Side Goddess
「転移させたニホンジンなんてそれくらいでちょうどいいのよ」
私、エリーエリーは幼馴染であり世界運営の先輩のシュドラム姉さんに今回の転移について相談していた。
「でもね姉さん、元世界神の霊格だよ?神の力そのものだよ?」
世界神はその世界のみの神なので私達のような天界神より力はないとは言ってもその世界では神。世界にとってはとてつもない力なのだ。
「大丈夫大丈夫、亜神になるニホンジンだって結構いるし。物作りの力だけ、しかもたった1000年しか務めてない鍛冶神の霊格でしょ?騒ぐことじゃないわよ」
シュドラム姉さんの言葉で私は少しだけ安心する。
(そっか、ニホンジンの転移ってそれくらいが当たり前なんだ)
「ありがとう、姉さん。いつも相談に乗ってくれて。おかげで気が楽になったよ」
「いいのよ、初めての転移だもんね、創造神ならみんな通る道だから」
「本当にありがとう。そういえば姉さん、アポリートちゃん最近みないんだけど知らない?」
気持ちが軽くなったところで話題を変えた私は少し前まではよく一緒にお茶会に参加していた同期の創造神について尋ねた。
「あぁアポちゃんね、彼女今新しい世界作ったばかりで大変らしいわよ?」
「え?アポリートちゃんって第1種世界運営許可検定取った後、世界間召喚許可書を取って「これから一気に文明を発展させてやりますですぅ~!」って意気込んでたんじゃ・・・」
「それがねぇー。どうやらアポちゃんの世界で集団召喚が起きたんだけどそのうちの一人が召喚されて間もなく異常なまでに力をインフレさせちゃってこのパワーバランスじゃ今後どうやって進行していいかわからないって言って世界を緊急閉鎖、召喚もなかったことにしたみたいなのよ」
「世界間召喚に対して創造神が関与しなかった場合稀に起こる災害ってやつだよね、昔教科書で読んだ記憶があるよ」
「アポちゃん神経質なとこあるから、一度閉鎖した世界の方は世界神に丸投げして新しい世界で次こそ完璧にって相当熱入ってるみたい」
愛くるしい容姿とそれに見合った口調で話す同期の中でも1番優秀な女神がそんなことになってるとは知らなかった。私は心の中でアポリートを応援しつつ、自分のことにならないようちゃんと管理しようと心に決めるのだった。
「ところでエリエリちゃんのとこはその霊格以外はどんな感じなの?」
「えっと、最初街に行くように言ったんだけど、なぜか森の中に入って行ってそこで魔物と戦って倒せなくて逃げて、異空間ハウスにこもって武器作って、ゴブリンは倒したけど今度は街の近くのいざこざに巻き込まれて、また異世界ハウスに逃げ込んだって感じかな」
「まだ数日なのにさすがニホンジンね、トラブルに愛されてる、感心しちゃうわ」
(やっぱりこれくらいがニホンジンには当たり前なんだ)
「そういえばエリエリちゃんはどうして彼に鑑定系と偽装系のスキルをあげなかったの?義務にはなってないけど、初心転移サポートマニュアルにはつけた方がいいって書いてあったでしょ?」
「それなんだけど、実は興奮してて忘れちゃって。でもでも前鍛冶神の霊格がある彼ならそういう効果のある魔道具を作ろうと思えば作れるだろうしいいかなぁって」
「さっきまで加護と間違えて霊格あげちゃったって青い顔して相談に来たくせに調子いいんだから」
「もう姉さん?誰にも言わないでよ?」
「解ってる解ってるってば」
神々の茶会は続く