび上がり、ページを優しくめくり始めます。
あなたは、その中の一つにそっと手を伸ばします。
絵本の中は、ふかふかの雲の海。
温かな風が頰を撫で、遠くで子守唄のような森のささやきが聞こえます。
幼い頃のあなたと、今のあなたが並んで歩いています。
「大丈夫だよ」と幼いあなたが微笑みます。
「ここでは、何も考えなくていいよ」
ページがゆっくりと閉じていくたび、
肩の力、胸のざわめき、今日のいろんな思いが、静かに溶けていきます。
優しい声が、遠くから響きます。
「おやすみ。また明日、元気な気持ちで起きられますように」
まぶたが重くなり、
体がふわふわと沈んでいきます。
絵本の世界が、あなたをそっと抱きしめています。
……
いつの間にか、深い眠りの中へ。
おやすみなさい。
良い夢を。




