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プロローグ

久しぶりの新作です、よろしくお願いします。

「ロビアよ、王位継承権をリカルドに譲ってくれぬか?」


「はい、喜んで!」


 即答だった。


 多分こうなるだろうなぁ、とは思っていた。


 僕ロビア・クマンデールはこの国の第一王子だ。


 本来ならば将来の国王として日々精進しなければならない。


 しかし、残念ながら僕は自他認める『平凡』なのだ。


 運動、魔術、学力、全てに置いて平均よりちょっと上ぐらいの成績で突き抜けた能力とかが無い。


 努力はしてきたけれども残念ながら自分の限界はわかっている。


 自分は王の器では無い、薄々だが理解していた。


 それでも王族の一員として自分に出来ることは何なのか、と模索していた。


 模索した結果、自分の居場所が無い事に気づいた。


 既に国として安定しているし身分制度や生活環境も整備されている。


 僕が口出す所なんてこれっぽっちも無いのだ。


「いや、そんなに即答されても……」


「父上の決定は国の決定です、だったら僕は従うのみです」


「でも喜んで!て言ったよな?」


「言葉の綾です」


 本音はいつかそんな日が来ると思っていた。


 まさか自分からやめます、とは言えないだろうし弟のリカルドを支持する声が高まっているのも知っていた。


 リカルドは1つ下で文武両道で性格も良い、王としては申し分もないだろう。


「まぁ文句が無いのであればリカルドを次期王太子として公式に発表しよう、ロビアは王兄として支えてほしい」


「その件ですが、兄が王家にいても周囲がなんと思うか分かりません、私は一民として野に下りたいと思っております」


「それは王家を辞する、と言う事か?」


「はい、民の1人として国を支えていきたいのです」


 これは長年の夢だった。


 自分の力で土地を耕し自給自足ののんびり生活、ずっとやってみたかった事だ。


「そうか……、まぁやりたい事があるならそれも良いだろう。 ならば王家が管理している土地の1つを譲る事にしよう」


「ありがとうございます」


 僕はこうして長年の王族生活から脱する事になった。

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