2
「随分遠くまで来ちゃったなぁ……」
馬車を乗り継ぎ目的地まで後少し、多分明日ぐらいには到着するだろう。
旅の途中は色々あった、例えば崖道を通った時に落石があったり魔獣の襲撃にあったり川が氾濫して渡れなかったり……。
まぁ、こうして無事にいたから良い思い出、としておこう。
一番厄介なのは盗賊に襲われる事なんだけど、あえて厳しい道程を選んだ事からそれも無かった。
一応元王族な訳だしそれなりの価値がある訳だからね。
旅をしていく内に平民の暮らしも見る事が出来たのも良い経験だ。
知識はあったとしても実際に見たり聞いたりするのとは全然違う。
宿屋で父上への手紙にこの旅の間の出来事を書いていく。
まぁ放棄した身なので読まれるかどうかはわからないけど。
手紙を書き終えた後はベッドに入りぐっすりと就寝した。
翌日、スッキリと目が覚めて宿屋を旅立った。
「地図だとここから歩いて数時間ぐらいか」
馬車での旅はここまででここからは徒歩で移動になる。
地図で位置を確認して街を出て目的地へ向かっていく。
道は舗装されてなく土の道をテクテクと歩いていく。
途中休憩も挟みながら僕は歩いていく。
そして、漸く目的地に到着した。
立て札には『ここから先王領の為許可なく立ち入りを禁ず』と書いてある。
「結界も張ってあるね、防犯対策も万全、という事ね」
僕は父上から渡された紋章が入った領地譲渡書を掲げた。
すると結界が消えた。
「これでよし、と」
僕は中へと入って行った。
「あそこに小屋があるな、あれが僕の家か」
山小屋がひっそりと建っている。
一人暮らしには丁度いいぐらいの広さだ。
中に入ると家具とかは備え付けてありいつでも使える。
さぁ、僕の新生活がいよいよ始まる。




