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妖怪 王  作者: 真桑瓜
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二人メイメイ

突然現れた王に我を忘れて襲いかかった凛。

しかしそこにはもう一人のメイメイがいた・・・


「エロ爺いぃぃぃぃぃ!!!!!よくもよくもよくも!!おかげで私は死神をクビになったのよぉぉぉぉぉ!!!!!」

凛は大鎌を振り上げて王に襲いかかった。

王はサッと凛の攻撃を躱すと両手を広げて凛の前に突き出した。

「ま、待てあの時の事は謝るこの通りじゃ!」王は床に手をついて頭を下げた。「じゃが、平助をあの世に連れて行く事だけは勘弁してくれ!」

「誰がそんなことするもんですか!私は・・・・私はあなたをケチョンケチョンのギッタギタにすればそれで気が済むのよ!」

「なんじゃと・・・」

「王先生騙されてはいけません!この死神は人の命を奪うことなどなんとも思ってはいないのです。先生がやられれば次は・・・」

「えっ!メイメイさん・・・?」凛が目を丸くした。

「ふふふふふ、正体を現したわね死神さん。あなたにはこの王先生から引導を渡してもらうわ」メイメイが不敵に笑った。

「メイメイ・・・」王が驚いてメイメイを見る。「なんだかいつものお前らしくないが?」

「いいえ先生、いつもの私ですわ。そんなことより早くやっちゃってください!」

「う、うむ・・・」

「あなた誰!」

その時、凛を追いかけてメイメイが道場に飛び込んできた。

もう一人のメイメイが一瞬ハッと息を飲んだ。だがすぐに気を取り直して、「私はメイメイよ、あなたこそ誰!」と返す。

「むむむ、どう言うことじゃメイメイが二人おる!」

王が二人を見比べて目をパチパチさせた。

「王、これはいったいどう言うことじゃ!」

平助と熊さんも駆けつける。

「平助、ワシにもさっぱりわからんのじゃ!」

「じゃっどん、どっちが本物のメイメイさんじゃろか?」

「こっちのメイメイさんに決まってるじゃない!その女からは獣の匂いがする、その匂い私には覚えがある!」

「なに!じゃから香水の匂いで誤魔化していたのか!」

王が叫ぶと、皆が一斉に玄関先に立つメイメイを見た。

「ふふふ、バレてしまっては仕方がないわ。メイメイあなた今日は仕事のはずじゃなかったの?」

「突然キャンセルになったのよ、悪い事はできないものね」

「想定外だったわ、今日はこのまま引き上げてあげる。でもそこの死神は首を洗って待ってなさい、必ずあなたを殺しにくるから」

そう言い残して、偽のメイメイは玄関からかき消すようにいなくなった。

皆呆気にとられてしばらく無言で見つめ合う。

「凛、あれは誰じゃ?」やがて平助が口を開く。

「昔私が戦って倒した玉藻というやつ。でもあの時より格段に妖力が上がっているわ」

凛の鎌を持つ手が小刻みに震えていた。


「すまんかった、許してくれ」

王はもう一度凛に謝った。

「もういいわよ、さっきので怒りがすっかりどっかいっちゃった。それにこの世界の方がなんだか楽しいもの」

「そう言ってもらえると少しは気が楽じゃ」

「じゃが王よ、お主、儂が心配でわざわざ日本まで足を運んでくれたのか?」

「当たり前じゃ、ワシのせいでお前が地獄へ落ちるような事があったら、寝起きが悪いからのぅ」

「口の減らん奴じゃ」

「じゃがさっきの女、玉藻と言ったか、奴の狙いは、その・・・」王が凛の方を向いた。

「凛々ですわ王先生、私が名付け親ですの」メイメイが言った。

「凛々かなかなか良い名じゃ」

「ありがと、え〜と、なんて呼ぼうかしら?お爺ちゃんじゃかぶっちゃうし」

「王お爺ちゃんでいいんじゃない?」

「じゃあこっちは平助爺ちゃんて呼ぶわ、紛らわしいから」

「ならワシも『お』はいらん、王爺ちゃんと呼んでくれ」

「王爺ちゃんね、わかったそうする」

「で、凛々、なぜ狙われておるのじゃ?」

「さっぱりわからない、私はただお仕事をしただけ。寿命の尽きた人をお迎えに行っただけなのよ」

「しかしワシをけしかけてお前を排除させようとした執念は尋常ではなかったぞ」

「そういえばあの時、あいつは禁呪の術を使おうとしてた」

「凛、禁呪の術とはなんじゃ?」平助が訊いた。

「延命の術よ。あいつは若い陰陽師の命を伸ばそうとしていたの」

「それって恋人じゃなかったの?」

「知らない、私は新米の死神だったから任務を遂行するだけで精一杯だったわ」

「じゃっどん、奴にとってはそうじゃなかったという事じゃな」

「逆恨みも甚だしい!」

「そうには違いないが、それで怨みが半減するとは到底思えん。奴は必ず凛の命を奪いにくる」

「そうじゃ平助、ワシらで凛々を守ろうではないか」

「それじゃお爺ちゃん達に迷惑がかかる・・・」

「なぁに、凛々を失業させてしもうたせめてもの罪滅ぼしじゃ。こちらから頼み込んででもそうさせて貰うぞ」

「王、よう言うた。それでこそ儂の朋友(ぽんゆう)じゃ!」

(おだ)てるでない。皆も手伝うてくれるか?」

「当然です、可愛い凛ちゃんのためだもの」

「メイメイさん・・・」

「おいじゃっで全力で凛ば守ってやったい」

「熊さん・・・」

「決まりじゃな」

「よし、後で文句を言われんように槇草も呼んでやろう」

「お爺ちゃんたち、ありがとう!」

「なら、王は今日から儂の部屋で同居じゃ」

「そうじゃな、若い娘と一緒に棲むわけにはいかぬからな」


その夜、妙心館は厳戒態勢で夜明けを待った。










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