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第二十二話 第二層ボス前

「…で、第二層のボスは何なんだ?」

私は一条に聞く、さあなんだ?ここは無難にオークの進化形態とかかな?

「…ワイバーンだ」

…ワイバーン?

「なんか…手ごわそう」

ワイバーンってあれだろ、昔の貴族の紋章に使われている、腕のないドラゴンだろ?

あのリ〇レウス的なやつ。

「ああ、手ごわいぞ、高速で空中機動をとるからな、ぶっちゃけ相乗的に俺一人だとた倒せねぇし」

「私は魔法を打ちまくるだけだし余裕かな~、でもあのかぎ爪の攻撃とブレスはくらいたくないなぁ」

うーむ、姫川は問題ないが、一条は相乗的に一人では倒せないと…高速で空中機動とか戦闘機かなにかか?

「…なんかいきなり強くなりすぎじゃね、ボス?」

話を聞く限りゴブリンジェネラルと格が違いすぎやしないか?

「ダンジョンのボスの難易度は一般論として指数関数的に強くなるんだ」

…やっぱ鬼畜じゃん、ダンジョン。

第三層のボスとか何が出てくるんだろう、下手したらゴブリンゴッドより強力な魔物が出てきそうだ。

と、いうことはだ。

「もしかして、ダンジョンの攻略はそこまで進んでない」

ボスがどんどんインフレしていくんだろう?ソシャゲみたいに。

「いや、そんなことはねぇよ、どこまで進んでいたか正確には忘れたが少なくとも、ここ関東大ダンジョンは二桁階層まで到達しているぞ?」

「…でもボスが指数関数的に強くなるんだろう?」

それこそ使徒スキルとかチート的なの物を持ってないと、一桁階層のボスすら勝てるか怪しくないか?

「ああ、実はボスは十階層毎のボス以外倒さずとも次の階層に行けるんだ」

へぇー

「その十層のボスも攻略に人数制限とかないし、誰かが一回倒せばその後は他の階層のようにスルーすることが可能になる」

つまりは

「10層毎に集団でボスをボコって進んでいると」

「まあ、そうだな?集団でボス戦…レイドと呼ばれているんだが、その時は各地に散らばっている探索者が大勢集まってな…俺も一回参加したことがあるが壮観な光景だったな」

なんか、命懸けだから不謹慎かもしれないけど、お祭りみたいで楽しそうだな。

「私も参加したことあるよー、出店とか出す探索者もいたねー」

…いや、ほんとに普通に祭りっぽいな。どこに出店を出すスペースがあるんだか…というか探索者って個人主義者が多いらしいのに以外とノリがいいのな。

「まあ、でもボスは経験値が多くもらえるから、俺らのパーティは積極的に討伐していくぞ」

私のレベル上げが目的だものね、このパーティ。

「目指すは10層ボス、をパーティで攻略だ」

「…話を聞く限り10層ボスはかなりの強敵なんだろう?」

随分と野心的な目標なんじゃないのかな。

「それぐらいできねぇと、執行使徒の上位とは渡り合えねぇだろうからな」

執行使徒の上位かぁ、たしか「核熱の使徒」とか「神の使徒」とかなのかな。

…というか「神の使徒」ってなんだ、使徒って確かイエスの弟子のことだろ、なら「神の子の使徒」なんじゃないのか?いや、三位一体論的にはいいのかな?

まあ、今はそんなことどうでもいいか、それより今はボス戦だ。

「よし、じゃあ…気を取り直して、ボス…ワイバーン戦としゃれこむぞ、姫川、樹」

「はーい」

「おう」

一条が前に出て、草原に鎮座する巨大な扉に手をかざす。

…うむ、なんかやっぱりど〇でもドア初号機みたいな。

大きな扉がそこそこ大きな音を立てて開いていく…毎回思うが動力源はなんだ?まあでも明らかに質量保存の法則を無視した魔力とかいうとんでもないものがあるしな。しかも見ている限り魔法発射時の作用反作用の法則も働いてないみたいだし。

…でも、案外、ちゃんと調べると物理法則にのっとっている可能性もあるな。

そう考えると誰がダンジョンを作ったんだろうな?案外、統一場理論、つまり自然界の四つの力を統一的の記述した万物の理論を完成させた地球外知的生命体が作ったのかもしれないな。Xeelee的なやつ、にしてはスキル名とか地球の宗教色が強いけど。

…というかそうなるとジャンルがローファンタジーからSFになるなぁ…まあ現実世界にジャンルもなにもないが。

でも私は所詮まだ中学生だし、ダンジョンが何かというという問いは探索者の中で頭のいい人たちが解明する仕事だろう。

…明らかに現代科学の枠を超えた産物だから、多分解明はされないんだろうなぁ。

「…樹、またどうでもいい事、考えているだろ」

「…あ」

やべ、ボス戦の前なのにすっかり考えに耽ってしまった。

「まあまあ、一条君、樹ちゃんはそういうお年頃なんだし、大目にみてあげて~」

どういうお年頃だ、厨二といいたいのか…まあ否定はしないが。

「…とにかく、樹、ボス戦前だから集中しろ」

「へいへい」

そうだ、集中しなければ…敵はそこそこ強敵っぽいからな。

「といっても、私と樹ちゃんの本気モードで滅多打ちにすればすぐ終わるだろうけどね!」

うーむ、確かに、私と姫川で弾幕を張ればいくら空を飛ぶワイバーンでもひとたまりもないだろうな。

「…はぁ、俺にもまともな遠距離攻撃手段が欲しい」

一条がなんか嘆いている。

「呪神武器でも使えば?」

「呪神武器なんてそうそう見つかるもんじゃねぇよ…そもそも代償を支払いたくねぇ…と、扉が開ききったな…行くぞ、姫川、樹」

「おう」

「うん」

さて、ワイバーン狩りの時間だな。


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