13)女の戦い方
誕生祭に関するロバートの最大の気がかりはローズだった。アレキサンダーとグレースが、ローズを出席させると決定したのだ。
「ソフィアが一番懐いているのはローズですもの。今年のアルフレッド様の誕生祭は、ソフィアのお披露目も兼ねています。ソフィアのためにもローズは参加させます」
グレースの決意は特に固かった。
「ローズの後見人は私だ。ローズに関することは私が決める。王宮には、周辺国の大使や辺境の貴族も来る。ローズの後見人が誰かということを知らしめるいい機会だ」
アレキサンダーのローズを参加させるという決定は覆ることがなかった。
今まで、ローズは御前会議以外では、ほとんど貴族と接触させていない。アレキサンダーに後見される孤児に、良い感情を持っていない貴族の方が多い。
御前会議に出席を許されている貴族の子弟の一部はローズを軽視している。大概が親の影響だ。
彼ら子弟も御前会議での発言は許されているが、ほとんど意見を言わない。一人前に意見を言い、議論するローズに嫉妬してのことだから見苦しい。
意外なことに、アスティングス家の長男ウィルフレッドと次男ウィリアムは、ローズを庇ってくれていた。それなりの意見もいい、議論にも参加する。前評判よりも優秀だった。
グレースも言う、兄達を止められないという件が解消されていることを願うしかなかった。
ローズの悪評を立てる貴族も少なくない。とはいえ、大半の貴族達は、ローズへの態度を保留していた。巷ではアレキサンダーが吟遊詩人たちを使って、物語を歌い広めているから好意的な噂が多い。どちらにもつかず、高みの見物を決め込んでいる貴族達も、どちらかといえば、ローズに好意的ではない。
ロバートは、ローズに対して好感を持っていない人間が多い場所になど、ローズを連れ出したくなかった。アレキサンダーの警護がある以上、同じ場所にいてもローズの身を守ってやることができないのだ。
「ロバート、女には女の戦い方があります。守るだけが防御ではありません。女の戦いを見せてあげます」
グレースの言葉に、ロバートも反対することを諦めざるを得なかった。
「承知いたしました」




