それで?どんな商売をするつもりなんだ?
「それで?どんな商売をするつもりなんだ?」
1杯目のグラスを飲み干した頃に俺はカリファーに問いかけた。
「君のその砥ぎ師としての力を使って中古武器屋を経営するんだ」
(ここまではなんとなく想定内だな、こいつが言い出さなくてもやろうとしていたことだ)
「で、具体的には?」
「ふむ、いいか?まずは君・・・これから苦楽を共にする相手に君ではいけないな。よし、これから俺は君をリーシェ、いやリーと呼ぶ。君も俺のことは好きになように呼んでくれ、ただし気軽にな」
「じゃあカリファーって呼ばせてもらうよ」
「では続きだ。まず中古武器屋を開いたところでこの街では流行らない、それはこの街にはまともな鍛冶師がいないからだ」
カリファーが真剣な顔で語りだした。
「まともな鍛冶師がいないとはどういうことだ?」
「首都では有名な話だが数か月前、鍛冶師達の腕が突然落ちたのだよ。それも一人二人ではなく国中、いや噂では世界中の鍛冶師という話だ」
「腕が落ちた?どういうことだ」
「ふむ、俺が実際に首都にいたころ通っていた店には1日14本鉄の剣を作り売っていた職人がいた。しかしある日を境に1本の鉄の剣を作るのに3日もかかるようになったのだ」
(仕事になんないレベルじゃねぇかよ)
「一人二人ならスランプと片づけられるかもしれないがそれが世界中か・・」
「この危機を察知した国は腕のいい鍛冶職人たちを首都に呼び寄せて国の管理下に置き始めた」
「そりゃ武器がまともに生産出来なくなれば国を守れないからな」
(手ぶらの兵士なんて笑いもんだろうしな)
「しかし腕のいい鍛冶職人がみな国の管理に入ると一般人や冒険者その他の鍛冶職人にしか仕事の依頼はできない」
「まぁそりゃそうだな、できたとしても国の管理下だ。ものすごいふっかけられるだろうさ」
「幸いと職人たちは完全に作れなくなったわけではない生産に関しては量が落ちただけといえなくもない。だが修理は違う、ただ剣を砥ぐのも時間がかかりすぎる上に収入にならず職人たちは修理を請け負うことを辞めてしまった」
「なるほど、話が見えてきた。修理を頼めなくなった冒険者は器用なやつは自分で手入れをするが、不器用なやつらは使い潰して売る。それで売ろうとしたがそれも出来なくなったのが今朝のカリファーということか」
「その通りだ、そこでリーの技術だ。あれだけボロボロになっていた私の剣を短時間で新品の頃より素晴らしいものにしてくれた」
「お、おう」
(こんなにちゃんと言われると照れるな)
「そこで中古武器屋だ、俺がまずコネでボロボロになった武器を格安で集める。そしたらリーがそれを直して売る。修理も請け負うことにするがそれに関しては値段を高く設定する」
「なんでだ?」
「このご時世で修理したいというやつは魔剣かそいつの家宝だからだ」
あれ?こいつ意外と頭回るやつなんじゃないか?と考えながらカリファーを見ていると心を読んだかのようにカリファーが言う。
「今失礼なことを考えたな!?家を出た身だがこれでも元貴族だ、この程度の知恵くらい回って当然だ」
「貴族って感じは少ししたけどさ。武器屋に摘まみだされたり、剣を直したら調子にのって怪我するようなやつとしか」
「それを言われるとなにも言い返せないな」
「ところでさっき言ってたコネってその貴族様のコネか?」
「いや俺はこう見えてこの国の首都に本拠地を置く大手クランに入ってるんだ、そしてそのクランはこの街にも拠点があってな。怪我で辞める挨拶行くときに店を始めると宣伝するつもりだ」
「多少体裁も保てるしな」
「気付いても言うなよ」
俺のツッコミに拗ねるように返すカリファーに俺は噴き出すようにして笑った。
するとカリファーが場の空気を変えようと少し大きめに声を上げた。
「大体の話は決まったようなものなんだしここからは飲むぞ!」
「待て待て、そもそも俺は詳しい話を聞くといっただけでやるとは言ってないんだが?」
「大丈夫だ!万事俺に任せておけ!!ヨールさんつまらん話を聞かせてすまなかったここからは一緒に飲もうじゃないか」
声をかけられると今まで会話に入らずにいたヨールが大人の笑みを浮かべて頷いた。
「難しいお話は済んだようですね、少し気分も変えたいようですし乾杯しなおしましょうか」
「「「カンパーイ」」」
こうして俺達の夜は更けていった。
「ちょうどのお預かりになります、ありがとうございました。こちら解毒剤になります」
会計を済ませ解毒薬を飲むとカリファーはヨールに抑えられながらよたよたと歩き部屋をでた。
俺も部屋を出て後に続こうとすると階段の辺りで何者かに捕まり下ではなく上の階に引っ張られそのまま一番奥の部屋に連れ込まれた。
「随分と遅いおかえりね?」
「たまたま知り合いができて誘われたらこの店でしてね」
「そうなの?ヨーちゃんは初めてあったのよね?おっきくてかわいい子でしょ?」
「とても丁寧な接客していただきましたね」
「ところで大事な話ってなぁに?」
(アカン)
こうして俺の終わらない夜が始まる。
余談になるがレソ―トの貸し1とは、ロノリアが部屋に自分のところに呼べと言ったけどカリファーもいることもあって別の女の子の部屋へ通すべきであることを説得したということで、ロノリアに内緒という意味合いは全くなかったということであった。




