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海水さま②(2017/11/6)

推しキャラ:ヤン


アイス屋開店準備のアレコレ

アイス屋開店前のこと


「アイスクリーム屋、ですか?」


 さっきお嬢から言われた言葉をそのまま伝えてやれば、ダジルイも「聞いてない」って顔をした。

 当然だ、俺も聞いてない。


「そう、アイスクリーム屋だ。お嬢が開発したアイスクリームを王都で売るんだと。で、その店長と売り子をやれとさ」

「わたしに売り子を、ですか?」


 ダジルイが間抜けに口を開けた。そんなに驚くことはないだろうに。


「そらそうだ。売り子は美人に限る」

「わ、わたしなど」


 ダジルイが激しく顔を横に振り、とんでもない、なんて顔をする。

 とんでもないのはお前の感覚だ。

 お前が道行けば男が振り向いてんの、知らないのか?

 横にいる俺が、思い切り睨まれてるんだぞ?

 まぁ、良い気分だけどな。


「お前なあ、自分が美人だって自覚はないのか?」

「美人なんかじゃないです。それに歳だって……」


 少し頬を染め俯くダジルイの破壊力は、コイツが偵察部隊に来てから何度となく味わった。

 残念だが、この顔は俺しか知らない。お嬢も知らないだろうな。

 もちろん王都の男共に見せるつもりはねえ。

 ダジルイの顎に右手の人差し指をあて上を向かせ、潤みがちの瞳を射抜くほど見つめてやる。


「あ……」


 見つめ続けれは首まで赤くなる。こんな初な反応見せるダジルイには孫もいるとか。

 ありえねえ。

 さて、美人だってのを思い知ってもわねえと。


「これが売り子の服だ。着替えてこい」


 服を手に持たせ耳元に息を吹きかけたら「は、はい!」と俯いて跳んでいった。

 孫持ちの可愛い猫だ。ちょっと調教しすぎたかもな。

 煙草を吸ってればダジルイはすぐに帰ってきた。


 水色と白のストライプ柄の制服にお揃い柄のベレー帽。

 おまけにフリフリ真っ白エプロンときた。

 鼻血が出るところだったぞ。


「あの、どうで、しょう……」


 おずおずと不安げな顔ののダジルイが感想を求めてくる。

 可愛い格好に合わない自分の年齢を気にしてるんだろうが、これ以上ないくらいに似合ってる。

 足の先から頭のてっぺんまで目の保養をたんまりと味あわせてもらう。


 いいな。このまま持ち帰りたいくらいだ。

 

 何も言わない俺にどうなのか聞きたいんだろう。ダジルイが口を開けては閉じるが、ここはじらしだ。

 可愛い猫はじらしてやるんだよ。


「……ダメだな」


 この姿を表にだしたらすぐに勘違いして連れだそうとする奴が出てくる。アイス屋はアイスを売るところで身体を売るところじゃない。

 大体コイツを売る訳にはいかねえんだ。


「……あの、着替えてきます」


 ショックだったのかダジルイが潤ませた目で踵を返そうとするがそうはいかない。振り返った瞬間、ダジルイの腕を掴んだ。

 回し蹴りを喰らう前に力で引き寄せ左腕を腰に絡め身柄を確保する。

 コイツ、顔に似合わず足癖わるいからな。


 右手を顎にあて、上に向かせる。

 泣きそうな表情で睨んでくるダジルイの色気が背中に何かを這わせて俺をゾクゾクさせる。


「早とちりするな。その格好じゃ男を誘惑しすぎるんだ」


 にやけそうな頬を堪えて鼻がつきそうなくらいまで顔を寄せるとダジルイの頬がさっと染まる。


「そ、そんな事は!」

「そんな事は大ありなんだよ」


 顎の下の手を頬に移す。肌の張りも十分。三十路の女とは思えない。

 指先が喜んでやがる。


「いいか。アイス屋はアイスが売りだ。もちろん美人が給仕してれば話題にもなるだろうがな。お前があの格好で出たら、良い身なりしたボンボンがお前を連れ出そうとする」

「こ、こんな年増を誘い出すなんて」


 ダジルイは恥ずかしいのか目も泳いでぷるぷる震えている。

 亡くなった旦那はこうやって攻めなかったのかもな。

 こんないい女に、ずいぶんともったいないことを。


「年増ねぇ……じゃぁ、一つ賭けをしよう」

「か、かけ?」


 今度は声が引っくり返り過ぎだ。腕っ節もたつのに、この猫は可愛いもんだ。


「お前には俺と同じ執事の格好をして貰う。美人だったら男装してても美人には違いないだろ? それでもバカな客がお前を連れ出そうとしたら……」


 頬に当てた手で耳たぶを触る。ふにふに感触を楽しめばダジルイの肩がビクッと揺れた。

 まったく、じゃれあいに慣れてないにも程がある。

 可愛すぎるだろ、コイツ。


「したら、どうするんです?」


 揺れる瞳のダジルイが強気だ。どこまで可愛いんだか。


「俺の女になれ」


 そのまま顔を寄せ、唇を奪った。





 アイス屋開店当日。

 やけに気合の入った化粧で更衣室から出てきたダジルイを見て、俺もお嬢も唖然とした。


「は?」

「うぇぇ?」


 見事な男装の麗人。

 女にしちゃ長身で細身の身体によく似合ってる。だが胸は女らしさを隠しもせず主張してやがる。

 滅多につけない紅をさした唇を突き出し、目尻にもわずかに紅をさして流し目なんか送りつけてきた。

 これ見よがしに俺に笑いかけて目の前を通り過ぎて行った……ずいぶんと挑戦的だな、おい。

 今すぐ俺に持ち帰って欲しいのか? ベッドの上で存分に可愛がってやるぞ?


「うわー、ダジルイさんって、あれで孫いるんだよね……」

「……素直じゃねえな」

「はえ? なに?」


 混乱してるお嬢はさておき。

 あのイタズラ猫には鈴を付けなきゃダメだな。

 もっとも、事が起きるまで俺が我慢できるかって問題もあるけどな。











.+:。 (//∇//)(//∇//)(//∇//)。:+.


こんなに色気が溢れているのに、R無しのお願いに応えて下さった海水様!スゲェお人です!


そしてダジルイさんの可愛いこと!カーーッ!( *´艸)


海水様、ありがとうございました( ´∀`)


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