15)宴のあと
春の一大行事、春の園遊会とアルフレッドの誕生祭が終わっての数日、ライティーザ王国の王都には静かな時間が過ぎていた。
無事に一歳を超えた王女ソフィアの貴族達へのお披露目も兼ねた会は、問題なく終了した。
貴族達へのローズのお披露目も兼ねたようになってしまったことに、ロバートは恐縮したが、王家の誰もがそんなことを気にしていなかった。
「ロバート、かしこまるのはいいけれど。そもそもローズがいなかったら、今頃ソフィアはいなかったのよ。ソフィアのお披露目にローズが同席するのは当然です」
グレースの言葉に、ロバートは深く感謝した。
「たまには、王太子宮に娯楽も必要だ。陛下の誕生祭と、ソフィアのお披露目と、ローズのお披露目が無事に終わった祝いをするぞ」
突然のアレキサンダーの言葉に、ロバートが書類から目を上げた。
「いいですね」
「素晴らしい」
「賓客がいないなら、気楽ですしね」
ロバートが何か言う前に、他の近習達が賛成してしまった。
「お前も賛成だな、ロバート」
アレキサンダーがロバートを見ていた。
「具体的にどうされるおつもりですか。その内容次第では、賛成いたしかねます」
何よりも、安全を確保せねばならない。
「問題ないと思うぞ。巷で話題になっている芝居を、陛下がぜひ見たいとおっしゃっている。それを王太子宮で演じさせようと思う」
アレキサンダーの言葉に、ロバートは顔をしかめた。
「芝居となると、役者を王太子宮に入れることになります。余所者に紛れ、不審者に侵入されては困ります」
「何、それには問題が無い。芝居の主催はカールだそうだ」
「あの、商人のカールですか」
「あの男なら信頼できるから問題ないだろう」
カールは信頼できる。だが、芝居に関わる人間は多い。
「カールは信頼できますが、他の者が信頼できるとは言えません」
ロバートの言葉に、アレキサンダーが笑った。
「お前がそういうだろうことは分かっている。だが、そろそろ警備に関してはお前以外の者も、責任を取って纏めあげられるようになったほうがいいだろう。エドガーとエリックに今回は任せる。王太子宮の娯楽だ、父上はいらっしゃるが、その他の賓客も呼ばない。練習には丁度いいだろう」
「確かに、おっしゃる通りですが」
「では、それで決まりだ」
やや強引にアレキサンダーは決定を通知した。
エドガーとエリックに経験させると言うことも必要だ。そのための練習に、王太子宮で、賓客を招くことなく、行う芝居が丁度良いのも事実だ。
ただ、アレキサンダーが強引に決めたことが、少しロバートに引っかかった。




